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NEC、最大65TFLOPSのベクトルスーパーコンピューター『SX-8』を発表

2004年10月20日 23時24分更新

文● 編集部

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日本電気(株)は20日、演算性能が最大65TFLOPS(テラフロップス:1秒間に1兆回の浮動小数点演算が行なえる計算性能)を持つベクトル型のスーパーコンピューター“SXシリーズ”の最新モデル『SX-8』を製品化し、世界同時に販売を開始したと発表した。同製品は、1つのベクトル命令で配列要素を一括処理できるベクトルアーキテクチャーを採用したスーパーコンピューター。汎用CPUを多数搭載するスカラー型に比べ、大規模/大容量データの高速計算が必要な気象予報や環境シミュレーション、自動車の衝突解析などの分野に向いている。

シングルノードシステム マルチノードシステム
シングルノードシステムマルチノードシステム
『SX-8』

『SX-8』が搭載するベクトルプロセッサーは、ベクトルユニットとスカラーユニットを1チップ化したもので、90nm銅配線CMOSプロセスで製造される。ベクトルユニットのパイプライン部を従来の2倍の2GHzのクロック周波数で駆動することで、最大ベクトル性能を16GFLOPSに高めるとともに、ベクトル平方根演算機能をハードウェアで実装することにより、平方根演算が従来の6倍になっているという。プロセッサーと主記憶を1個のモジュールに集積することで、サイズは従来の約4分の1、消費電力も半分以下になったとしている。

“シングルノード”にはベクトルプロセッサーを最大8個搭載でき、ベクトル性能は最大128GFLOPS(ギガフロップス:1秒間に10億回の計算性能)で、これを最大512ノードの“マルチノード”構成とすることで、最大65TFLOPSの演算処理が行なえる。メモリー容量は1ノードあたり最大128GB(ギガバイト)、最大64TB(テラバイト)と従来製品の4倍に増やされており、CPUとメモリー間のデータ転送速度も最大で毎秒262TB(従来は毎秒36.8TB)に高速化されている。

基本ソフトは『SUPER-UX』で、従来の上位互換となっており、I/O処理や、並列処理用のライブラリー“MPI(Message Passing Interface)”が強化され、大規模マルチノードシステムに対応。複数ノード間や異機種間でファイルを共有できる“グローバルファイルシステム(GFS)”も強化され、ローカルディスクに近い性能でアクセスできるだけでなく、ネットワークファイルシステム(NFS)と同様に他社のプラットフォームからGFSの機能を利用することもできるとしている。

価格は、レンタルの月額が約117万円(税別)から。出荷開始は12月末の予定。同社では今後3年間で700台以上の販売を見込んでいるという。

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