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日本オラクル、“Oracle .NET Summit in 東京”を開催――オラクルのシステムと.NETによるシステム開発を促進

2004年11月29日 22時32分更新

文● 編集部 小西利明

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日本オラクル(株)は29日、東京コンファレンスセンター品川にてIT開発者向けセミナー“Oracle .NET Summit in 東京”を開催。同社のソフトウェア製品とマイクロソフト(株)の“.NET”に対応する開発環境を活用したシステム開発についての講演を行なった。同セミナーは11月24日に大阪にて第1回目が開催されており、今回で2回目となる。

日本オラクル マーケティング本部の杉崎正之氏
日本オラクル マーケティング本部の杉崎正之氏

基調講演を行なった同社マーケティング本部の杉崎正之氏は講演の冒頭で、一般的にはライバルと目されている同社とマイクロソフトが共同で開発者向けセミナーを行なうことについて、「非常に珍しい感じだと思う。オラクルは今まで、アプリケーションの構築に関してはJava、という形でメッセージアウトをしてきた」と切り出した。そしてWindowsプラットフォームと.NET環境に、同社が非常に力を入れていると述べ、「Javaだけでなく、.NETでもオラクルなのだ」と、同社のシステム製品が、特定の開発環境に依存しない柔軟さを備えている点を強調した。

また同社の戦略について、ユーザーにとってはシステム個別の最適化によるコストの増大が最大の問題であるとしたうえで、“Oracle 10g”シリーズによって解を示したとした。そして部門ごと、業務ごとに分断された現状のシステムがいまだに主流である点について、ハードウェア資源を統合し、共用できる柔軟性の高いグリッドコンピューティングへの移行が重要であると述べた。そしてOracle 10gシリーズでは、システムをノード単位で業務の規模に合わせて拡大/縮小する機能が加わっているとした。



分断化されたシステムでは、運用や拡張にも無駄なコストがかかる(左)。同社ではハードウェア資源を共用した柔軟性のあるグリッドコンピューティング(右)へ移行することで、こうしたコストを削減できるとする

そして第1章に当たるOracle 10gに続く第2章として、同社は.NETのアプリケーションを推進する。分断化されたハードウェアを統合するだけでなく、分断化されたソフトウェアを相互に連携させるには、アプリケーション同士でワークフローを相互にやり取りするための口を設ける必要がある。そのためには、日本で非常に多い過去の“Visual Basic”で開発されたアプリケーションを、.NET環境に移行させることで、これを可能にするというわけだ。

同社の定義する“Information Architecture”では、同社の提供するデータベースやアプリケーションサーバーと、企業内のアプリケーションをつなぎ合わせるが、そのために.NETとの連携が重要になるという
同社の定義する“Information Architecture”では、同社の提供するデータベースやアプリケーションサーバーと、企業内のアプリケーションをつなぎ合わせるが、そのために.NETとの連携が重要になるという
マイクロソフト デベロッパーマーケティング本部 プロダクトマーケティング部 部長の北川裕泰氏
マイクロソフト デベロッパーマーケティング本部 プロダクトマーケティング部 部長の北川裕泰氏

続いて登壇したマイクロソフト デベロッパーマーケティング本部 プロダクトマーケティング部 部長の北川裕泰氏により、同社の.NET戦略の現状と、開発環境のロードマップについての短い講演が行なわれた。始めに北川氏は、「10年来競合の立場と言われ続けていたマイクロソフトとオラクルの関係を、ワールドワイドで見直している」と話し、ユーザーがマイクロソフトの.NETテクノロジーと新しいオラクルのデータベースへのアップグレードを希望していることが、このような共同でのイベント開催へとつながったと語った。

.NETベースの開発環境については、調査会社による北米でのデータを引き合いに出し、過半数の開発者がすでに活用しているとした。また.NETベースのアプリケーションとWin32 APIベースのアプリケーションでは、.NETの方が信頼性とパフォーマンス、セキュリティー面でいずれも優れているとした。そのうえで、.NETを広めるためにはパートナーシップが重要として、オラクルが開発者支援プログラムである“Visual Studio Industry Partner(VSIP)プログラム”のパートナーに加わったことを歓迎した。



北川氏は講演の中で、.NET環境の着実な広がりとWin32に対する利点をアピールしたうえで、オラクルが有力パートナーになったことを歓迎した
北川氏は講演の中で、.NET環境の着実な広がりとWin32に対する利点をアピールしたうえで、オラクルが有力パートナーになったことを歓迎した

Visual Studio .NETの今後の展開については、開発環境やプログラミング言語の強化、XMLウェブサービスのサポート拡張、64bit CPUサポートに対応した『Visual Studio 2005』(コード名Whidbey)が、現在次のβ版の準備中で、来年には発売されるという。またVisual Studio 2005より、.NETアプリケーションを動作させるソフトウェアプラットフォームである“.NET Framework”がバージョン2.0になることも告知された。

さらにその次のVisual Studioであるコード名“Orcas”については、次世代Windows“Longhorn”をベースとして、Longhornの登場と同時期にリリースされる予定であるとした。Win32 APIに変わるLonghornのプログラミングインターフェース“WinFX”に対応するほか、Longhornの新グラフィックスユーザーインターフェースなどにも対応するとのことだ。

Visual Studioシリーズのロードマップ。Longhorn対応アプリケーションの本格的な開発には、Orcasの登場が待たれる
Visual Studioシリーズのロードマップ。Longhorn対応アプリケーションの本格的な開発には、Orcasの登場が待たれる

基調講演後には従来のVisual Basic(VB)の開発者に向けて、“VBユーザーのためのVB .NET”と題したセミナーが行なわれた。セミナーではマイクロソフト デベロッパーマーケティング本部の大野元久氏により、VB .NETの利点や.NET開発環境への移行の指針、既存のVBアプリケーション資産をVB .NETに移行する際の注意点など、実用的な情報が披露された。VBの特徴であるグラフィカルな開発環境と多数のサードパーティー製コントロールを受け継ぎながら.NET対応アプリケーションを開発できるほか、オブジェクト指向プログラミングやマルチスレッド対応といった利点についても語られた。

Visual Basic .NETは、業務用アプリケーション開発で多用されたVisual Basicのエッセンスをそのままに、開発者を.NET環境へと移行させることを目指す マイクロソフトがイメージする開発環境移行の指針。JavaやC/C++によるWin32開発環境はレガシー的位置付けに置かれ、Visual C# .NETかVB .NETへの移行が推奨されている
Visual Basic .NETは、業務用アプリケーション開発で多用されたVisual Basicのエッセンスをそのままに、開発者を.NET環境へと移行させることを目指すマイクロソフトがイメージする開発環境移行の指針。JavaやC/C++によるWin32開発環境はレガシー的位置付けに置かれ、Visual C# .NETかVB .NETへの移行が推奨されている

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