ユーザーの顔を追いかける
Face Tracking
「Qcam Orbit(QVR-1)」。 |
一般的に「Webカム」と呼ばれるPC向けの小型ビデオカメラデバイスは、最近では安いものなら4~5000円程度で入手できる。だが、ロジクールの「Qcam Orbit」は、店頭で実売2万円弱という実に高価な製品だ。その機能は、ハイエンドを求めるユーザーの期待に応える仕上がりになっている。
壷のような形をした半球状の台座にカメラを内蔵した球体の頭部、両者をつなぐ長い首状のスタンドという特徴的な作りのOrbitは、光沢のある黒とつや消しの黒を巧みに配した高級感のあるデザイン。台座にはマイクとスピーカが内蔵され、USBバスパワーのみで動作する。球形の頭部には約30万画素のCCDカメラが埋め込まれ、上下に60度、左右に128度(視野角は上下が約90度、左右が約180度)のパン&チルトを行える。サーボ駆動時には「キシュゥゥ」という動作音がはっきりと聞こえるが、同社によればメカニカルな面白さを残すためにあえて消音を最小限にしているという。長い首もただ長いわけではなく、卓上でちょうどアイレベルになる高さに設計されており、撮影時にカメラに見上げられて間抜けな顔になることはない。ちなみに、首を外して頭部と台座だけで設置することもできる。CRTディスプレイの上などに置きたい場合はそのほうが好都合だ。
画角から顔が外れると、その動きに応じてカメラが素早く追従する。画面に映った顔の大きさを見て、自動的にズームも行う。小刻みなサーボの音が聞こえるくるので、サイバーな雰囲気が味わえる。 |
外見の特異さに気を取られがちだが、実は本機最大の特徴はソフトウェアにある。Orbitの付属ソフトウェアには「Face Tracking」という設定項目があり、これはその名のとおり、カメラがユーザーの顔を追いかけてくる機能だ。Orbitは、カメラが映し出した顔のパーツや肌のグラデーション、頭髪などから人間の頭部の輪郭を認識できる。Face Tracking機能がオンになっていれば、カメラの撮影領域から顔が外れると自動的に追尾して、画面の中心に顔が表示されるように調整してくれる。その際、前述のパン&チルトはもちろん、100~300%のデジタルズームを併用して顔が適度なサイズになるようにズーミングも行う。あまりにも顔の動きが速いと追従しないが、カメラの前で素早く首を左右に振るくらいなら十分対応できる。
透明な半球のフードに覆われた内部に、サーボモータで駆動するCCDカメラが内蔵されている。内部基板をあえて見せるメカメカしさが特徴だ。 |
動画撮影時の解像度は640×480ドットで、静止画はソフトウェア補完で1280×960ドットまでキャプチャできる。Windows Messenger、MSN Messenger、Yahoo! Messengerの3つのメッセンジャーソフトに対応しており、Face Tracking機能を使えばビデオチャットがさらに簡単になる。
長い首のようなスタンドを外せば雪ダルマのような愛らしい格好になる。目線に設置できるなら、こちらの形態がいいだろう。 |
将来的には外出先からの制御や携帯電話を使ったリモート操作などの機能拡張を検討しているという。ソフトウェア次第で、監視カメラや定点観察カメラなどさまざまな利用法が考えられる本機は、今後のアップデートにも要注目だ。
台座の低い位置に小さいスリットが空き、マイクが内蔵されている。初回起動時に音量調節を行う。底面に空いた複数の穴はスピーカ。 |
Qcam Orbit(QVR-1)の主なスペック | |
製品名 | Qcam Orbit(QVR-1) |
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撮像素子 | 30万画素CCD |
フレームレート | 最大30fps |
フォーカス | 16cm~無限遠 |
インターフェイス | USB 1.1(バスパワー) |
サイズ(W×D×H) | 84×84×320mm |
重量 | 400g(スタンド含む) |
対応OS | Windows XP/2000/Me、Mac OS X |