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「プロ野球球団は持ちません!」――楽天が2004年度第2四半期決算説明会を開催

2004年08月19日 22時24分更新

文● 編集部 佐久間康仁

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“楽天カード”を手に決算説明会で壇上に立つ三木谷氏
“楽天カード”を手に決算説明会で壇上に立つ三木谷氏。カードの裏面は楽天のロゴをモチーフにした真っ赤なデザインで、「Visaでもこういうデザインは初めてだと聞いている」と説明

楽天(株)は19日、東京・銀座のホテル西洋 銀座にプレス関係者を集め、2004年度第2四半期(2004年4~6月)の決算説明会を開催した。会場には代表取締役会長兼社長の三木谷浩史(みきたにひろし)氏、取締役常務執行役員の山田善久氏、常務執行役員の國重惇史(くにしげあつし)氏、執行役員の松崎良太氏らが出席し、決算内容の詳細や同社が進めている事業拡大やブランド統一などの狙い・効果などを説明した。

同社が発表した業績の概要は以下のとおり。

連結業績の概要

売上高(100万円未満切捨て、以下同)
今期 108億3300万円
前年同期 41億2000万円
営業利益
今期 37億6600万円
前年同期 10億5500万円
経常利益
今期 38億800万円
前年同期 9億4600万円
四半期(当期)純利益
今期 90億6700万円
前年同期 △3億3500万円

連結財務諸表の概要

総資産
今期 2618億2600万円
前年同期 345億6100万円
総負債
今期 2347億200万円
前年同期 38億1800万円
資本合計
今期 269億1700万円
前年同期 307億1000万円

連結キャッシュフローの状況

営業活動によるキャッシュフロー
今期 △11億9700万円
前年同期 10億9900万円
投資活動によるキャッシュフロー
今期 △125億9000万円
前年同期 △26億7500万円
財務活動によるキャッシュフロー
今期 29億8600万円
前年同期 600万円
現金および現金同等物の期末残高
今期 177億5100万円
前年同期 188億7700万円

ただし、個別の数字については資料配布と一部項目の読み上げにとどまり、発表会の主な時間は三木谷氏本人による事業戦略/展開の説明と記者からのQ&Aに充てられた。

楽天グループの事業戦略
楽天グループの事業戦略

三木谷氏は、検索&ポータルサイトを運営する(株)インフォシーク/ライコスジャパン(株)、オンライン証券事業を行なうディーエルジェイディレクト・エスエフジー証券(株)(DLJディレクトSFG証券、今年7月4日に楽天証券(株)に社名変更)など、買収を重ねてきたことについて、「楽天グループのシナジー効果を狙っている」と切り出し、同社の戦略を説明した。

現在同社が取り組んでいるのは、多様なサービスを“楽天会員”に提供しつつ会員データベースを一元管理すること。これにより目標としている3000万人の会員(今年6月末時点で、重複を含めて会員数は約2800万人)が1人当たり1万円の買い物をするだけでも大きな売上につながる、と同社の拡大路線の裏づけと正当性をアピールした。

楽天グループのブランド戦略に基づく新ロゴ
楽天グループのブランド戦略に基づく新ロゴ

さらに、赤丸に白文字の“R”(アルファベットのアール)を重ねた新ロゴによるブランドの統一化を図り、信頼性の向上やブランドの一層の浸透を図ると語った。さらに、楽天会員になることで、さまざまなサービスに相互利用が可能なポイントサービスを順次導入することを検討していることも明らかにした。具体的には、同社の旅行チケット販売事業“旅の窓口”では、今月2日から新規購入時に楽天への入会が必要になったが、この変更によって既存利用者の6割が楽天会員に急増した(最初からの楽天会員約2割を含む)と説明し、同サービスが利用者にスムーズに受け入れられていることを強調した。

パーソナライゼーションサービスの拡充やポイントの活用でリピーターの確保を狙うという 会員データベースの統合により、ユーザーの利便性向上と各種サービスのシナジー効果を計る
パーソナライゼーションサービスの拡充やポイントの活用でリピーターの確保を狙うという会員データベースの統合により、ユーザーの利便性向上と各種サービスのシナジー効果を計る

なお、現在“楽天トラベル”と“旅の窓口”という内容が重複する2つの旅行サービスについては9月に“楽天トラベル”へと一本化し、ID/パスワードの統合を図るとともに、よりパーソナライズしたサービス提供を進めると説明している。具体的には、新たに高級ホテル/高級旅館の予約を可能にするほか、ワールドトラベルシステム(株)との業務提携により格安航空券の購入が可能、さらに契約施設(旅館/ホテル業者など)に対するコンサルティングサービスの提供も予定しているという。

連結売上の推移 EC(電子商取引)事業における売上高の推移
連結売上の推移EC(電子商取引)事業における売上高の推移

金融事業では企業名を楽天証券(株)に変更したことで、認知度/信用度ともに上がり、オンライン証券業界ではイー・トレード証券(株)、松井証券(株)に続く業界3位を維持し、取り扱い高や売り上げなどの差は徐々に縮まっていると説明。特に、同社が始めたという取引回数が増えるほど手数料が下がる新取引システムによって、株価が上昇している時期だけでなく株価が下落した時期にも安定した収益が上げられるようになった(株価の変動が収益の振れ幅に大きな影響を与えにくい)、と自画自賛しながら好調な業績振りを紹介した。

ポータルメディア事業の売上の推移 旅行事業および映像配信事業の売上高の推移 金融事業における売上高の推移
ポータルメディア事業の売上の推移旅行事業および映像配信事業の売上高の推移金融事業における売上高の推移

一通りの説明を終えた後、記者からの質問に答える形で三木谷社長は、ビザ・インターナショナル(Visa)との提携で発行している“楽天カード”を紹介し、「楽天ポイントの付与、年会費永久無料、特定提携店での割り引きなどのほか、このカードで購入した金額に対してすべて楽天ポイントが付与される。さらに現在準備を進めているところだが、楽天の全店舗での支払いに対応させる予定だ。ビジネスとしては、Visaとカードでの支払い手数料を折半しているが、将来はこれを足がかりにローンビジネスへの参入を検討している」と同社が予定している将来の事業展開の一端を明らかにした。


また、この日の午前中に(株)ライブドアの代表取締役社長兼最高経営責任者の堀江貴文氏が“プロ野球球団の新規参入を表明”したこともあって、記者から「プロ野球の球団経営については?」と聞かれると、「ありません」とあっさり否定。「球団の経営が大変であろうことと、そのための時間が取れないから」とその理由を述べた。

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