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インテル、“Embedded Technology 2004”の基調講演にて、デジタルホームの実現に向けた取り組みを語る

2004年11月17日 21時14分更新

文● 編集部 小西利明

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基調講演にて、デジタルホームへの取り組みを語る米インテル社デスクトップ・プラットフォーム事業本部副社長兼コンシューマ・エレクトロニクス事業部長のグレンダ・M・ドーチャック氏
基調講演にて、デジタルホームへの取り組みを語る米インテル社デスクトップ・プラットフォーム事業本部副社長兼コンシューマ・エレクトロニクス事業部長のグレンダ・M・ドーチャック氏

17日より19日まで、パシフィコ横浜にて組み込みデバイス関連展示会“Embedded Technology 2004”(主催:(社)日本システムハウス協会)が開催されている。17日の基調講演では、米インテル社 デスクトップ・プラットフォーム事業本部副社長 兼コンシューマ・エレクトロニクス事業部長のグレンダ・M・ドーチャック(Glenda M. Dorchak)氏が、“Embedding the Digital Lifestyle”と題した講演が行ない、デジタルホームの時代に向けた同社の取り組みについて語った。

まずドーチャック氏は、パソコンや家電、コミュニケーション機器(携帯電話など)の融合した市場が、4000億ドル(約42兆円)以上の規模になっていることに触れ、組み込み機器にはさらに大きなビジネスチャンスが提供されるとした。そしてこれらを促進する“3つの力”として、音楽を代表とするデジタルコンテンツ、ワイヤレスネットワークの普及、そして“ムーアの法則”に従って性能を向上させてきたプロセッサーを挙げた。特にデジタルコンテンツの流通量は、今年全世界で約25EB(エクサバイト、約250億GB)にもなり、来年には約40EBに達するという。



屋外や家庭のインターネット接続技術については、有線接続以外にワイヤレスWAN技術のWiMAXが有望であるとした
屋外や家庭のインターネット接続技術については、有線接続以外にワイヤレスWAN技術のWiMAXが有望であるとした

続いてドーチャック氏は、同社のデジタルホームのビジョンについて、“いつでもどこでも、どの機械でもアクセスできる”と定義したうえで、これらの機器には使いやすさと信頼性、シンプルさが求められているとした。また今後これらに使われるホームネットワーク技術についていくつかの技術を例として挙げたが、中でも家庭内ではUWB(Ultra Wide Band)によるワイヤレスPAN(パーソナルエリアネットワーク)や現在策定中の“IEEE 802.11n”による高速ワイヤレスLANが、屋外利用ではWiMAX Forum(通信機器関連企業による業界団体)の定めた通信規格“WiMAX”によるワイヤレスインターネット接続について、重点を置いて言及した。いずれも同社がここ数年来、精力的に研究開発を行なっている技術である。WiMAXの製品についてドーチャック氏は、来年には市場に登場するという見方を示した。

デジタルホーム分野で組み込みデバイスにとって重要な製品分野として、ドーチャック氏はIPセットトップボックス(IP-STB)やデジタルビデオレコーダー、デジタルテレビ、エンターテイメントPCやポータブルメディアプレーヤーの3分野を挙げた。IP-STBとはCATVの単純なセットトップボックスとは異なり、ネットワークを介して家庭内に映像や音楽を配信したり、内蔵アプリケーションをアップグレード可能なAVサーバー的なものと定義した。ちなみに同社は、低電圧版CeleronプロセッサーとIntel 815チップセットを組み合わせたIP-STBのデザインをベンダー各社に提案しており、台湾Micro-Star International社などが、そのデザインに基づいたIP-STBを出荷している。

インテルが組み込みデバイスにとって重要なデジタルホーム機器として定義する3分野。いずれもAV再生機能やネットワーク接続を必要とする

また「デジタルホームが成功、繁栄していくためには、コンテンツとコンテンツ所有者の権利を守ることが重要である」として、コンテンツを保護しながらユーザーにとって使いやすく柔軟な方向に発展する必要があると述べた。そのためには標準技術が必要であるとして、同社を初めソニー(株)や松下電器産業(株)、(株)東芝、(株)日立製作所が共同で、昨年12月に策定したデジタルコンテンツのLAN内配信技術“DTCP-IP”(Digital Transmission Content Protection over IP)が、「現在最も普及している標準技術である」とアピールした。DTCP-IPの仕組みについては、基調講演内では簡単に述べられたに止まるが、同社は今年、さまざまな開発者向けイベントでDTCP-IPを盛んにアピールしており、DTCP-IPをデジタルホーム実現のための中核技術に位置づけていることが示された形だ。

講演の最後でドーチャック氏は、デジタルホーム実現に向けてパソコンやデジタル家電の相互接続性確立を目指す業界団体“DLNA(Digital Living Network Alliance)”の取り組みについて触れた。すでに世界で190社が参加をしており、DLNAが策定したガイドラインのVer.1.0に基づいた製品が今年第4四半期には登場するなど、DLNAの実績を述べたうえで、来場した開発者に対してもDLNAのコミュニティーへの参加と、ガイドラインに則した製品開発を呼びかけた。

昨年6月に17社でスタートしたDLNAも、現在では190もの企業が参加している。今年6月にはガイドラインの初版を発行している インテルはデジタルホーム実現のために、総額2億ドル(210億円)もの“デジタルホーム・ファンド”を設立。ハード/ソフト/サービス各社に投資を行なっている
昨年6月に17社でスタートしたDLNAも、現在では190もの企業が参加している。今年6月にはガイドラインの初版を発行しているインテルはデジタルホーム実現のために、総額2億ドル(210億円)もの“デジタルホーム・ファンド”を設立。ハード/ソフト/サービス各社に投資を行なっている

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