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NTT、人体の表面にある電界を介して最大10Mbpsでデータ通信を行なう伝送システム“RedTacton”を開発

2005年02月18日 22時54分更新

文● 編集部 佐久間康仁

“レッドタクトン”のプロトタイプを手にするマイクロシステムインテグレーション研究所スマートデバイス研究部長の門 勇一氏
“レッドタクトン”のプロトタイプを手にするマイクロシステムインテグレーション研究所スマートデバイス研究部長の門 勇一氏

日本電信電話(株)(NTT)は18日、東京・大手町のアーバンネット大手町ビル内(NTTコーポレートニューズルーム)で記者説明会を開催し、人体の表面に発生する電界を伝送経路にするというヒューマンエリア・ネットワーク技術“レッドタクトン(RedTacton)”を開発、最大10Mbpsの通信速度での双方向通信を実現したと発表した。このプロジェクトは、NTTの“総合プロデュース機能(※1)”を利用して、今後外部パートナー企業との共同フィールド実験や検証を重ね、将来の事業化を進めるとしている。

※1 総合プロデュース機能 持ち株会社であるNTTが、NTT研究所で研究中の技術のうち事業化が有望なものを選別して、NTT内に“プロデューサー”“ディレクター”を設定して、NTTグループ内の関連企業や他社との協業を図りつつ事業化を進めていく事業形態。



第三部門プロデュース担当プロデューサの山崎王義氏 マイクロシステムインテグレーション研究所スマートデバイス研究部 特別研究員の品川 満氏
第三部門プロデュース担当プロデューサの山崎王義氏マイクロシステムインテグレーション研究所スマートデバイス研究部 特別研究員の品川 満氏

説明会には、第三部門プロデュース担当プロデューサの阪本秀樹氏、同じく担当プロデューサの山崎王義(やまさききみよし)氏、マイクロシステムインテグレーション研究所スマートデバイス研究部長の門 勇一氏、同じく特別研究員の品川 満氏らが出席し、高速通信の原理の解説とデモンストレーションを行なった。

レッドタクトンの説明 レッドタクトンの構成と原理
レッドタクトンの説明レッドタクトンの構成と原理

レッドタクトンは、人体の表面などに発生する弱い電界を伝送経路にする短距離の接触式ネットワーク。従来は“ふれあい通信”という名称で研究開発を続けていたが、レッドタクトンという名称の由来は、触れる(=Touch)ことで反応を起こす(=Act on)という意味を込め、さらに「Bluetoothに対抗する意味からRedにした」(山崎氏)という。同様の、人体を経路とする通信技術は他社でも開発しているが、電流や電圧を信号にして電気検出でデータをやり取りするため1~3kbps程度と低速で、距離もひじから指先、あるいは手首から指先までと短い。それに対してレッドタクトンは、電界(微弱な電圧の変化)を信号として、受信側で“フォトニクス”(電圧の上下による“電気化学結晶”の光学的な性質の変化をレーザー光で検出する技術)を用いた電界センサーが読み出すため、最大10Mbps(条件によって異なる)の高速伝送を実現したという。この電界は、人体のような導体だけでなく、ゴムや衣服のような誘電体を通過させることもできるため、例えば洋服のポケットに端末を入れたままでセンサーにタッチし、情報を読み出す(端末に送信する)ことも可能。

レッドタクトンの特徴 接触していれば多くの媒体(導電帯もしくは誘電体)を通じて伝送できるため、応用範囲が広いとも説明
レッドタクトンの特徴として、多人数で使っても1人の体ごとに最大10Mbpsの伝送速度を実現できることを挙げたまた、接触していれば多くの媒体(導電帯もしくは誘電体)を通じて伝送できるため、応用範囲が広いとも説明

レッドタクトンの特徴として、阪本氏は

  • 触れることをきっかけに通信が始まる
  • 狭い空間で多重通信が可能で、多人数で同時使用しても帯域が落ちない
  • 伝送媒体を選ばない

などを挙げた。

第三部門プロデュース担当プロデューサの阪本秀樹氏
“レッドタクトン”のプロトタイプを組み込んだPDAと、センサーをつけた薬ビンを手にデモを行なう第三部門プロデュース担当プロデューサの阪本秀樹氏

