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【Video Solution Conference 2005 Vol.2】毎日放送がXsan導入環境を説明

2005年03月11日 22時52分更新

文● 編集部 小板謙次

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アップルコンピュータ(株)主催の“Video Solution Conference 2005”では、国内で『Xsan』を最初に導入したという(株)毎日放送の事例が紹介された。

同社の技術局制作技術部CG/ポスプロ部門部次長の青木茂氏は、“Xsan導入の実践 毎日放送におけるXsanを活用したHDポストプロダクションワークフロー”と題した説明を行なった。同社では『世界ウルルン滞在記』『情熱大陸』『痛快!明石家電視台』などの番組を制作しており、自社制作率は30%以上になる。

(株)毎日放送の制作環境
(株)毎日放送の制作環境

制作環境は完パケができる部屋として本社のHDリニア編集室、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン内のHDリニア編集室、本社SDリニア編集室がある。ユニバーサル・スタジオ・ジャパンでは、HDD5を主にHD CAM、HD CAM SR、DVCPRO HDのVTR対応の部屋になっている。オフラインではAvid Xpressを10式使用している。それ以外のノンリニアとしてFinal Cut Pro HD一式とAvid3式(メディアコンポーザー2式、シンフォニー1式)がある。このほか、Discreet FlintとQuantel HALが入っている。

Xsanを導入したのは昨年末。制作環境を見てみると、編集システムとしてPowerMac G5が2台がある。「もともとは映像合成のHD化を考えていたので1台はShakeを中心に。もう1台は編集を中心としている」(青木氏)。マシンにはFiber Chanelが2本つながっている。これは帯域をかせぐという意味もあるが、Xsanのマルチパッシング機能を使って、1系統が落ちてももう1系統が使える環境になっているのが大きい。MDC(Metadata Controller)はプライマリーとセカンダリーがあり、これもプライマリーに障害が発生した場合はセカンダリーで対応するようになっている。Xserve RAIDは2式(4TB)使用し、非圧縮の10bitHDを編集できる環境にしている。下の図ではグレーの線がイーサネットになる。MDCとPowerMac G5、XserveRAIDをつなぐイーサネットは、メタデータをやりとりするための専用のパスとして接続されているからだ。

ブルーの線がFiber Channel(2Gbit/秒)の接続。Xserve G5はMDCの役割を果たし、実際のファイルの位置やさまざまなファイルの情報を管理する
ブルーの線がFiber Channelの接続。MDCは実際のファイルの位置やさまざまなファイルの情報を管理する
導入後のメリット
導入後のメリット

放送局の機器の代替時期は7~10年と単純に決まっていて、いくら稼働率がいいからと言ってすぐに代替機器を購入できない事情がある。また、機材を購入してもすぐに陳腐化してしまう。青木氏はハイエンドで高価な機器よりも汎用性のあるパソコンを代替していくほうが効率的だと考えた。また、ひとつのファイルでやりとりしやすい方が今後の映像処理や編集処理にはいい。これらのソフトが自由に使いまわせ、なおかつファイルを共有できる。その意味で、Xsanの環境は発展性があると考えたという。

導入後のメリット
作業内容に応じて任意の圧縮形式を選択できるのもメリットだった

また、ノンリニアの編集をやるときのやっかいな点として、取り込む時間が挙げられる。Xsanの環境を導入して、編集をしながら素材の取り込みができるようになった点、素材の共有ができるようになった点は大きいと話す。一方で作業内容に応じて圧縮方式を選択できる点も助かった。「HDD5、HDCAM SRなど10bitでそのままとれるようなVTRがあって、10bit処理したほうがいいだろうという場合には10bitの非圧縮の選択肢がとれる。通常の番組はDVCPROの圧縮で取り込んで編集してもとにもどすなど、いろんな圧縮を用途に応じてきりわけれる、選択できるのが大きい」。

将来の構想
将来の構想

現在は昔の素材は大阪にあり、それを東京で編集編集する時には、素材事態を運ばなくてはいけない。社内ではシステムをギガビットEthernetでつなぎ、Final Cut ProでXsan上の素材をマウントしているが、今月末には東京・大阪間で素材共有のテストをしたいと考えているという。

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