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【CEATEC JAPAN 2004 Vol.11】MEMSを活用したマルチメディアカーを出展――STマイクロエレクトロニクス

2004年10月08日 20時23分更新

文● 編集部 佐久間康仁

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STマイクロブースに展示された、同社の車載ソリューションをデモンストレーションするクルマ“マルチメディアカー”STマイクロブースに展示された、同社の車載ソリューションをデモンストレーションするクルマ“マルチメディアカー”

2人乗りの小型自動車に、自社のCPU/コントローラーチップなどを組み合わせて車載向けソリューションを提案するエス・ティー・マイクロエレクトロニクス(株)(以下STマイクロ)のブース。車載マルチメディアソリューションとしては、

  • GPS(全方位型位置検索システム)による地図情報をBluetooth経由でPDAに転送・表示する“GPS+PDAアプリケーション”
  • ルームミラーにBluetooth通信用基板と文字情報を表示するモノクロLCDを組み込んだ“ハンズフリーカーキット・ブルーミラー”
  • カーオーディオやラジオ受信、渋滞情報などを表示する“テレマティクス・デモンストレータ”
  • ハンドルの中央に組み込む超小型の“アルコール検知器”
  • 日本ではETC(Electronic Toll Collection System)として、2001年にサービス開始されている高速道路の料金支払いシステムを実現する“自動料金収受システム用デモンストレータ”

の5つが展示された。特にアルコール検知器では、MEMS(Micro Electro Mechanical System)技術を使用して、省電力化(従来品の1/20以下の30mW)と小型化を実現したという。これらは、STマイクロ自身が販売するものではなく、家電/車載機器メーカーにソリューションとして提案し、採用を促すために展示している。

ルームミラーの裏側に基板を配置して、下部に文字情報を表示する“ハンズフリーカーキット・ブルーミラー” ハンドル(ステアリングホイール)の中央にある金色のポッチが、MEMS技術を使った超小型の“アルコール検知器”
ルームミラーの裏側に基板を配置し、下部に文字情報を表示する“ハンズフリーカーキット・ブルーミラー”ハンドル(ステアリングホイール)の中央にある金色のポッチが、MEMS技術を使った超小型の“アルコール検知器”
車載システムを別途展示しているコーナーもある まるで小型のパソコンのような、テレマティクス・デモンストレーターの基板 超小型の“アルコール検知器”では、アルコールを含ませた綿棒越しに息を吹きつけることで、アルコール検知を行なう(グラフが跳ね上がる)デモンストレーション
車載システムを別途展示しているコーナーもあるこちらは、まるで小型のパソコンのような、テレマティクス・デモンストレーターの基板超小型の“アルコール検知器”では、アルコールを含ませた綿棒越しに息を吹きつけることで、アルコール検知を行なう(グラフが跳ね上がる)デモンストレーション

前後左右と上下の傾き/移動を検知する3軸センサーも、体感型デモンストレーションとともに展示されていた。アクリルケースに入った基板に3軸センサーが搭載されており、ハコを持って動かすと、センサーが検知した移動量/傾きなどをグラフで可視化するというもの。具体的な応用例(アプリケーション)として、携帯端末にこのセンサーを搭載した基板を組み込み、傾けた方向に地図がスクロールする(傾ける角度でスクロールの速度が可変する)というデモを合わせて行なっていた。この3軸センサーは今年中の量産を目指しており、チップサイズは7×7mm程度からスタートして徐々に小型化を図る。量産出荷時の価格については「2軸のものの1.5倍くらいになるだろう」とのこと。

3軸センサーを搭載した基板を動かすことで、グラフのXYZ軸の数値がリアルタイムに変化する 3軸センサーを組み込んだPDA(携帯電話)で地図を表示し、傾けた方向に地図がスクロールするというデモ
3軸センサーを搭載した基板を動かすことで、グラフのXYZ軸の数値がリアルタイムに変化する3軸センサーを組み込んだ携帯端末で地図を表示し、傾けた方向に地図がスクロールするというデモ
フラットケーブルの脇に立っているのが、セキュリティーチップを載せたサブ基板
フラットケーブルの脇に立っているのが、セキュリティーチップを載せたサブ基板(デモ用)。実機ではオンボードに搭載することになるという

企業・個人を問わずセキュリティーへの意識が高まりつつあるが、STマイクロでは今年9月にマザーボード実装型の“セキュリティーチップ(型番:ST19WP18-TPM)”を発表しており、そのチップを搭載したデモ機(デスクトップパソコン)が展示されていた。ST19WP18-TPMは、米アイ・ビー・エム(IBM)社、米インテル(Intel)社、米マイクロソフト(Microsoft)社など82社が参加するコンピューターにおけるセキュリティーの標準化団体“TCG(Trusted Computing Group)”の最新仕様“TCG 1.2”に準拠する製品で、HDDやリムーバブルメディアなどが物理的に盗難された場合でも、セキュリティーチップのない環境では読み出し不能になるというもの。サンプル価格は4ドル(約440円)程度で、量産化は2004年末から2005年初旬を予定している。



手前のパスポート風手帳にスマートカード用ICが組み込まれており、ここに顔写真と指紋を登録する
手前のパスポート風手帳にスマートカード用ICが組み込まれており、ここに顔写真と指紋を登録する。その後、別人が通関しようとしても、顔の特徴と指紋の両者ともに一致しないため、NGとなる

電子パスポートのデモンストレーションも、注目を集めていた。欧州の一部ですでに導入が始まっている、スマートカード用IC(型番:ST19WR66)を組み込んだ“電子パスポート”は、ICに指紋情報と顔写真を収納しており、税関審査で提出されたパスポートから、非接触でICの情報を読み出し、指紋/顔写真をデジタル照合して認証を行なうというもの。会場では、デモンストレーション用のパスポートと認証システム(カメラ、指紋センサーなど)を使って、その場で来場者を登録・照合のテストを行なって、運用の簡便さをアピールしていた。このスマートカード用ICは電子パスポートのほか、日本の一部公共システム向け入退出カード、イタリアのIDカード、インドの運転免許証、フランスの健康保険カードなどに利用されているという。



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