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富士ゼロックス、デジタルプリントの導入支援センターを設立

2004年08月11日 00時00分更新

文● 編集部 美和正臣

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富士ゼロックス(株)は10日、同社の機器を使ったデジタルプリントに関するノウハウやビジネスモデルを紹介する支援センター“富士ゼロックスepicenter(エピセンター)”を9月1日に開設すると発表した。日本、中国、シンガポール、オーストラリアの4ヵ所に設立し、国内は東京都港区の“品川インターシティ”の14階と19階に開設される。

庄野次郎氏
プロダクションサービス事業本部本部長専務取締役執行役員の庄野次郎氏。epicenterを画期的なサービスと説明する海外で行なわれている『DocuColor iGen3 Digital Production Press』の導入事例。顧客データベースを元に、顧客ごと異なるDM送付を行なっている。epicenterが目指すソリューションの一例だ

プロダクション事業本部本部長専務取締役執行役員の庄野次郎氏はコマーシャルプリンティング市場について、大量の同じ内容の印刷物を顧客に配布する“Mass Production”の世界から、個人の欲求や嗜好に合わせて出版物をカスタマイズする“Mass Customization”を求めるようになってきたと説明。データベースによる顧客管理と、“Segment Marketing”と呼ばれるエリアの特性ごとにピンポイントに印刷物などで情報を提供するオンデマンドプリンティングが重要になってきたと解説した。

氏は「顧客データを元に、顧客の嗜好に合致した印刷物を、即座に適正な数だけ作成できるようになった。ウェブにも個人の嗜好にあわせて表示を切り替える“パーソナライズドWeb”があるが、それと同じことが印刷物でも可能になった」とオンデマンドプリンティングのメリットを挙げる一方で、導入した効果な機器を思うように運用できていないこともあると、その難しさを指摘。

epicenterでは、同社が今までに提供したオンデマンドソリューションの事例を元に、各事業者に合わせたシステム構築の相談を受けるほか、最新のオンデマンドプリンティングシステム『DocuColor iGen3 Digital Production Press』などで、事業者が持ち込んだデータのプリントサンプルの出力が可能。また、同社とパートナーシップを結んでいるセールスプロモーション会社や印刷会社などと協業して、ダイレクトマーケティングを行なうための請負窓口業務も行なう。事前に運用リスクや費用対効果、出力した際の印刷物の良し悪しを検証できる点など、メリットを紹介した。

続いてプロダクションサービス事業本部エグゼクティブカスタマーソリューション部東京センター長の石井寛氏は、センターの具体的な機能について説明した。同センターは14階と19階の2フロアに6つのセクションで分かれており、各セクションを回ることにより業務に合ったサービスが分かる仕組みになっている。各セクションの概要は以下の通り。

14階

“Seminar Zone”
業務に必要なソリューションを見つけるためのガイダンスを行なう。
“Presentation Zone”
各国で導入されている事例や提案資料、出力サンプルなどをデータベース化したソフト『Application Ware House』を使って、現在業務で抱えている課題を解決するための方法や方向性を検討する。
“Products Zone”
印刷データの作成から出力プロセスまで、最新のシステムを体験させるフロア。設置されているプリンターは『DocuTech6180』や『DocuColor iGen3 Digital Production Press』などで、事業者はプロダクトの様子を確認できる。
“Business Player Zone”
企業内印刷や印刷業、データセンターなど、業種に合わせてマーケティングの専門家が導入効果などを検討する。マニュアルや保険約款などの定型ドキュメントを即座に出力するのなら“Just In Time”のシステムを、ダイレクトメールやカスタマイズカタログなど1つずつ異なるプロダクトを出力するなら“1 to 1”に合わせたシステムといったように、適切なものを指示してくれる。

19階

“Digital Prepress Zone”
デザイナーやSEが常駐しており、事業者が求める実際のデータを作成する。ワークフローを具体的にテストするフロア。
“Digital Press Zone”
『DocuTech6180』や『DocuColor iGen3 Digital Production Press』など、出力プリンター5台が設置されており、完成物の仕上がり具合を確認するフロア。

14階にある“Presentation Zone”にはソリューションナビゲーションシステムを用意。センターを訪問した人が、導入事例をデータベース化したソフト『Application Ware House』を見ながら、必要なシステムを構築できる。また“Product Zone”では『DocuColor iGen3 Digital Production Press』を始め、各種出力機器を用意し、関連したソフトウェアと連携したソリューションを見ることができる。また19階の“Digital PrePress Zone”は、SEとデザイナーが常駐しており、事業者は出力物に対して、デザインや発色など、細部にわたり相談できる。

DocuColor iGen3 Digital Production Press エンジン部分
毎分100枚のカラー印刷が可能な『DocuColor iGen3 Digital Production Press』。全長9メートルを超える巨大なシステムだ “Single Pass Imaging”と呼ばれるエンジン部分。各色の定着がドラムの1ヵ所で行なわれるため、色ズレがないのが特徴。

会見で庄野次郎氏は、「今までのオンデマンドプリンターは“速い・安い・キレイ”がキーワードだったが、これからはウェブやメール、DMなどと統合した総合的な出力サービスを提供しなければならない」とし、epicenterをそういった「世界最先端の技術や事例を提供する場にしたい」としている。また、epicenterは通常のショールームと異なり「ユーザーがデータを持ち込み、検証する場でありたい」と語った。

オンデマンドプリンティングのセミナーは数多く開催されているが、実際に導入する検証システムとしてのサービスは同センターが初の試みとしている。なお、持参したデータのサンプルプリントやソリューション導入の相談などは無料となっている。

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