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アジレント・テクノロジー、VoIP/IP電話のパフォーマンス&品質管理システムを発表

2004年07月15日 21時03分更新

文● 編集部 佐久間康仁

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執行役員 通信計測本部長の梅島正明氏
執行役員 通信計測本部長の梅島正明氏

アジレント・テクノロジー(株)は15日、東京・大手町のアーバンネット大手町ビル内東京會舘で記者説明会を開催し、VoIP(Voice over Internet Protocol、インターネット経由の通話システム)を利用する企業/団体やIP電話サービスを提供するISP(Internet Service Provider)向けに、IP電話サービスの接続性や通話品質の監視・管理および障害分析や原因特定などを行なう管理システム“アジレントVoIP QoSマネージャ”を今年9月に出荷開始すると発表した。システム全体で提供するソリューション販売のほか、監視/分析プログラムなどを個別に導入することもでき、最小構成での価格は2000万円程度から。今後1年間で12億円の販売を見込んでいる。説明会には執行役員 通信計測本部長の梅島正明氏らが出席し、製品の概要や導入のメリットなどを説明した。



VoIP/IP電話サービスの抱える問題 “アジレントVoIP QoSマネージャ”の製品構成
VoIP/IP電話サービスの抱える問題。特に高品質な通話サービスの提供が重要と語る“アジレントVoIP QoSマネージャ”の製品構成

梅島氏は、「BT(英ブリティッシュ・テレコム社)が2008年度までに英国内のすべての固定電話をIP電話に切り替えると発表したり、米国の大手CATV企業が加入世帯の95%以上でIP電話を利用可能にする、AT&Tが来年末までに主要100都市で100万世帯のIP電話加入を目標とするなど、IP電話の普及は世界的な動きになっている。日本でも東京ガスやUFJなど企業へのIP電話の導入が進んでいる」と切り出し、IP電話が本格的な普及期に入っていることをアピールした。その上で、「有料のVoIPサービスやIP電話は、これまでのアナログ回線による接続手順(SS7、シグナリングシーケンス)と比べて通話を始めるまでのメッセージのやり取りが多い。アナログ回線であればだいたい5回くらいの往復で済むが、一般的なIP電話では25回程度、保留や転送などを行なう複雑なIP電話になると90回以上のメッセージ交換が発生する。これによって、途中のルーターなどでパケットロスや遅延が起きると、相手につながる前に切れてしまう、つながったものの音声が届かない/エコーやノイズが乗る/遅延が発生する、などの問題が生じる」と語り、IP電話に従来のアナログ回線と同等の通話品質や接続性が求められているものの、実際にはさまざまな問題が発生していることを提示した。

音声品質監視機能の説明
音声品質監視機能の説明

アジレントVoIP QoSマネージャは、すでに導入しているVoIPシステムに追加してVoIPサービスのパフォーマンスの変化を監視し、問題の切り分けによる問題解決の迅速化、障害復旧やネットワーク構成変更のアドバイスなどを行ない、顧客が求めるサービス=障害が発生する前に不具合を検知して事前に対応することを実現するというもの。

“パッシブ・プローブ” “アクティブ・プローブ”
“パッシブ・プローブ”“アクティブ・プローブ”
2つの測定方式を用意。ひとつは常に通信先や通信状態/遅延やパケットロスなどの状況をログとして記録する“パッシブ・プローブ”、もうひとつは特定機器や回線にテスト信号を送って問題のある機器/回線などを特定する“アクティブ・プローブ”

製品は、ユーザーインターフェースやプラットフォームとなる“QoSマネージャー”と、接続品質/音声品質/パフォーマンス/トポロジー(各ネットワーク機器の接続形態や経路)/SLA(サービス品質保証)のレポート作成といった機能を提供する個別コンポーネントで構成される。導入後の接続/通話記録は、すべて自動的にログデータとして蓄積されるため、過去にさかのぼって品質低下や接続不良が起こった時間の接続先、接続経路、端末などを特定して原因究明が行なえる。これにより、問題を放置したために大規模な障害が発生するといった事故を未然に防ぐことができるという。

測定方式には、指定したネットワーク機器/接続先に対してテスト信号を発信してその反応時間を記録する“アクティブ方式”と、実際に通話で使われているトラフィックを逐次分析する“パッシブ方式”が用意されている。通常はパッシブ方式で通話品質や接続性の低下を監視し、問題が発生した場合はそのときに利用した経路/機器を特定してアクティブ測定を行なうことで原因の特定(機器の不具合や回線品質の劣化など)が速やかに行なえる。従来のプロトコルアナライザー(ネットワーク上を通過するパケットのロスや遅延を計測する監視システム)との違いは、接続(相手の呼び出し)/通話/終了までの一連のパケット送受信をまとめて管理・視覚化して表示することで、通話記録ごとの品質管理や確認が行なえることだと説明する。

接続品質のログ画面 VoIPの接続に関わった機器やルートを視覚化
接続品質のログ画面VoIPの接続に関わった機器やルートを視覚化して、それぞれの遅延などをダイアルラムで表示しているところ
米Agilent Technologies社のVoIPサーバーに接続して、リアルタイム監視システムのデモンストレーションを行なった

会見では、一通りの説明を終えたあとで、米アジレント・テクノロジーズ(Agilent Technologies)社内のVoIPサーバーと会場を接続して、監視/管理システムのデモンストレーションが行われた。

販売形態は、同社の直販部隊を通じて法人向けIP電話サービスを提供するISP向けにセールスを開始するほか、住商エレクトロニクス(株)をはじめとする販売パートナーからの販売も行なう。

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