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【Video Solution Conference 2005 Vol.3】公開中の映画『ローレライ』製作秘話

2005年03月16日 04時42分更新

文● 編集部

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今月上旬に開催された“Video Solution Conference 2005”では現在公開中の映画『ローレライ』の製作環境についてのトークショーも開催された。実は、映画の制作を支えたシステムについてはすでにアップルコンピュータ(株)のウェブサイトにPart1~2として掲載されている。そのため、ここでは詳細は触れないが、同映画製作にまつわる簡単なエピソードを紹介したい。

VFXプロデューサーの大屋哲夫氏(左)と樋口真嗣監督(右)
VFXプロデューサーの大屋哲夫氏(左)と樋口真嗣監督(右)

『ローレライ』でVFXプロデューサーをつとめた大屋哲夫氏は、『ゴジラ2000ミレニアム』『ゴジラ×メガギラス G消滅作戦』でVFXスーパーバイザーととして参加している。最近では『NIN × NIN忍者ハットリくん THE MOVIE』などにもかかわっている。

「現在はMacだけで仕事をしているわけではないが、Macを中心に仕事を動かす流れにはなっている」と氏は話す。職場にはサーバーも含めて30台ほどのマシンがあり、自宅にもい3~4台のマシンがころがっている。自分のマシンとしては『PowerBook G4 17インチ』がありフル活用している状態だ。「持ち歩くのにはふさわしくない大きさだと思うんですけど、僕としてはデスクトップを持っていないので、こんなに軽いデスクトップはないという感じで使ってます。でも必ずカバンがダメになる(笑)。あとは腰痛に悩まされていますね(笑)。樋口監督も17インチのPowerBookを使っているんですが、彼は体が大きいので大丈夫なんでしょう(笑)。ただ、このデスクトップの広さは一度体験すると、他には戻れなくなります」

映画は海のなかのシーンが中心で、しかもCGを使っているため、役者やスタッフは自分が現在おかれている状況(そのようなシーンを撮影しているのか)を把握するのが非常に難しい。「この時のドカーン!っていうのは実は外の世界ではこんなことがおきているんですよっていうのを見せたりとか、そういうサポート的な役割も多かった」と大屋氏は話す。常に現場にはパワーブックが5~6台あった。

また、かなり撮影素材の種類や準備が煩雑になったのも確かだ。そのため、管理にはFileMaker Proを活用した。「各合成カットにあらかじめ絵コンテができていたので、その絵コンテをPowerBookに取り込み、それに対してセット、登場人物、素材環境など制作の管理を行なっていきました。いったんデータを取り込んでおけば、いろんな形で表示させることができる。一覧表示したり、実際に細かい素材ごとの入力もできました」(大屋氏)。



会場に自分のPowerBookを持参した大屋氏
大屋氏は会場に自分のPowerBookを持参

ではFinal Cut Proはどうか? 製作のワークフローに組み入れられているが、樋口監督は「ラフなタイミング変えとかができるので、予習ができる。こんな感じにしたいという思いを、自分で検証した上で打ち合わせができるのがよかった。そのかわり、私生活は一切なくなりましたね(笑)。寝るのと風呂入るのと、飯を食うこと以外は操られるかのようにPowerBookと一緒に過ごしてました」と話す。現場でFinal Cut Proは共通言語になったという。「最初に登場する潜水艦のシーンなんかは、ほんとに短いカットの積み重ねで観みせてるんですけど、そこは自分で編集のプランをたたててから、それをさらに編集技師がブラッシュアップしてくれました。あと良かったのが、台詞のきっかけをどうするかっていう場合。台詞の間を大事にしようとするときに、録音部におまかせじゃなくて、自分でFinal Cut Proで作って検証することができました」(樋口監督)



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