松下電器産業(株)は29日、2004年度第1四半期の連結決算概要を発表し、大阪および東京(衛星中継で大阪の模様を東京に配信)で説明会を開催した。今回の発表は、松下電工(株)およびパナホーム(株)を連結決算に加えた“新生”松下グループとして初めてのもの。また、第1四半期の決算を踏まえ、2004年度上期見通しを上方修正するとの発表も合わせて行なった。
大阪会場で概要の解説を行なった専務取締役の川上徹也氏 | 2004年度第1四半期の連結業績。純利益は1991年以来の高水準 |
発表によると、2004年度第1四半期の売上高は2兆1020億円で、前年同期比119%という業績になったという。今回の連結決算は、松下グループとしては初めて松下電工(株)およびパナホーム(株)の業績を連結しているが、これと税率の低下の影響もあって、第1四半期の純利益は前年比1216%の328億円に達し、プレゼンテーションを行なった同社専務取締役の川上徹也氏によると「1991年以来の高水準」だという。また、売上高における国内外比率は、国内39%、海外が61%。売上高はいずれも増加しているが、海外の地域別に見ると、減税効果の終わりが近く、住宅着工が低下してきて「(好景気感から)落ち着きを取り戻しつつある」米州地域が前年比94%となっている(海外の数値は現地通貨ベース)。また、グループ内各セグメントともに増益を達成したとしているが、日本ビクター(株)の海外事業のみ減益となったという。
“V商品”販売実績の比率。“DIGA”“VIERA”を擁するAV分野の強さが特に目立つが、“Panasonic”ブランド全体の金額シェアは若干落とした |
オーディオ・ビジュアル/コンピューティング/ネットワーク分野分野の業績 | プラズマテレビの販売状況の推移。今四半期は453億円を売り上げ、シェアの3割を獲得したという。豊臣秀吉の“一夜城”を例に挙げ、発売時の全国急速展開の実績を強調 |
オーディオ・ビジュアル/コンピューティング/ネットワーク分野を細かく見ていくと、携帯電話事業(パナソニック モバイルコミュニケーションズ(株))の売上高が前年同期比90%と減少。テレビ/ビデオレコーダー/パソコン/周辺機器などを取り扱う松下電器産業のAVCネットワーク社、固定通信機器/光ディスク関係のパソコン用周辺機器などを取り扱うパナソニックコミュニケーションズ(株)は、売上高は前年同期と比較すると、前者が124%、後者が103%と増加している。「(規模は大きくないが)こんな事業もやってます」(川上氏)と紹介したパソコンは、「地味な製品ではあるが、品質に自信はあり、ハードなユーザーを中心に人気」とし、売上高は300億円規模だとした。また、デジタルカメラは「重点分野だが(他社に比べ)出遅れている」とし、秋に新製品4機種を投入し、巻き返しを図ると述べた。
この日発表された上期見通しの修正値。どのカテゴリーが特に大きく伸びるというわけではなく、全分野が順調に増加するという見通しとのこと |
このような各分野での好調に基づき、同社では4月28日に発表した2004年度上期の業績見通しを上方修正、売上高は前年上期比117%の4兆2600万円(当初発表より+900億)、営業利益は前年上記比151%の1200億円(+150億円)、当期純利益は前年上記比121%の450億円(+170億円)とするとした。年間見込みについては、中国市場の動向、アメリカ合衆国の大統領選挙の推移、為替の変動などの不確定要素を理由に、今回の修正は見送るとしている。