レイヤー、テーブル機能で操作性が向上
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| 画面1 ツールパレットも含めて、外観上の変化はほとんど無い。ショートカットも前バージョンと同じだ。PowerMac G4 Dual-1GHzで試用したが、動作はやや遅い印象だ。Carbon Mach-Oアプリケーションなので、十分にOS Xに最適化されていないからだろう。 |
印刷業界標準となっているレイアウトソフト、「QuarkXPress 6 日本語版」(以下6J)がMac OS X対応となった。長らく業界標準を保ってきたとはいえ、前バージョンはほかのデザイン系ソフトの水準からすると、データ制作の上で十分な機能を備えているとは言い難かった。今回のアップデートでまず目につくのは、そうした機能の追加だ。
特にテーブル機能の追加は、作業効率を大幅にアップさせる。今までは、表組みを作る際は、テキストボックスと罫線を組み合わせたり、XTension(プラグインソフト)を利用して、手間がかかっていた。マルチアンドゥ機能、レイヤー機能も待望されていた機能の1つだ。今までもオブジェクトの上下の重なりを設定することはできたのだが、隠れたオブジェクトが残ってしまうトラブルがあったので、歓迎される機能である。そのほか、貼り込んだ画像を高解像度プレビューできたりと、細かい点でブラッシュアップされている。
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| 画面2 選択アイテムを違うレイヤーに移すときには、レイヤーパレット上に表示されている四角い点線のアイコンを、移動させたいレイヤーにドラッグ＆ドロップする。アドビ系のアプリケーションと同じ操作方法だ。 |
総じて見ると、Mac OS X対応となった新バージョンの割には追加された機能は少ない。しかし、逆に言えば、それだけ前バージョンの使い勝手と変わらないことを重視したとも言える。例えば、テキストエンジンは4.1Jと変わらず、フォントさえ同じものを使えば、まったく同じ文字組みのまま6Jで開くことができる。操作性を含めた前バージョンとの同一性を保ったまま、新機能を追加したことが6Jの強みと言えるだろう。
惜しまれるのは、ダイナミックダウンロードに対応しなかったことだ。ダイナミックダウンロードとは、OpenTypeの重要な機能の1つで、イメージセッタにフォントをインストールすることなく高解像度印刷を可能にする。OpenType対応が期待されている理由の1つはコストの問題だ。NewCIDの業務用高解像度フォントは1書体数十万円と非常に高価なのに対し、1書体4万円前後のOpenTypeは、ダイナミックダウンロードで業務用高解像度印刷が可能なので、コストを大幅削減できる。もう1つの理由は、WindowsでもDTPが普及するかもしれないことだ。WindowsでDTP環境を構築しようとする場合、Windows用のフォントを購入せねばならず、周りが使っていないため検証の信頼性が低いとされ、デザイン会社ではほとんど導入されなかった。しかし、OpenTypeはMacとWindowsで全く同一のものであるため、WindowsでもMacと同等のDTP環境が再現できるのではないかと期待されていた。クォークジャパンはOpenTypeに対応するアップデートを年内に予定しているというが、料金を含めた詳細は未定だ。
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| 画面3 残念ながら、Excelからのコピー＆ペーストはできない。テーブルを使用したプロジェクトを4.0で保存すると、テーブルはテキスト＋画像ボックスのグループに変換されるので旧バージョンでも開ける。 |
結論として、6Jの導入を左右するのはフォント環境だろう。これまでQuarkXPressを使ってきてNewCIDでフォント環境を構築しているならば、導入を考えてもいい。アップルはOS 9が起動するデスクトップのG4を生産終了してしまうからだ。しかし、NewCID登場以前の主流フォントだった、OS Xでは使用不可能なOCFフォントでQuarkXPressを使ってきた、もしくは新規にDTPを導入するというのならば、ほかの選択肢を検討する余地はある。何しろ、QuarkXPress1本でInDesignを含むAdobe Creative Suite Premiumが買えてしまうのだから。あるいは、QuarkXPressのOpenType対応を待つというのも有力な選択肢と言えるかもしれない。
| QuarkXPress 6 日本語版の主なスペック | |
| 製品名 | QuarkXPress 6 日本語版 |
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| 動作環境 | Mac OS X 10.2以降 Windows XP／2000 |
