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松下電器産業、非接触通信機能付きSDメモリーカード規格“smartSD”の開発を発表

2004年10月01日 22時44分更新

文● 編集部 内田泰仁

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松下電器産業(株)は1日、SDメモリーカードおよびminiSDカードに高度なセキュリティー機能と非接触通信機能を持ったICカード機能を追加した“smartSD”の開発を発表した。12月にサンプルの提供を開始し、2005年秋を目標に商用化の予定。

“smartSD”対応のSDメモリーカードとminiSDカード“smartSD”開発の狙い

ICカード市場の成長動向
“smartSD”は、メモリーカードとして広範に普及しているSDメモリーカードと、急速な普及や、大容量の情報の“安全な”取り扱いとサービスの多様性の拡大が求められるICカードを融合することを狙った製品。SDメモリーカード規格の策定を行なう業界団体“SDアソシエーション”で規定された“モバイルコマース拡張仕様”(SDメモリーカードにICカードと同等のセキュリティー機能の実装を可能とする拡張)に基づいて、ICカード機能をSDメモリーカードに統合し、SDメモリーカードの完全上位互換となるという。



“smartSD”カードの構造と特徴

カードは、従来のフラッシュメモリー部(ユーザー領域、CPRM著作権保護領域)およびSDカードコントローラー部に加え、FeRAMによるICカード部の3点で構成。ICカード部はマルチアプリケーションおよび非接触通信に対応し、さらに、フラッシュメモリー部はICカード部の拡張メモリー保護領域としても利用される。ICカード拡張メモリー保護領域は、アプリケーションによって自由に設定できるため、大容量のメモリーを利用するアプリケーションをICカード部に搭載することが可能。また、ICカード部で暗号鍵の管理と暗号化を実行することにより、高いセキュリティー性と高速なデータ転送(毎秒600KB)を実現するといい、個人情報などの機密情報保護などへの応用に適しているとしている。

アプリケーションプラットフォームとしては、JavaCardおよびGlobalPlatformに準拠し、非接触通信機能のインターフェースは、ISO/IEC 14443 Type BとJICSAP 2.0高速コマンド仕様をサポートするマルチプロトコル仕様。非接触通信用のアンテナは、SDカードタイプの場合はカードに内蔵、miniSDカードタイプの場合は外付けとなり、携帯電話や搭載機器側にアンテナを設けることになるという。

同社の“smartSD”による事業分野

同社では、“smartSD”事業の展開では、デバイスおよび機器の事業に加え、

業務向けソリューション事業
機密情報の漏洩防止などの情報セキュリティーソリューション、入退室認証を可能とするサブカードソリューションなど
モバイルサービス事業
携帯電話向けのオンラインでのコンテンツ配信への応用サービス、プログラムコンテンツのプレインストールカードサービスなど
ホームサービス事業
AV機器向けコンテンツサービスなどを展開予定

といったサービス・ソリューション事業も併せて展開するとしており、これを通じて、サービスプロバイダーや通信事業者への“smartSD”採用を推進していくという。

コンテンツ配信サービスインテリジェント会員サービス
“smartSD”を活用したサービスの例

記者説明会で“smartSD”の概要と今後の展開を説明した、同社取締役・パナソニックシステムソリューションズ社社長の秋山正樹氏
同日に開催された記者発表会の質疑応答では、先行する非接触通信機能付きICカード規格としては、東日本旅客鉄道/西日本旅客鉄道での採用や、携帯電話への搭載が進む“FeliCa”との違いや、これを踏まえた事業展開に関する質問が出たが、同社は、“1カード内にICカードと高速/大容量のメモリーを持つ”という点が既存のICカードとの大きな違いだと強調。また、FeliCaについては、ICカードに搭載するアプリケーションとして実装することが可能だとしている。



発表会場に展示されていたカードリーダーと“smartSD”対応miniSDカードおよび携帯電話を模した内蔵端末。会場では会員サービスを想定したデモも実施された

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