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どうなる?一太郎&花子――東京地裁、特許権の侵害を認め、一太郎および花子の製造・販売の中止を命じる

2005年02月01日 20時04分更新

文● 編集部 小西利明

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10日に発売予定の最新版、『一太郎2005&花子2005スペシャルパック[三四郎2005 特別搭載版]』のパッケージ10日に発売予定の最新版、『一太郎2005&花子2005スペシャルパック[三四郎2005 特別搭載版]』のパッケージ

東京地方裁判所は1日、(株)ジャストシステムのワープロソフト“一太郎”およびグラフィックソフト“花子”により特許権を侵害されたとして、松下電器産業(株)が両製品の製造および販売の差し止めと、製品の破棄を求めた訴訟について、特許権の侵害を認め、両製品の製造販売、および製品の廃棄を命じる判決を言い渡した。ジャストシステムは控訴する予定。

松下電器産業が侵害されたと主張する特許とは、同社が1989年に出願、1998年に公開された“情報処理装置及び情報処理方法”(特願平1-283583)。ある種のヘルプ機能についての特許で、“機能説明を指示するアイコン”を、機能を知りたい対象の上にマウスを使ってドラッグ&ドロップすることで、その機能の説明を行なうアプリケーションを起動するというもの。特許公報によれば対象となる利用分野は、“日本語DTPやワープロ等”としている。同社は2002年11月に仮処分申請を行なっていたが、2003年6月に申請を一旦取り下げ、2004年8月に改めて提訴を行なっていた。

訴訟では松下電器産業が特許を主張する機能について、ジャストシステム側は「従来から同様の表示はキーボード操作で行なえたので、特許は無効」と主張していた。東京地裁による判決では松下電器産業側の主張を認め、両製品の製造と販売を差し止め、同時に製品の破棄を命じた。

松下電器産業はこのほかに、ジャストシステムの統合ソフト『ジャストホーム2家計簿パック』が同特許を侵害しているとして、製品の製造販売の差し止めと、ジャストホーム2家計簿パックをプレインストールして出荷された(株)ソーテックのパソコンの販売差し止めを求める訴訟を起こしていた。しかし東京地裁は2004年8月31日の判決で、特許侵害には当たらないとして、松下側の請求を棄却する判決を下していた。今回の判決では、これとまったく異なる判断が下されたことになる。

今回の判決で心配されるのは、発売が10日に迫った『一太郎2005』『花子2005』に対する影響であるが、この件に関してジャストシステムは同日に行なわれた会見で、「今後お買い求めいただくユーザー様には、ご心配をおかけするふしはないと認識している。過去のユーザー様には一切ご心配をおかけすることはないと思うので、安心して使っていただきたい」と発表した。同社ホームページ上でも、控訴手続きを進めていることと、一太郎2005、花子2005は予定どおり発売されるとの発表がなされた。一方松下電器産業は、「今回の判決は、当社の主張が認められたものと考えます。なお、今後の展開を見守っていきたいと考えています」とのコメントを発表した。

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