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ブラザー工業、毎秒800mmを超える高速印刷が可能なピエゾ方式のライン型インクジェットヘッドを開発

2005年03月09日 22時19分更新

文● 編集部

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ブラザー工業(株)は9日、毎秒800mmを超える高速印刷が行なえるピエゾ方式のライン型インクジェットヘッドを、京セラ(株)と共同で開発したと発表した。

ヘッド本体 ノズル配列
ライン型インクジェットヘッド本体ノズル配列

開発したライン型インクジェットヘッドは、4.25インチ(108mm)の印字幅を持ち、600×600dpiの解像度で毎秒847mmの高速印刷(A4サイズ換算で毎分約170枚)を行なえるのが特徴。ノズルは2656個が600dpiで配置されており、独自の“ユニモルフ型ピエゾ・アクチュエータ”と、高密度に配置した圧力室構造を採用したことで、ピエゾ方式のインクジェットヘッドとして世界最高レベルの低消費電力化と小型/高集積化が図られているという。

開発したライン型インクジェットヘッドを組み合わせて配置すれば8.5インチ(216mm)幅にできることから、A4サイズ幅も一気に印刷可能としている。ヘッドの印字幅を約1インチ単位で変更できるようにも設計されており、用途に応じた印刷幅の変更にもフレキシブルに対応可能。また、中央部が幅広の菱形の圧力室と、“ユニモルフ型”(※1)という変形モードのアクチュエーターを採用したことで、1ノズルあたりのインク吐出に必要な電力も従来製品の約14分1の1に低減しているという。

※1 ピエゾ(電圧をかけると変形するセラミック性薄膜)は、分極方向に電圧を加えると、電圧と垂直の方向に伸び、水平の方向に縮む性質を持ち、垂直方向の伸びを主に利用する方式を“伸張型”と呼び、水平方向の縮みを主に利用する方式を“ユニモルフ型”と呼ぶ。ユニモルフ型は変位拡大機構を持つため、一般に伸張型より大きな変位が得られるという

圧力室の構造
圧力室の構造

開発したライン型インクジェットヘッドのサイズは幅152×奥行き22×高さ1mm。ステンレス鋼とセラミックス(アクチュエーター)をインクの流れる部分に使用しているため、多様なインク成分に対応でき、産業用途にも十分な信頼性を持つとしている。駆動周波数は20kHzで、駆動電圧は17V(最大24V)で、消費電力は1ノズルあたり約2.5mW。液滴サイズは4種類。信頼性は1ノズルあたり100億ドット以上(検証中)という。

同社では、今後、開発したライン型インクジェットヘッドを自社製品に搭載するほか、他社とのアライアンスによる新規事業の模索など、さまざまな展開を検討するとしている。

また、開発したライン型インクジェットヘッドを組み込んで試作したカラープリンターを利用して、25日から開催される“2005年日本国際博覧会”(愛・地球博)の共同館“夢見る山”の同社ゾーンで実演を行なうとしており、その場で撮影した記念写真を毎分150枚の速さでA6サイズに印刷し、来場者にプレゼントするという。

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