このページの本文へ

楽天、2004年度の経常利益は前年度比3.5倍――「EC事業は今後も加速」

2005年02月17日 23時15分更新

文● 編集部 伊藤咲子

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

楽天(株)は17日、2004年度(2004年1月~12月)の決算説明会を開催した。売上高は455億6000万円(前年比152%増)、営業利益は150億5000万円(同217%増)、経常利益は154億円7000万円(同248%増)となった。事業別に売上高をみると、主力のオンラインショッピングモール“楽天市場”の運営を行なうEC関連事業の売上高は207億2000万円(同75.3%増)、新たに進出した金融事業は139億1000万円であった。また、“インフォシーク”などポータルサイトの運営を行なうポータル事業は57億2000万円(同14.9%増)、“楽天トラベル”など宿泊予約やチケット販売などを行なうサイトの運営を行なうトラベル・エンターテイメント事業は61億4000万円(同144.4%増)であった。

代表取締役会長兼社長の三木谷浩史氏
代表取締役会長兼社長の三木谷浩史氏。(株)ライブドアのニッポン放送株式取得に関連して、メディア買収に関する質問があがったが、ノーコメントとしたうえで、「検討中、勉強中ですね」と付け加えた

代表取締役会長兼社長の三木谷浩史氏は、2004年度を、「楽天グループの将来を担うような準備をした」と総括した。“準備”とは、(1)昨年9月の(株)あおぞらカードの買収(買収金額は74億円)などEC/ポータル/ト ラベル/金融分野での積極的な投資/買収、(2)主要サービスのブランド/会員IDの統合、(3)プロ野球参入の3点。(1)のM&Aによる事業基盤の拡大に伴って、特別損失に連結調整勘定償却(“のれん代”の一括償却)/持分法投資損失を計上したことにより、最終損益は142億7000万円の赤字(前期は526億4000万円の純損失)となった。

野球参入効果と今後の成長速度

同社は、昨年11月に(株)楽天野球団(チーム名は東北楽天ゴールデンイーグルス)を設立した。設立時期にあたる第4四半期(2004年10月~12月)には、楽天市場の流通総額が過去最高の707億4000万円(過去2番目にあたる前期は522億6000万円)を記録し、新規出店数も過去最高の1525件(過去2番目にあたる前期は888件)を記録した。野球参入効果について三木谷氏は、ユニークユーザーの年齢別/性別構成比のような詳細は算出/分析できていないが、野球参入によって、一般ユーザー/出店者の楽天の認知度は高まったとした。2005年度には楽天ブランドの本格的利用(詳細不明)も検討しているという。

楽天市場の流通総額 新規出店/退店の推移
楽天市場の流通総額(説明資料より)新規出店/退店の推移(説明資料より)
楽天市場のビジネスモデルは、楽天/出店者/一般消費者のBtoBtoC型であり、野球による楽天ブランドの認知向上に関しては、一般消費者だけでなく、出店者に与えたインパクトがとても強かったという
購入者の分析
購入者の分析(説明資料より)。2004年度第4四半期の“ユニーク購入者”は約263万人で、平均購入回数は約2.2回。注文件数は594万回で、1注文あたりの購入金額は約9900円

楽天市場の今後の成長速度については、「Eコマースの市場自体はまだまだ大きくなると思っている。この会場にも、まだインターネットでモノを買ったことがない方がいるだろうし、1回買ってみればどんなに便利かわかると思う。我々のサービス自体も、日本郵政公社とタイアップして配送料が安くなったが(出店者向け、1月発表)そういうことだけでなく、(一般消費者が)モノをさらに選びやすくなる機能をますますアップさせていく。今までどちらかというと、“指名買い”とか“何となく見てて買おうか”というのが多かったが、これからは“リコメンデーション”。(楽天市場に)マーケティング機能をどんどん付加して、成長を加速させていくべく、成約をどんどん取っていく」と、今後の機能拡充の方向性を紹介し、明るい見通しを述べた。

なお、2005年度の全体の戦略としては、“投資・拡大サイクルの確立”“売上の増大による利益拡大路線へ”というスローガンが紹介された。2月20日にはインフォシークと楽天のIDが統合される。

三木谷浩史氏
左から三木谷氏、取締役常務執行役員の山田義久氏、常務執行役員の國重惇史氏。今年1月以降の実績については、「細かい数字については申し上げられないが、お正月がどうかなと思ったが、それ以降は調子がいい」(三木谷氏)

カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン