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KDDI、1曲まるごと配信する新・着うたサービスと対応携帯電話を発表――「われわれの執念のようなサービス」

2004年10月13日 21時34分更新

文● 永島和夫

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“au”ブランドの携帯電話サービスを提供しているKDDI(株)/沖縄セルラー電話(株)は13日、楽曲を1曲まるごとダウンロードして視聴できる音楽配信サービス“EZ「着うたフル」”(以下、着うたフル)の提供を開始すると発表した。着うたフルは、下り最大2.4Mbps/上り最大144kbps(ベストエフォート型)の伝送速度に対応した第3世代携帯電話サービス“CDMA 1X WIN”向けのサービスで、これに対応する4機種が同時に発表された。着うたフルは11月下旬開始の予定で、携帯電話4機種は11月下旬より順次発売される。

KDDI社長の小野寺 正氏 コンテンツ・メディア本部長の高橋 誠氏
KDDI社長の小野寺 正氏コンテンツ・メディア本部長の高橋 誠氏


3Gの通信速度とダブル定額がないと決して実現できない

都内で開催された発表会では、KDDI社長の小野寺 正氏、コンテンツ・メディア本部長の高橋 誠氏らが説明を行なった。

小野寺氏は現在のauについて「高機能化がすすみ、人々の生活を便利する必需品としての存在感が増えている。単に生活を便利にするだけでなく、人々の感情に訴え、喜びや豊かさを体験していただけるような商品を提供していきたいと考えている」と述べ、このコンセプトをもとに、“感動ケータイへ、au。”というキャッチフレーズを発表した。

着うたフルは、HE AAC(HighEfficiency AAC)コーデックによって48kbpsのビットレートで圧縮された楽曲データを、1曲まるごと配信するサービス。この前身にあたるサービスの“着うた”(2002年12月開始)は、CD音源を元に作られた15~30秒程度のAACコーデックの楽曲データを配信するサービスであった。ファイルサイズは、着うたが200KB程度であったのに対し、着うたフルでは1.5MB程度になっている。着うたフルは、楽曲の一部(あらかじめコンテンツプロバイダーが指定する個所)を使用して、着うたのように着信音などに設定できるほか、KDDIは、携帯電話内蔵のスピーカー、もしくはヘッドホン/外部スピーカーなどを用意して、携帯電話をポータブルオーディオのようにして聴取する利用方法を提案している。

高橋氏は、8月に行なった携帯24のインタビューでも音楽配信に前向きな意向を示していたが、着うたフルを「われわれの執念のようなサービス」と紹介。「携帯電話だけでダウンロード(できる音楽配信サービス)を、どうしても実現したかった。そうでないとサービスがシンプルにならない。そのためにダブル定額を導入し、CDMA 1X WINという高速なダウンロード環境を保有して、実現した」と説明した。また、「3~40秒でダウンロードでき、すぐに良い音質で聞くためには、3G(の通信速度)とCDMA 1X WINのダブル定額がないと決して実現できないサービス。(他社には)簡単に追随できないサービスだと思っている」と自信を見せた。

着うたフルは、着うたと同じく、10~20代の若年層をメインターゲットに据えている。高橋氏は、「ここ1年で、若年層にCDMA 1X WINが受け入れらるようになった。8月に開始したパケット通信料定額サービス“ダブル定額”の契約者も、10~20代が全体の53%を占める。CDMA 1X WINは非常に若年層に受けているのだ」と利用者とのマッチングを挙げた。さらに「携帯電話での音楽ダウンロードサービスへの利用意向を調べると、高校生男子が75%、女子が53%、大学生男子が73%、女子が48%となり、サービスに非常に興味を持っている」と説明した。着うたの実績について、着うた対応携帯電話の契約台数は9月末時点で1285万台、ダウンロード数は累計で1億2700万ダウンロードという。

着うたの利用実態について ダブル定額の利用実態について
着うたの利用実態についてダブル定額の利用実態について
着うたフルの開始に至った背景のデータ

音楽CDの物販に乗り出すKDDI

着うたフルのサービス料金は数百円(詳細非公表)の予定で、ダブル定額”と組み合わせれば、数百円の情報料と定額の通信料で楽曲データがダウンロードできる。着うたフル対応の音楽コンテンツは、サービス開始時には以下の6サイトから、合計約1万曲が配信される見込み。KDDIは、対応機種の発売とともに“EZ Music!”という着うた/着うたフルのポータルサイトを開設する。ここでは、アーティスト名による楽曲のキーワード検索サービスを設けて各コンテンツプロバイダーのサービスサイトに誘導するほか、KDDIが主体となって音楽CDの物販を行なう。

(株)MLJ
“アーティスト公式サウンドフル”“ワタナベ☆ヒットパレードフル”
(株)ゼット
“BEING GIZA STUDIO FULL(仮称)”
ダイキサウンド(株)
“インディーズモバイル”
(株)ファンダンゴ
“まるごとモラッ着!!!”
(株)ミュージック・シーオー・ジェーピー
“MUSIC.JP”
レーベルモバイル(株)
“レコード会社直営♪フル”“絶対! 洋楽フル”

なお、着うたフルと、音楽CDの物販に関連する売上の見込み/目標は、非公表。



対応端末はまず4機種がラインナップ

着うたフルに対応した携帯電話は、4メーカーから1機種ずつ、合計4機種がリリースされる。ラインナップと基本スペック、発売日、価格は以下の通り。

『W21CA』
製造:カシオ計算機(株)/カメラ:有効200万画素CCDカメラ(オートフォーカス対応)/液晶パネル:約2.6インチ液晶(240×400ドット)/データフォルダー容量:約24MB(または800件)/外部メモリー:miniSDカード対応/連続通話時間:約190分(暫定)/連続待受時間:約220時間/サイズ:幅約51×奥行き約26×高さ約102mm(暫定)/重さ:約140g(暫定)。12月中旬発売、オープンプライス(編集部による予想実売価格は2万円~2万5000円程度)
『W21T』
製造:(株)東芝/カメラ:有効130万画素CMOSカメラ/液晶パネル:約2.4インチ液晶(240×320ドット)、約1.1インチ液晶(112×112ドット)/データフォルダー容量:約23MB(または1000件)/外部メモリー:miniSDカード対応/連続通話時間:約240分/連続待受時間:約300時間/サイズ:幅約50×奥行き約26×高さ約99mm/重さ:約126g。11月下旬発売、オープンプライス(編集部による予想実売価格は2万円前後)
『W22SA』
製造:三洋電機(株)/カメラ:有効133万画素CMOSカメラ(オートフォーカス対応)/液晶パネル:約2.2インチ液晶(240×320ドット)、約1.5インチ液晶(120×160ドット)/データフォルダー容量:約40MB(または1024件)/連続通話時間:約230分/連続待受時間:約260時間/サイズ:幅約48×奥行き約25×高さ約99mm/重さ:約114g。11月下旬、オープンプライス(編集部による予想実売価格は1万5000円程度)
『W22H』
製造:(株)日立製作所/カメラ:有効124万画素CCDカメラ/液晶パネル:約2.4インチ液晶(240×320ドット)/データフォルダー容量:約24MB(または800件)/外部メモリー:miniSDカード対応/連続通話時間:約190分/連続待受時間:約220時間/サイズ:幅約51×奥行き約27×高さ約115mm/重さ:約142g。11月下旬、オープンプライス(編集部による予想実売価格は1万5000円~2万円程度)
W21CA W21T
W21CAW21T
W22H W22SA
W22HW22SA

回転2軸構造のデザインを採用するW21CAは、パソコン向けのウェブサイトを閲覧できるサービス“PCサイトビューアー”対応ウェブブラウザーを内蔵し、400×240ドットのワイドQVGA液晶パネルを搭載する。W21Tは、Bluetooth機能を備える。W22SAは、赤外線通信機能と赤外線リモコン機能を搭載し、各社のビデオデッキ(VHS/DVD)のリモコンと、W22SAのEPG機能を利用してビデオの録画予約をすることも可能。また、音機能付きFMラジオチューナーを内蔵する。W22Hは、アシスト機能付きのスライドボディが特徴となっている。

なお、着うたフルは、これらの機種の内蔵メモリーもしくは対応する外部メモリーカード(W22SAのみ非対応)の、いずれかに保存することが可能。ダウンロードした楽曲は、ケーブルや外部メモリーカードを使って、その他の機器で再生できない。携帯電話についても、ダウンロードした携帯電話(もしくは機種変更を行ない、同じ番号を使用する携帯電話)のみで再生可能。



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