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エルピーダメモリ、2004年度第3四半期の業績を発表――前年同期比で大幅増収増益なれど、通期の見通しは下方修正

2005年01月24日 22時45分更新

文● 編集部 小西利明

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業績説明の後、報道陣の質疑に答えるエルピーダメモリ代表取締役社長兼CEOの坂本幸雄氏
業績説明の後、報道陣の質疑に答えるエルピーダメモリ代表取締役社長兼CEOの坂本幸雄氏
エルピーダメモリの当期決算(左赤枠内)と、前期および前年同期の実績の比較(同社発表資料より引用)
エルピーダメモリの当期決算(左赤枠内)と、前期および前年同期の実績の比較(同社発表資料より引用)

DRAM製造大手のエルピーダメモリ(株)は24日、2004年度第3四半期の業績を発表した。前年同期と比べて、売上高は209.2%の約561億円、営業利益、経常利益ともに前年度業績に10億円以上の上積みし、増収増益を達成した。ただし2004年度通期の利益予想に関しては、2004年11月発表の予想を若干下方に修正し、売上高が2110億~2140億円、経常利益では127億~167億円としている。デジタル家電向けDRAMが在庫調整局面にあるほか、携帯電話向けDRAMも成長が鈍化しているためとしている。

同社代表取締役社長兼CEOの坂本幸雄氏によると、2004年度第3四半期(2004年10月1日~12月31日)の連結決算は、売上高が約561億3600万円で、前年同期の約268億3600万円の209.2%の大幅増収となった。営業利益は昨年の約-90億5800万円から、約56億3900万円に。経常利益も昨年の約-92億7200万円から、37億6800万円へと増益している。2004年度9ヵ月間の累積では、売上高が約1563億円、営業利益は約140億円と、大幅な黒字に転換している。

同社製品がターゲットとするアプリケーション別に見ると、サーバー用DRAMや携帯電話向けDRAMといった“プレミアビジネス”が好調だったのに対し、同じプレミアビジネスに分類されるデジタル家電向けはマイナス成長に止まり、パソコン向けも同様であったという。平均売価は5ドル台半ば(約515円、256Mbit品換算)で、約7%下落となった。デジタル家電分野の鈍化は、アテネ五輪特需を見込んだデジタルTVやHDD/DVDレコーダーが期待ほど伸びず、年末商戦向けに在庫調整が行なわれたためとしている。また携帯電話向けDRAMも成長見込みに対して減速したため、これらの要因が重なって、通期予想の下方修正に至ったとしている。



同社の売上高に占める目的別の構成比。2004年下半期の携帯・デジタル家電向け売り上げが予想ほど伸びず、通期の下方修正につながった 携帯端末・デジタル家電向けDRAMの売り上げ推移と予測のグラフ。予想より落ち込んだ分の7割をパソコンやサーバー向けDRAMで補う
同社の売上高に占める目的別の構成比。2004年下半期の携帯端末・デジタル家電向け売り上げが予想ほど伸びず、通期の下方修正につながった携帯端末・デジタル家電向けDRAMの売り上げ推移と予測のグラフ。予想より落ち込んだ分の7割をパソコンやサーバー向けDRAMで補う

通期予想については、前回発表時が売上高約2201億円、経常利益が232億円と予想されていたが、新しい予想では売上高が2110億~2140億円、経常利益は127億~167億円と、それぞれ約61~91億円、約65~105億円の減額となった。通期予想の下方修正について坂本氏は、「私共はそんなに変わっていないと認識している。第3四半期は増収増益となっており、他社の営業利益は落ちている」としている。またプレミアビジネスに注力し、フラッシュメモリーやロジックICなどは手がけない戦略についても、修正の必要はないとした。

2005年度以降の見通しについては、DRAMのbit成長率自体はここ数年の傾向である45~50%増を維持するが、90nm製造プロセスへの移行が遅れ、需給関係はタイトになると分析している。市場の傾向予測としては、デジタルTV分野は2005年に米国を中心に大きく伸び、搭載するメモリー量もDDR-333を128~256Mbit程度搭載する現在から、2007年度にはDDR2-800を256M~1Gbit程度搭載へと増量すると予測している。携帯電話市場はハイエンドとローエンド(スーパーローエンド)に二極分化する一方で、中国の携帯電話メーカーが強いミドルレンジは厳しいと、坂本氏は述べた。

携帯電話およびデジタル家電向けDRAMのダイサイズの予想グラフ。携帯電話向けの場合、2003年第2四半期時点では0.11μm製造プロセスを使用して83mm2のサイズがあったが、今年第3四半期には90nm製造プロセスに切り替わり、35mm2へと縮小される
携帯電話およびデジタル家電向けDRAMのダイサイズの予想グラフ。携帯電話向けの場合、2003年第2四半期時点では0.11μm製造プロセスを使用して83mm2のサイズがあったが、今年第3四半期には90nm製造プロセスに切り替わり、35mm2へと縮小される

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