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アダプテックジャパン、“シリアルアタッチド SCSI(SAS)”ソリューションに関する説明会を開催

2005年03月10日 22時41分更新

文● 編集部 小西利明

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SASに対応するホストバスアダプター『ASC-48300』の見本品 ASC-48300を使用したデモ機。4つのSASリンクを1本に束ねることで、実測値で約754MB/秒もの転送速度を実現している
SASに対応するホストバスアダプター『ASC-48300』の見本品ASC-48300を使用したデモ機。4つのSASリンクを1本に束ねることで、実測値で約754MB/秒もの転送速度を実現している

アダプテックジャパン(株)は10日、報道関係者を集めた説明会を開催し、同社が推進する“シリアルアタッチドSCSI(Serial Attached SCSI:SAS)”の技術と応用製品についての説明を行なった。説明会ではSASに対応するSASホストバスアダプター(インターフェースカード)『ASC-48300』の見本品が展示され、実機を用いたデモも行なわれた。

SASは既存のパラレルSCSIの後継となる規格で、Ultra320 SCSIより高速な、3Gbit/秒(384MB/秒、全二重)のシリアル転送を可能とする。シリアルATA(SATA)と互換性があり、SATA HDDをSASにつなげて使用できる(SAS HDDをSATAで使用することはできない)。ホストコントローラーとドライブの間はピアツーピアで結ばれ、“SASエクスパンダー”というUSBにおけるHubのようなハードウェアによって接続可能なドライブ数を大幅に増やすことも可能だ。1エクスパンダー当たり最大128台、システム全体では1万6256台のデバイスをサポートできる。接続ラインを4本束ねて、最大12Gbit/秒もの転送速度を実現する仕様も策定されている。ドライブ側のコネクター幅がUltra320 SCSIなどと比べて小さいため、小型の2.5インチHDDでも対応しやすい点も特徴のひとつである。SASの規格化は、ANSI(アメリカ規格協会)内でSCSI規格を担当する標準化団体“T10”により行なわれ、2003年7月にドラフトが発行、今年1月にはSAS-1.1(リビジョン8)のドラフトが発行された。

SASの利点のひとつが、SATAドライブも接続できる点にある。エクスパンダーの先にSASとSATAが混在している場合は、SATAのコマンドの前にSASのヘッダー情報を付けて転送する  
SASの利点のひとつが、SATAドライブも接続できる点にある。エクスパンダーの先にSASとSATAが混在している場合は、SATAのコマンドの前にSASのヘッダー情報を付けて転送するSASは1つのリンクで3Gbit/秒の転送速度を持つ。4つのリンクを束ねて12Gbit/秒の速度を実現する“SASワイドポート”もあり、ASC-48300も対応している

各種SCSIカードやSATA RAIDカードなどストレージ向けインターフェース製品やコントローラーASICを手がける同社は、将来主流となるストレージインターフェースとしてSASを重視し、製品化に向けてコントローラーASICやホストバスアダプターカードを開発している。同社の予測では、エンタープライズ分野向けのストレージデバイスやホストアダプターは、SCSIからSASへと急速に置き換わることで、2006年にはSASが最も大きな割合を占めると予想している。

エンタープライズ分野のストレージデバイスおよびインターフェースにおけるSAS対応品の割合予測(アダプテック調べ)。最終製品が登場するのはこれからだが、わずか1年ちょっとで主流のインターフェースにまで成長すると予測されている
SASソリューションついて説明する、アダプテックジャパン プロダクトマーケティング プロダクトマネージャーの高野亨氏
SASソリューションついて説明する、アダプテックジャパン プロダクトマーケティング プロダクトマネージャーの高野亨氏

同社プロダクトマーケティング プロダクトマネージャーの高野亨氏は、同社のホストコントローラーASICとSAS対応カードのロードマップを示したうえで、同社としては初となるSAS対応カード製品であるASC-48300についての説明を行なった。ASC-48300には同社製のコントローラーASIC『AIC-9410W』が搭載される。AIC-9410Wは0.13μmプロセスで製造され、8つの独立したSASインターフェース、コンピューターとの接続用に64bit PCI-X 133MHzのインターフェース、128KBのメモリーを備える。SASインターフェースは、SASとSATA II(シリアルATA II)に対応する。また“HostRAID 0&1”と称するRAID機能(ハードとソフトにより実現)も備える。同チップを搭載するASC-48300は、外部4ポート・内部4ポートのSASポートを備えており、4ポートを束ねて使うワイドポートにも対応する。対応OSはWindowsとLinuxが予定されている。製品化の時期は確定していないが、米国では4月に発売予定で、その後マニュアル類を日本語化した後に日本でもリリースされる。価格も未定だが、同社製Ultra320 SCSIカード『SCSI Card 39320A-R』(実売価格は4万円台後半)と同程度になるとのことだ。



ASC-48300の主な仕様。コネクターは内部と外部に1つずつで、ケーブルで4つに分岐する コントローラーASIC『AIC-9410W』の仕様とブロックダイアグラム。8つのSASポートをサポートする
ASC-48300の主な仕様。コネクターは内部と外部に1つずつで、ケーブルで4つに分岐するコントローラーASIC『AIC-9410W』の仕様とブロックダイアグラム。8つのSASポートをサポートする

また同社では、SASとSATA IIに対応するHDDを4台搭載可能な“SAS&SATAエンクロージャ(※1)”と、2.5インチHDDを4台搭載可能な“2.5インチドライブ用エンクロージャ”を、今年第2四半期中に投入すると表明した。またSAS対応のネットワークストレージなども、2005年第2四半期から2006年にかけて投入する。

※1 複数のドライブベイと電源ユニット、冷却ファンなどを備えたHDDケースユニット

同社からはインターフェースカードだけでなく、SASとSATAに対応するエンクロージャも発売が予定されている
同社からはインターフェースカードだけでなく、SASとSATAに対応するエンクロージャも発売が予定されている

また将来のコントローラーASICとRAIDカード製品のロードマップも示された。現行のAIC-9410WはPCI-X 133MHzインターフェースに対応しているが、今後はエンタープライズ分野でもPCI Expressが広がるとして、PCI Express(x8)に対応し、ハードウェアRAID機能も搭載したSAS 8ポート対応のコントローラーASICを2005年第2~第3四半期に予定している。RAIDカードについては、エントリー向けに位置づけるASC-48300に加えて、ミッドレンジ向けにRAID機能を強化したPCI-Xインターフェース用『ASR-4800X』を、2005年前半に予定している。また2005年後半にはミッドレンジとエントリーともに、PCI Express対応のRAIDカードの投入が予定されている。

アダプテックのASICロードマップ。PCI Expressに対応するSASコントローラーが、今年の第2~第3四半期に予定されている RAIDカード製品のロードマップ。今年後半にはSAS対応のPCI Express RAIDカードが出そろう
アダプテックのASICロードマップ。PCI Expressに対応するSASコントローラーが、今年の第2~第3四半期に予定されているRAIDカード製品のロードマップ。今年後半にはSAS対応のPCI Express RAIDカードが出そろう

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