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フィリップス、テレビ向け半導体事業に関する記者説明会を開催――世界の液晶テレビ市場を牽引する日本メーカーに最新ソリューションを提供

2004年10月28日 16時23分更新

文● 編集部 内田泰仁

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日本フィリップス(株)は27日、同社のテレビ向け半導体事業事業の取り組みに関する記者説明会を開催し、同社や本社であるオランダのロイヤル・フィリップス・エレクトロニクス(Royal Philips Electoronics)社および関連企業のフィリップス・セミコンダクターズ(Philips Semiconductors)社のTV向け半導体ソリューションの展開について説明を行なった。

フィリップス・セミコンダクターズのシニアバイスプレジデント、カーステン・オッテンバーグ氏

フィリップス・セミコンダクターズのコンシューマー製品向け半導体の比率
フィリップス・セミコンダクターズのコンシューマー&マルチメディアグローバルマーケットセグメント担当シニアバイスプレジデント、カーステン・オッテンバーグ(Karsten Ottenberg)氏によると、フィリップスグループの半導体事業は、2003年度の収益が49億ユーロ(約6700億円)で、グループが掲げるコンセプト“コネクテッドホーム”“コネクテッドコンシューマ”(ネットワークや放送などを通じて、家庭およびコンシューマーが“情報”“サービス”をつなげる、というもの)の実現に向けた、半導体ソリューションの提供に照準を絞った展開を行なっているという。2004年のコンシューマー向け事業のアプリケーション比率は、トップがテレビ(全体の34%)、続いて車載製品(21%)、以下、オーディオ、DVD、ディスプレー関連の新技術など。製造/組み立て拠点は全世界に20ヵ所あるというが、パソコン向けプロセッサーやメモリーといった事業は行なわないという。

“コネクテッドホーム”“コネクテッドコンシューマー”の考え方では、家庭にホームサーバーのような大きな“センター”は必ずしも必要はなく、必要に応じた必要なデバイスでサービスや情報にコンシューマーがアクセスできることが重要であるという。このコンセプトのもと、同グループでは“コネクテッドコンシューマ”の要求に応え、

ユーザー中心のデザイン
個人ユーザーのコンテンツ管理のニーズに沿った魅力的なデザインと、リビングルーム向けの手頃な価格帯の実現
導入のしやすさ
設置しやすさや使いやすさに考慮し、新しいデバイスや機能を徐々に追加できる発展性を盛り込む
先進性
高品質なビデオ/オーディオ機能の提供と“ルック・アンド・フィール”の設計

をテーマとした製品の開発と提供を進めているとしている。半導体事業における家庭向け製品の主力は“ネクスペリア(Nexperia)”シリーズの各種半導体。同シリーズの主な特徴としては、同シリーズチップを採用した製品における開発期間の短縮化、将来性の保証、手頃な価格帯の3点があり、さらに、テレビ/ビデオレコーダー/セットトップボックス/メディアアダプターなどの家庭向けAV機器の開発/製造において、一貫したアーキテクチャーとAPIの提供が可能だとしている。

日本におけるデジタル放送の成長の予測。日本でのデジタル放送の展開には、全世界が注目しているという
また、オッテンバーグ氏は、「(全世界で)日本のテレビメーカーが約60%のシェアを持ち、世界の液晶テレビ市場を牽引」と、液晶テレビのグローバル市場における日本メーカーの影響力を高く評価。新しいディスプレー技術の開発/普及を主導、放送/ブロードバンド/ホームネットワーキング/記憶装置/モバイルなどのコンバージェンスの実現、新ビジネスモデルの創出と展開、といったトレンドを世界に向けて発信しているとした。これらのトレンドの実現に向けてTVメーカー各社では、デジタル放送やデジタルディスプレーへの対応/画質向上の重要性増大/急激な変化を見せる市場への対応や開発サイクルの短期化/テレビに搭載されるソフトウェアの重要性増大/アナログおよびデジタルテレビを並行開発するコストの増大、などといった点にチャレンジしていかなくてはならないという。

このようなTVメーカー側の状況に対応して同社では、

  • テレビ向けのワンチップソリューションのグローバルな展開
  • 現存するすべての受信方式の標準規格に対応し、チューナーからディスプレードライバーまですべてのシステムソリューションを提供
  • 統合型アナログ/デジタル液晶テレビプラットフォームの提供
  • デジタルディスプレーおよびデジタル放送に最適化、向上した画質の提供
  • 過去の製品におけるソフトウェアの再利用を可能にするシステムの提供

といった取り組みを行なっていくと述べた。

『TV505』のシステム構成図『TV505E』のシステム構成図『TV810』のシステム構成図

フィリップス・セミコンダクターズが提供する具体的なソリューションは以下のとおり。

『TV505』
低コスト液晶テレビ向けのワンチップIC“TDA155xx”シリーズを中心としたソリューション。チューナーやオーディオアンプ以外の全機能がワンチップ化されている。2次元デジタルノイズリダクション、ステレオ音声処理回路、アクティブカラーマネージメント機能などを持つ。
『TV505E』
フロントエンドチップ“TDA151xx”シリーズとスケーラーチップ『Nexperia Home PNX5000』を中心として構成されたソリューションで、2種類のデインターレース処理機能などの高画質化機能を備えた中位モデル。
『TV810』
『Nexperia Home PNX8550』『Nexperia Home PNX2150』などで構成された、同社TV向けソリューションの最上位モデル。各国のデジタル放送への対応、MPEGデコーダー内蔵、『Nexperia Home PNX5000』と同等の高画質化回路、多チャンネル出力対応の音声処理機能やUSBなどの外部データインターフェースなどを持つ。また、表示デバイスとしてブラウン管もサポートし、柔軟な製品への応用が可能。

各製品の説明を行なった、フィリップス・セミコンダクターズのコンシューマー&マルチメディアセグメント担当マーケティングディレクターのHenri Ardevol氏

また発表会場では、上記ソリューションのうち、『TV505E』と『TV810』を搭載した液晶テレビのサンプルのデモ展示も行なわれ、両ソリューションのリファレンスボードや、搭載製品による高画質化回路のON/OFF時の画質の違いなどが披露された。

『TV505』のリファレンスボード。基板中央にあるチップがテレビ機能のすべてをワンチップに集積した『TDA15500』。非常にシンプルな構成『TV810』のリファレンスボード。ボード上には、2つのメインチップや映像/音声入出力ポート類のほか、PCカードスロットやUSBポートなどのデータ通信用のインターフェースも並ぶ
『TV810』搭載テレビ。こちらはヨーロッパ市場ですでに出荷済みの製品とのこと同じく『TV810』搭載テレビで、こちらは開発中のもの

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