これを利用した応用例として

利用者の状態や趣向に合わせた1 to 1サービスの実現
薬ビンにRedTactonデバイスを埋め込み、服用者は端末などを携帯してビンに触れる。すると、服用していい薬か否か、飲む順番や飲んだ後の注意(薬の飲み合わせ)などを端末経由で知ることができる。従来のICタグではユーザーの意図と関係なく、接近しただけで動作/感知してしまう可能性があり、複数の薬ビンを並べた場所では“そのビンに触れる”というユーザーの意思・意図(飲もうとしている)を検知する必要がある、と優位性をアピールした。また、同様の技術はマーケティングの手法にも使えるという。
直感的な操作の実現
複数台あるうち、“このプリンター”に印刷したいと思ったら、パソコンを手にしてプリンターを触ると、自動的にプリンターからドライバーがパソコン側にインストールされ、印刷が実行される。ネットワーク経由でどのプリンターか迷うことがない。同様にプロジェクターへの出力も実現可能。また、携帯端末を内ポケットに入れたまま握手することで、名刺交換のように情報共有が可能としている。
容易なパーソナライズの実現
携帯電話など購入直後の機器の設定が面倒な場合、以前の機器からアドレス帳や通話履歴などの情報を手に持つことで伝送できる。また、車のシートにセンサーを埋めておき、座る人に応じて曲の選択や、事前に決めておいたナビゲーションの目的地入力などが自動的に行なえる。
新たな行動様式の提案
テーブルの上にセンサーを設置し、パソコンを置くと自動的にインターネットへのアクセスを行なう。誘電体を経由できるので、センサーをむき出しにする必要はなく、アクリル板などの裏側に設置しておける。また、ヘッドフォンに搭載して耳に差し込むと、ポケットの中のプレーヤーの電源が自動的に入り、再生音楽を衣服や人体を通じてワイヤレスで伝送できる。
セキュリティー分野への応用
ドアに触れると、ポケットの中のID認証機器から情報を伝送して開錠される。あるいは重要文書を管理する引き出しにセンサーを設置し、閲覧したユーザーの履歴管理などを実現可能。

などを紹介した。

ノートパソコンの裏側と、アクリル板の机の裏側にレッドタクトンのセンサーを配置して、パソコンを置くとディスプレーケーブルをつなぐことなしにプロジェクターへの映像出力を実現して見せた 紙も誘電体のため、間に挟まっていても問題ない
ノートパソコンの裏側と、アクリル板の机の裏側にレッドタクトンのセンサーを配置して、パソコンを置くとディスプレーケーブルをつなぐことなしにプロジェクターへの映像出力を実現して見せた紙も誘電体のため、間に挟まっていても問題ない。ただし、センサーの直上に置かないと接続不良になる場面もあった

会場では試作品として、PCカード型の端末と目測で5cm四方程度の小型ハブを用いたデモンストレーションが行なわれた。内容は、応用例として挙げた薬ビンと携帯端末、パソコンとプロジェクターの接続のほか、専用端末((株)ソニーの小型ノートパソコン“VAIO type U”を組み込んだ手作り感溢れるもの)を使って美術館に使った場合のデモも行なわれた。入場ゲートに“外国人用”“大人用”“子供用”の入り口を模した足踏み式センサーと、絵画の前に置かれたセンサーを設置。最初にどのゲートを通過したかを足(靴)越しに検知して、音声説明を英語や子供向けの易しい内容に変更し、絵画の前に立つとその説明が自動的に端末から流れる、というもの。

かなり大掛かりで、手作り感のある美術館向け端末のデモ 入り口のゲートを模した足踏みセンサー
かなり大掛かりで、手作り感のある美術館向け端末のデモ。3人が乗っている場所がセンサーで、端末の画面に説明の映像が表示されるほか、背後の絵画に関する説明が音声で流れているこちらは、入り口のゲートを模した足踏みセンサー。どこを通ったかによって、端末が再生する音声の言語や内容が変わる

今後はレッドタクトンに興味を持った企業・団体などに機器を貸し出し、技術的検証と事業化の検証を進めるという。機器貸し出しの申し込みや詳細などは、公式ウェブサイト(http://www.redtacton.com)を参照いただきたい。

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