このページの本文へ

前へ 1 2 次へ

【続報】NTTドコモ、PHS事業から撤退へ――事業移管後6年間で3800億円の赤字、今後はFOMAへの乗り換えを推進

2005年02月28日 20時09分更新

文● 編集部 佐久間康仁

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷
代表取締役社長の中村維夫氏
記者説明会で説明する代表取締役社長の中村維夫氏

既報のとおり、(株)エヌ・ティ・ティ・ドコモ(NTTドコモ)は28日にPHSサービスの新規申し込みを今年4月30日をもって終了し、将来的には「顧客の利用状況を見ながら、サービス終了を検討する」と発表した。これは、すでにサービス終了が既定路線となったことから、ユーザーの混乱を避けるために新規受け付けを終了し、段階的にPHSユーザーのFOMA/PDCへの乗り換えを促すためだと見られる。実際、記者説明会において代表取締役社長の中村維夫(なかむらまさお)氏は、「現在の135万ユーザーを考えると、最短でも2年はかかる。ユーザーの利用状況によって時期は前後するだろう」と話し、終了時期こそ明言しなかったもののサービス終了が避けられないことを示した。

説明会で中村氏は、まずNTTドコモのPHS事業について「1998年11月に(当時の)NTTパーソナル(NTT中央パーソナル通信網(株)など9社)から事業を譲り受け、特にデータ通信の分野では他社に先駆けて64kbpsの通信サービスを1999年4月に開始した。さらにカード型データ通信端末を同年7月に提供開始し、モバイル環境でのデータ通信に一定の役割を果たした。しかし、PHS事業を取り巻く環境に厳しいものがあり、事業存続が厳しいと判断した」と振り返った。

事業存続が厳しくなった理由については、

  1. キャリアーとしてPHSそのものの競争力が低下したこと
  2. 競争力強化を図るためには、莫大な投資が必要になるが、現時点でPHSに投資することは経営的に成り立たない
  3. FOMAの立ち上がりの時期であること。1000万ユーザーを突破し、今年6月1日には準定額性とも言える新たな料金プランを設定する

という3点を挙げた。

特にPHSの競争力低下の原因は、

  • ADSLの普及。屋外のみならず、室内での利用者も多かったが、ADSLの安価で高速な回線の普及で需要が減った
  • “フルブラウザー(※1)”搭載の電話機が登場したことで、(PDAやパソコン+PHSデータ通信のモバイル環境と)相当の代替ができるようになった
  • “パケ放題”のような定額制サービスが出てきたことで、カード型PHSサービスの競争力が急激に低下したこと

などと具体的に示し、「昨年6月に、それまで(端末を)毎月6000台程度出荷していたものが、2500台程度まで急激に減少したのが顕著だった」と販売台数減少の現況を説明した。その上で、「今後は(PHSユーザーを)FOMA/PDCへの移行を促す特典などを用意していきたい」と述べた。

※1 フルブラウザー パソコンのウェブブラウザーで表示する場合と同様にHTMLを解釈、表示できるウェブブラウザー。2004年4月に当時のディーディーアイポケット(株)(現(株)ウィルコム)がノルウェーのOpera Software社のウェブブラウザー『Opera 7.0』を搭載したAirH”対応PHS端末『AH-K3001』を発売しているほか、2004年10月には(株)jig.jpが携帯電話でパソコン向けウェブサイトが閲覧できるウェブブラウザー『jigブラウザ』を販売開始している

説明会後には、記者からの質問に中村氏が答えるQ&Aの時間が設けられた。次ページではそのやり取りを一問一答の形式で紹介する。

前へ 1 2 次へ

カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン