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NTTエレクトロニクス、指紋でID/パスワードを入力する携帯個人認証デバイス『FingerQuick』を発売

2004年06月08日 22時38分更新

文● 編集部 佐久間康仁

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『FingerQuick』記者説明会

エヌ・ティ・ティ・エレクトロニクス(株)(NTTエレクトロニクス)と日本電信電話(株)(NTT)は8日、東京・大手町で記者説明会を開催し、CMOSタイプの指紋センサーによる指紋認識機能と、指紋に対応するID/パスワードを暗号管理/出力機能を搭載したUSB 1.1接続の携帯個人認証デバイス『FingerQuick(フィンガークイック)』を開発、企業・団体などのセキュリティー向けに同社および販売代理店を通じて10日より販売開始すると発表した。この製品はNTT内のNTTマイクロシステムインテグレーション研究所が開発を進めていた技術をベースに、2003年7月に発足したNTTの“総合プロデュース機能”(※1)によってNTTエレクトロニクスを通じて製品化・販売を行なうもの。

※1 総合プロデュース機能 持ち株会社であるNTTが、NTT研究所で研究中の技術のうち事業化が有望なものを選別して、NTT内に“プロデューサー”“ディレクター”を設定して、NTTグループ内の関連企業や他社との協業を図りつつ事業化を進めていく事業形態。



説明会に出席した山崎王義氏ら
説明会に出席した山崎王義氏(左)、岡崎幸夫氏(中央)、西野 豊氏(右)

説明会には、NTTの第三部門チーフプロデューサ デバイスプロデュースチームビジネスクリエーションプロデュースチーム兼務の山崎王義(やまさききみよし)氏、第一推進プロジェクトM4Dディレクタ主任研究員の岡崎幸夫氏、NTTエレクトロニクスのエレクトロニクス事業本部第三製品事業部事業部長の西野 豊氏が出席し、開発の背景や製品の特徴を説明した。

『FingerQuick』 『FingerQuick』をデモンストレーションしているところ
『FingerQuick』『FingerQuick』をデモンストレーションしているところ
開発の背景を示すパネル
セキュリティー意識の高まりなど、開発の背景を示すパネル

岡崎氏はまず、「従来はIDやパスワードを個人が記憶したり、ICカードを使ってセキュリティー確保を行なっているが、これには忘却や(ICカードそのものの)貸し借り、盗難などによる不正使用といった問題がある。より確実な個人認証デバイスの必要がある」とFingerQuick開発の背景を語った。

FingerQuickは、静電容量型CMOS方式の指紋センサーとID/パスワードを暗号化(暗号鍵長は16bit、暗号化方式はNTT独自開発)して管理するメモリーを搭載したUSB 1.1接続の携帯個人認証デバイス。Windowsのログオン画面やパスワード入力を求めるダイアログボックスなどで、指先をセンサーに乗せると対応するID/パスワードが出力される。

指紋センサーの読取解像度は224×256ピクセル(読取面のセンサーエリアは11.2×12.8mm)で、静電気対策として“グランドウォール型センサ構造”、繰り返しの利用でも汚れによる誤認識/識別不良を防ぐために“汚れ補正機能付き高感度センサ回路”などの独自機能を開発・搭載している。



FingerQuickに搭載された技術を説明するパネル NTTの各研究所で研究・開発されている指紋認証デバイス関連技術を示すパネル
FingerQuickに搭載された技術を説明するパネルNTTの各研究所で研究・開発されている指紋認証デバイス関連技術を示すパネル

ID/パスワードは10指(10種類の指紋)に対して、1指あたり12個まで設定可能。登録できる文字数と文字列は、最大63桁の英数文字およびTab/CR。指紋の識別をFingerQuick内で行ない、暗号化して管理しているID/パスワードを復号化し、USBキーボードとしてパソコン側に出力する。このため、ID/パスワードを受け付けるパソコン側に専用クライアントソフトやデバイスドライバーの追加/インストールの必要がないという。

なお、QuickFingerには事前に登録したパスワードを出力する“基本型”と、1度のみ利用可能で毎回異なるパスワードを再発行する“ワンタイム・パスワード(OTP)型”の2タイプが用意される。OTP型の認証には、別途セキュアコンピューティングジャパン(株)の認証サーバー“PremierAccess”が必要。

本体サイズと重量は、幅23×奥行き85×高さ11mm(カバー装着時)/15g。USBバスパワーで動作し、消費電流は200mA。

販売形態は、導入先の要望に応じてソフト/ファームウェアなどをカスタマイズするシステム販売を予定しており、販売代理店は基本型を東和電気(株)が、OTP型を丸紅ソリューション(株)が担当する。端末1台あたりの想定価格は2万円前後。今後1年間で端末3万台の受注を見込んでいるという。

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