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JEITA、2005年の電子工業生産見通しを発表――前年比微増の21兆円台と予測。まだまだ続くデジタル家電特需?

2004年12月21日 21時08分更新

文● 編集部 小西利明

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JEITA会長であるソニー代表執行役社長の安藤国威氏
JEITA会長であるソニー代表執行役社長の安藤国威氏

(社)電子情報産業協会(JEITA)は21日、来年のエレクトロニクス機器の国内生産金額の予測である“2005年電子工業生産見通し”を発表した。2004年はデジタル家電や電子部品の好調により、2003年比で106.1%の約20兆4826億円を見込んでいる。2005年は伸び率はやや減速しつつも、20兆円の大台を超える約21兆670億円に達する見通し。ちなみに国内生産は、海外で製造、組み立てが行なわれる製品、部品については含まれておらず、製造工程のある程度は国内で行なわれているもののみが計上されている。そのため海外生産比率の高い製品については、国内出荷台数と国内生産台数は比例しない。

まず2004年の電子工業生産の概況については、アテネオリンピック開催にともなう液晶/プラズマTVやHDD/DVDレコーダーの好調や世界的な景気回復により、2001年以来3年ぶりの20兆円台を回復すると見ている。JEITA会長の安藤国威氏(ソニー(株)代表執行役社長)は2004年の概況について、「日本経済全体は一時的な調整局面もあったものの、基本的には緩やかな景気回復の軌道を歩んでいる」と述べた。ただし今年後半にかけての原油や素材の高騰、円高ドル安傾向が懸念材料であり、注意を払う必要がある。しかし中長期的には悲観することはなく、成長余力は十分にあるとした。また2005年については、好調なデジタル家電を中心としたデジタル機器がビジネスを引っ張っていく傾向が続くと期待するが、一部には減速感も出ており、産業用電子機器などを含めた全体の先行きは楽観視できないと述べた。

続いてJEITA専務理事の金子和夫氏により、2004年の全体および3分野の概況と、2005年の見通しについての説明が行なわれた。まず“民生用電子機器生産”の推移については、2004年は液晶/プラズマTVやカーナビゲーションシステム、DVDレコーダーやデジタルカメラなどのデジタル家電が非常に好調で、分野全体では2003年に比べて、伸び率で14.6%増加。金額では約2兆6500億円を見込んでいる。2005年も引き続き成長傾向にはあるが、伸び率は前年、前々年(14.2%)よりはやや鈍化した13.8%を見込んでいる。

家電など民生用電子機器生産推移(2004年、2005年は見込み)
家電など民生用電子機器生産推移(2004年、2005年は見込み)

個々の製品分野別に見ると、薄型TVやDVDレコーダーは引き続き好調と見られ、特に地上デジタル放送の受信エリア拡大にともない、デジタル放送チューナー内蔵の薄型TVが伸張すると予想している。特に大画面化と地上デジタル放送対応でさらなる伸びが期待される液晶TVについては、前年(2004年)比で165.4%という伸びが予測されている。大画面TVの価格下落などの要因もあるが、それ以上に台数が伸びるという観測だ。またDVDレコーダーは110.8%、カーナビゲーションシステムも111.9%という高成長が期待されている。デジタルカメラについては、国内需要は多少の減速は見られるものの、旺盛な海外需要により110.5%を見込んでいる。

厳しい予測が打ち出されているのは、携帯電話やパソコンを含めた“産業用電子機器生産”である。この分野は2003年以降微減が続いており、2004年は伸び率で-0.4%の約7兆7736億円、さらに2005年は伸び率で-1.4%の約7兆6634億円と予測されている。特に携帯電話を含む無線通信機器の分野が、携帯電話の不振によって2003年に比べて2桁減の88.9%に止まることが大きい。これは国内普及率が高止まりしているのに加えて、カメラ付き携帯電話が普及した2003年の反動や、第3世代携帯電話への以降の狭間にあるためとしている。携帯電話の国内生産は、2005年には前年比100.1%の横ばいと予測されているが、新規加入の頭打ち傾向が解消される見込みがなく、第3世代携帯電話への買い換えが頼みの綱となりそうだ。

またパソコンについても、2004年は前年比97.6%の1兆1729億円、2005年は台数ベースは増加するものの、価格低下と海外生産移転の増加により、国内生産は前年比89.6%の1兆504億円と見込まれている。

“電子部品・電子デバイス生産”の分野については、デジタル家電特需に沸いた2004年は、伸び率で9.5%の10兆570億円が見込まれている。半導体素子や半導体集積回路は、前年比でそれぞれ114.1%の1兆977億円、108.1%の3兆7172億円と好調であった。2005年は海外生産の増加や低価格化の影響を受け、伸び率は3.3%、金額では10兆3845億円と予想されている。

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