このページの本文へ

イー・アクセス、携帯電話サービスへの新規参入は1.7GHz帯で

2004年11月04日 23時45分更新

文● 編集部 伊藤咲子

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

ブロードバンドIP通信サービス事業のイー・アクセス(株)は4日、同日開催された総務省の研究会“携帯電話用周波数の利用拡大に関する検討会”を受け、同社の携帯電話サービスへの新規参入へ向けた方針/取り組みに関する記者会見を行なった。総務省の検討会は、携帯電話事業における競争の促進と周波数の有効活用の観点から、新規事業者の参入を含めた携帯電話用周波数帯の利用のあり方に関して、携帯電話通信事業者/新規参入を希望する事業者/有識者などが意見交換を行なうもの。総務省は、新規参入の周波数候補として、FDD(Frequency Division Duplex)方式の1.7GHz帯と、TDD(Time Division Duplex)方式の2GHz帯を挙げている。イー・アクセスの記者会見では、総務省の検討会で同社の代表が述べた意見を紹介するとともに、新規参入に向けた今後の方針を発表した。

代表取締役社長兼CEOの千本倖生氏
代表取締役社長兼CEOの千本倖生氏

イー・アクセスは、今回対象となる周波数(1.7GHz/2GHz)は、競争促進を図るために、すべて新規参入事業者に割り当てられるべきと主張している。1994年に第二電電(株)/日本テレコム(株)/日本高速通信(株)の“新電電”3社が参入したことにより、携帯電話の基本料金がエヌ・ティ・ティグループ独占だったそれ以前と比べて下落したことなどを例に、新規参入によって携帯電話の料金が下がり、市場が活性化するという。また、(株)エヌ・ティ・ティ・ドコモ/KDDI(株)/ボーダフォン(株)の既存3事業者については、当面は、割り当て済みの周波数で十分と考えているという。これは、既存3事業者は、現在割り当てられている周波数帯域幅の収容可能な最大加入者数まで、それぞれの現実の加入者数が到達していないというイー・アクセスの試算(※1)による。

※1 収容可能な最大加入者数は、現在既存3社に割り当てられている周波数帯域が232MHzで、約8400万人が加入している状況から、同社は1MHzあたり36万人と試算。その上で、それぞれ20MHz×2が割り当てられているNTTドコモ/ボーダフォンは、収容可能な最大加入者数が1440万人であるのに、実際の加入者数は約650万人/約26万人であるという。なおKDDIは、現実の加入者数を公表していないが、15MHz×2が割り当てられているため、上記の試算では1080万人が収容可能

パワーポイント(1)
1994年に新電電が携帯電話サービスに参入した時を例に、新規参入のメリットをアピール
パワーポイント(2)
既存の携帯電話3事業者は、割り当て済みの周波数で十分という

また、 郵政省(当時)の電機通信技術審議会の答申(1999年9月)を拠り所に、2010年までに2000万加入程度の市場拡大が見込まれること、アメリカ(1億5800万加入)/台湾(2300万加入)/香港(700万加入)では、6~7社が競合して移動体通信市場を形成していることなどを挙げ、新規参入事業者3社+既存3事業者の6社体制が適当だとした。イー・アクセスの試算(※2)によると、FDD方式の1.7GHz帯が2事業者で、TDD方式の2GHz帯が1事業者であれば最適だという。

※2 FDD方式の1.7GHz帯は、各事業者ごと10MHz×2(上下)を使用し、1MHzあたり36万人収容可能という試算※1から、1事業者あたり720万人収容可能、TDD方式の2GHz帯は15MHzを使用し、540万人収容可能と想定

2006年度中に1.7GHz帯のサービスを始めたい

イー・アクセスはこれまで、2GHz帯への参入を目指しTDD方式について積極的に実験を進めてきた。総務省が9月に新規参入用の周波数候補として1.7GHz帯を示した後、10月14日に書面で1.7GHz帯への参画の意向を伝えていたが、今回の記者会見では代表取締役社長兼CEOの千本倖生(せんもとさちお)氏によって「我々のプライオリティ(最優先事項)は、1.7GHz」と方針を転換したことが発表された。1.7GHz帯への方針転換は、2006年度(2006年4月~2007年3月)にサービスを開始したいという同社の意向が、背景にある。1.7GHz帯を選択したのは、2GHz帯よりも電波の“浸透率”が高いこと、メーカーに端末開発などのノウハウが蓄積していることなど、投資効率やサービス開始までのスピードを検討した結果だとした。

なお、同社が目指すサービスのコンセプトは、“低料金・高速・定額のモバイルブロードバンドサービス”で、「パソコンを通じてインターネットにアクセスする場合も含めた“純”定額。ADSLのモバイル版」(新規事業本部長の諸橋和雄氏)だと紹介した。具体的なサービス料金は未定。“W-CDMA”“CDMA2000 1x”のどちらの方式を採用するかも未定としている。



カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン