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【PAGE 2005 Vol.2】制作システムのIT化=JDFへの急速なシフトを強烈に印象付ける各社の展示内容

2005年02月07日 17時50分更新

文● 千葉英寿

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“PAGE 2005”の展示会場では制作システムのアップデートや制作に関わる新たなサービスなどが紹介され、プリプレスでは重要な課題となっている“JDF(Job Definition Format、作業・工程管理などのマネージメントシステムと生産機器の情報伝達を双方向で行なう業界標準フォーマット)対応”に関する展示を中心に展開されていた。

QuarkXPressのデモはいつも満席状態だったクォークジャパンのブース
QuarkXPressのデモはいつも満席状態だったクォークジャパンのブース

制作システムの要であるDTP(デスクトップパブリッシング)アプリケーションには、大きな機能更新のある製品があまり見られなかった。その中で、昨年(2004年)Mac OS X対応を果たしたクォークジャパン(株)の“QuarkXPress(クォークエクスプレス)”は、昨年末よりアップデートファイルの提供を開始した最新バージョン『QuarkXPress 6.5日本語版』を出品した。同社ブースにおいて、

  • フィルターの適用/色調節/色変換などの画像編集をQuarkXPressのレイアウト内から実行できるXTensions(専用機能拡張)『QuarkVista』
  • Adobe Photoshopのネイティブ画像(PSDファイル)をインポート可能にするXTensions『PSD import』
  • OpenTypeおよびCIDのフォントダウンロード機能

などのデモを行っていた。また、同社のエンタープライズ向けのコンテンツ管理ソフト『Quark Content Management』などのソリューションについても、導入事例を交えつつ説明を行なっていた。

クォークジャパンの隣にブースを構えた(株)恒陽社は1000本以上の導入実績を持ち、QuarkXPress 6日本語版への対応を果たしたデータベース対応自動組版XTension『DBPublisher』を紹介していた。

QuarkXPressのデモはいつも満席状態だったクォークジャパンのブース
フォントワークスよりもLETSへの対応を強調していたイワタのブース

フォント関連では、(株)フォントワークスジャパンが入会金と年会費で同社の全書体(OpenType145書体/CID145書体/OCF117書体)、全フォーマット(Mac OS:OpenType&CID/Windows:OpenType/TrueType)の提供や、DTP関連のさまざまな情報提供といったトータルなフォント環境サポートを行なう制作支援プログラム『LETS(Leading Edge Type Solution)』をデモンストレーションしていた。同時にMacromedia Flashのクリエイター向けに“ASPサーバー対応版LETS”も同時に紹介。なお、(株)イワタも同社ブースにおいてLETSへの参入を発表していた。

また、ダイナコムウェア(株)はOpenTypeシリーズの新製品『DynaFont Open Type Pro』(Mac OS X/Windows対応)として、3月25日の発売を予定している“Adobe-Japan 1-5(拡張文字セット)”準拠の明朝・ゴシック体などの基本書体を収録した『平成書体パック』と、第2弾に発売予定の“Adobe-Japan 1-4”に準拠したダイナフォントの人気書体を収録した『人気書体パック』を紹介していた。



“Adobe RGB”に対応した(株)ナナオの液晶ディスプレー『ColorEdge CG220』 ヤノ電器(株)は、ギガビットイーサネットに対応したエヌレイドシリーズを出品
sRGBよりも広い色空間を表現できる“Adobe RGB”に対応した(株)ナナオの液晶ディスプレー『ColorEdge CG220』(右)は、非対応機と比較して展示していたヤノ電器(株)は、Gigabit Ethernetに対応した“エヌレイドシリーズ”を出品。外部とのデータ共有、成果品データの保管、作業用データのバックアップと用途を分けて活用する提案をしていた

このほかにも、カラーマッチング対応ディスプレーやストレージなどの制作現場向けの周辺機器が紹介されるとともに、一見すると印刷には関係なさそうだが、メディアとしてみれば実は密接な関係性が見えてくるCD/DVDチェンジャーや携帯電話などの新製品も展示されていた。

(株)ディジタルストリームスのブースでは、DTPデータをCD-R/DVD-Rに自動バックアップする『DIGIWARP for Windows』を搭載したDVD-R/CD-Rパブリッシングシステムが展示されていた モリサワは携帯電話や電子書籍、電子辞書などに利用される高圧縮アウトラインフォント『KeiType』を紹介
(株)ディジタルストリームスのブースでは、DTPデータをCD-R/DVD-Rに自動バックアップする『DIGIWARP for Windows』を搭載したDVD-R/CD-Rパブリッシングシステムが展示されていたモリサワは携帯電話や電子書籍、電子辞書などに利用される高圧縮アウトラインフォント『KeiType』を紹介していた。写真は(株)エヌ・ティ・ティ・ドコモ(NTTドコモ)のiモード端末『F901iC』に搭載された同社の新ゴフォント

富士ゼロックス(株)は、アドビ システムズ(株)/富士フイルムグラフィックシステムズ(株)/大日本スクリーン製造(株)/モリサワ/セイコーエプソン(株)といった、広告・出版物の制作環境に不可欠なパートナー企業とともに進めている、従来のワークフローを見直し、フルデジタルによるワークフローの確立を支援するソリューション“inter-Graphics(インターグラフィックス)”と、その対応第一弾サービスである“カラーマッチングRIPサービス”を大きく紹介していた。

同サービスはクライアント(一般企業)、出版/新聞社、広告会社、デザイン/制作会社、製版会社、印刷会社といったユーザー同士が、インターネットとウェブサイトのオープンな環境(インフラ/インターフェース)を通じて共通のプラットフォーム(inter-Graphics)で作業を行なう場を提供するもの。カラーマッチングRIPサービスは各ユーザーが利用するカラープリンターごとに適正にカラーマッチングされた校正原稿をinter-Graphicsのセンターサーバーで生成するサービスだという。

富士ゼロックスの“inter-Graphicsコーナー”
富士ゼロックスの“inter-Graphicsコーナー”では第一弾として提供される“カラーマッチングRIPサービス”が大々的にPRされた

こうしたワークフローの再構築は、プリプレス(印刷前工程)/プレス(印刷)/ポストプレス(印刷後工程)の分野では生産/工程管理/経営管理といった印刷に関する業務全体の最適化をコントロールする“JDFワークフロー”による“印刷CIM(コンピューターによる統合管理)”のソリューション構築が重視されており、PAGE 2005の印刷関連ブースは“JDF一色”という様相を呈していた。会場では、JDFワークフローを含むCIM、さらにEDI(電子データによる企業間情報流通)/EC(電子商取引)にまで広がるデジタルネットワーク化を俯瞰した“JDFマップ”なるものも無料配布されていた。

(株)ディジタルストリームスのブースでは、DTPデータをCD-R/DVD-Rに自動バックアップする『DIGIWARP for Windows』を搭載したDVD-R/CD-Rパブリッシングシステムが展示されていた メディアテクノロジージャパン/大日本スクリーン製造のブースでのJDF対応ソリューション“Trueflownet”のデモ
JDFステーションでは参加ベンダーによりセミナーが行なわれた各JDF対応ベンダーのブースにおいても、JDFソリューションを紹介が行なわれると来場者は熱心に聞き入っていた。写真はメディアテクノロジージャパン/大日本スクリーン製造のブースでのJDF対応ソリューション“Trueflownet”のデモ

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