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富士通と米マイクロソフト、ミッションクリティカル分野でのグローバルな提携を発表

2004年06月28日 22時53分更新

文● 編集部 内田泰仁

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富士通(株)と米マイクロソフト(Microsoft)社は28日、ミッションクリティカルな製品領域におけるオープンかつスタンダードなプラットフォームの確立に向け、グローバルな提携を結ぶことに合意したと発表した。この日行なわれた両社合同の記者会見には、米マイクロソフトの最高経営責任者であるスティーブ・バルマー(Steve Ballmer)氏らが出席し、今回の提携の意義や今後の計画についてを説明した。

富士通およびマイクロソフトのミッションクリティカル分野における提携の展開図説明会の冒頭に握手を行なう富士通の秋草直之代表取締役会長(右)と、米マイクロソフトのスティーブ・バルマー最高経営責任者(左)

両社による今回の提携は、インテルの64bit CPU“Itanium Processor Family”をベースとした富士通の次世代基幹系IAサーバーの開発、『Windows Server 2003』の保守性の向上、次期Windows“Longhorn”(開発コード名)のサーバー版の開発において協業し、2005年前半を目標に、メインフレームレベルの信頼性と業界トップクラスの性能を実現する、オープンかつスタンダードなプラットフォームを提供するというもの。これにより、ユーザーはWindowsの豊富なアプリケーションやノウハウといったこれまでの資産を有効に活用できるミッションクリティカルなシステムの構築が可能としている。

プラットフォームを含むプロダクトの開発プラットフォームインテグレーション/サービスミッションクリティカルシステムのサポート体制強化
今回の提携の3本柱

また、上記のプラットフォーム開発協業のほか、

プロダクト開発
ダイナミックパーティション(※1)のLonghornサーバーへの実装や次世代基幹IAサーバーとSQL Server 2005の組み合わせによる世界トップクラスの性能実現、Windows Server 2003とLonghornサーバーを対象としたシステム障害の予防や高信頼性機能の実装、サポートツール群の開発を協力して進める
プラットフォームインテグレーション/サービス
両社の製品や技術を用いたミッションクリティカルシステムの短期導入と早期安定稼動を実現するために、富士通のITインフラ技術“TRIOLE”にマイクロソフトの.NETの技術を取り入れ、システム構築サービスをグローバルに展開。ミッションクリティカルシステム向けに両者の運用管理ソフトウェアの機能連携を図り、.NET対応の富士通製ソフトウェアの開発協業を行なう
サポート体制の強化
両社の専任技術者による共同サポートチームを、米マイクロソフトの“グローバルエスカレーションセンター”に配置(2004年後半予定)、開発協力したサポートツールを活用、Windows開発チームとの直接連携により、ミッションクリティカルシステムにおける問題解決時間を大幅に短縮する

といったグローバルな協業体制を展開するとしている。

※1 システムを停止せずにアプリケーションの利用領域を自動的に変更する機能

従来の提携での実績と今回の提携によるビジネス規模予測

両社は2002年よりSI分野での協業関係を締結し、エンタープライズ向けにソリューション提供を行なっている。富士通によると、この間の販売実績(富士通を通じて販売する売上のみ)は、2002年が約2400億円、2003年には約3500億円となっているが、今回の協業でのターゲットビジネス規模は約8000億円になるという見通しを示している。

富士通代表取締役会長の秋草直之氏富士通取締役専務の伊藤千秋氏

記者会見の冒頭に登壇した富士通の代表取締役会長の秋草直之氏は「IT業界は変わっていかなければいけない」時期にさしかかってきており、各企業の持つITは“企業の理由”による運用から、もっと広い“社会の理由”による運用を求められており、そのためには“企業の理由”による運用の中断のない安定した安全なシステムが必要であると述べた。また、今回の両社の提携は、富士通がこれまで培ってきたオープンかつスタンダードで安定性・安全性に優れた技術と、マイクロソフトのWindowsの技術を結びつけた「ミッションクリティカル分野での新しい提携」だとした。

協業の概要を説明した富士通の取締役専務、伊藤千秋氏は質疑応答の中で、「(ミッションクリティカル分野での)オープン化は避けられない」ものだと述べたが、Windows、Linux、UNIXの各プラットフォームはいずれもまだ成長が期待でき、どのプラットフォームを選ぶかは、顧客のニーズ次第だという見解を示した。また、両社共同で設置するサポートチームは数十人規模からスタートする予定だとしている。

米マイクロソフト最高経営責任者のスティーブ・バルマー氏マイクロソフト(株)代表執行役社長兼米マイクロソフト、コーポレートバイスプレジデントのマイケル・ローディング氏

一方、米マイクロソフトの最高経営責任者であるスティーブ・バルマー氏は、今回の提携を「富士通とマイクロソフトの共通の夢を実現する」ものとし、Windowsの安全性や相互運用性の向上、オープン化を求める顧客からの声に応えるために必要なパートナーとして、SI分野での提携も行なっている富士通と、ミッションクリティカル分野でも提携を結ぶに至ったとしている。さらに、新たな提携分野は「富士通は長年取り組んできた分野で、マイクロソフトは最近立ち上がってきた分野」であるとして、信頼性、可用性、サービス性に優れたノウハウを持つ富士通との提携に強い期待を示し、「数年後にまた同じメンバーで進捗を発表できれば」と述べた。また、マイクロソフト(株)代表執行役社長兼米マイクロソフト、コーポレートバイスプレジデントのマイケル・ローディング(Michael Rawding)氏は日本法人の役割について「米本社と密に連携を取り、富士通との協業を進める」としている。

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