“NEC軽井沢72ゴルフトーナメント”で実施されたGPSによる選手位置情報表示の実証実験 |
日本電気(株)(NEC)は、長野県・軽井沢で13~15日の日程で開催されているゴルフトーナメント“NEC軽井沢72トーナメント”において、GPSを利用した選手の位置情報表示システムの実証実験を実施した。今回の実証実験には(社)日本女子プロゴルフ協会(LPGA)やインテル(株)などが協力している。
マーケティング推進本部マネージャー(ソリューションデザインセンター)の永浜公太郎氏 | インテルのモバイル&ワイヤレスマーケティング インフラストラクチャ・プログラム・マネージャの江頭靖二氏 |
13日には同会場にプレス関係者を集め、コーポレート・コミュニケーション部主任の山室元史(やまむろもとふみ)氏、マーケティング推進本部マネージャー(ソリューションデザインセンター)の永浜公太郎氏、インテルのモバイル&ワイヤレスマーケティング インフラストラクチャ・プログラム・マネージャの江頭靖二氏、広報室の郡司雅博氏らが運用システムの概要や目的などの説明が行なわれた。
システムの概要図 |
従来から使われている、選手のスコアーとプレーホールを示すパネル |
ゴルフ観戦に出向いたことがある方はお分かりだろうが、ゴルフコース(18ホール)は全長6000~7000ヤード(5500~6400m)の広大な敷地だ。選手たちはここを午前7時~9時ごろから、アウト(1ホールから18ホールを順に移動)またはイン(10~18ホールを回ったあとで、1~9ホールに移動)のルートにしたがって競技を進めることになる。ただし、プレー時間は自身の打数や直前の選手などの影響を受ける。そのため観戦者はコースのところどころにあるスコアーボードを見て、目当ての選手が現在プレー中のホールを探すことになる。
会場には100インチのプロジェクターが2台、42インチのプラズマディスプレーが4台、さらにホールや選手別に検索できるノートパソコンとして“VersaPro”が30台配置された | パソコンにデータ配信を行なう無線LANアクセスポイント。今回は特定のパソコンのみ通信可能な状態に設定したとのこと |
今回NECが導入したシステムは、
- 予選日(13、14日)はパーティー(3人程度の選手が1組になってコースを回る)に随行するスコアラーが1台、決勝日(15日)は各選手に随行するキャディーが1台ずつ、GPSを利用した位置計測端末を携行
- 中部日本電気ソフトウェア(株)(NECソフトウェア中部)が開発した位置情報システムを利用して、各選手の現在位置をリアルタイムに計測し、選手のスコアー情報やプレー中の映像と合わせて配信
- 配信された情報は、会場内に用意された大型ディスプレーで視聴できるほか、2ヵ所の“ギャラリープラザ”に合計30台のノートパソコンを設置し、目当ての選手を選んで現在位置やスコアー情報を検索可能
というもの。位置計測端末はNECの『NESPIT III(ネスピットスリー)』、スコアー情報やライブ映像を組み合わせたリアルタイム映像編集・配信システムには米Scala社の『InfoChannel 3』、会場内の配信インフラにはNECのマルチレイヤースイッチ『UNIVERGE(ユニバージュ) IP8800』、無線LANシステム“UNIVERGE WLシリーズ”(IEEE 802.11b準拠)などを使用。NESPIT IIIは、折りたたんだ携帯電話程度のコンパクトな端末で、警察や企業の営業担当者に位置情報管理システムとして、また遊戯施設の迷子対策に貸し出すシステムとして導入された実績があるとのこと。
設置されたパソコンで検索したコースの画面 | ホールもしくは選手(パーティー)を中心にした拡大表示も可能 | 位置だけでなく選手のスコアーや順位を確認することもできる |
将来はパソコンやPDA、携帯電話など、観戦者が持ち込んだ端末でも視聴できるようにしたい意向はあるが、現在のシステムでは無線LAN機能が必要なほかに専用GPSソフトのインストールが必要になること、また選手がプレー中に音が出てしまうのも問題があることなどが理由で、今回は会場に設置済みの専用端末(NECの企業向けノートパソコン“VersaPro(バーサプロ)”シリーズ)のみ利用可能にしている。
会場には特設サーバールームが用意された。写真は動画エンコードおよびスコアー管理を行なうXeon搭載サーバー | 配信サーバーは19インチラックマウント用のものを急遽持ち出して使用したという | マルチワイヤレススイッチ『UNIVERGE IP8800/720』 |
インテルでは、“ツインリンクもてぎ”での無線LAN経由の映像/ラップ情報配信サービスなどとともに“Centrinoモバイル・テクノロジ”の普及促進キャンペーンの一環として、今回の実証実験に協力したという。ゴルフトーナメントではこれに先駆けて、今年5月に静岡県・川奈で開催された“フジサンケイ・クラシック”でもITスポンサーとして参加し、スコアー情報の配信などを行なった。「今後も機会があれば同様のスポーツイベントなどを通じたサービスを提供したい」(江頭氏)とのこと。
今回使用された位置情報測位端末『NESPIT III』 | このようにベルトに取り付けるホルダーで携行するという |
ゴルフ観戦は、くれぐれもマナーを守って! |