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【E3 2004 Vol.2】SCEA『PlayStation Portable』を公開! まさに携帯版PS2!? PSP用ゲームも40タイトル発表

2004年05月13日 22時29分更新

文● 月刊アスキー編集部・小西利明

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2大携帯ゲーム機による新たなゲーム機戦争の幕が切って落とされた。11日、ソニー・コンピュータエンタテインメント・アメリカ(Sony Computer Entertainment America、以下SCEA)社は米国ロスアンゼルスで開催されるE3 2004に先立ち、プレスカンファレンスにて携帯ゲーム機『PlayStation Portable』(日本での製品名は『プレイステーション・ポータブル』)を公開、専用ゲーム多数も同時に発表された。

SCEA社長平井一夫氏の手によって、ついに姿を現わしたPSP。16:9のワイド液晶ディスプレーを搭載しているため、横幅は約17cmと携帯ゲーム機としてはかなり大きいPSPの本体を正面から見た写真。左下の穴はストラップを取り付ける場所のようだ (C)2004 Sony Computer Entertainment Inc, All rights reserved.

講演の中でSCEA社長の平井一夫氏は、PSPを手に壇上に上がった。PSPの姿は以前に“PSPのモックアップか?”と噂された画像とほぼ同等のデザインで、16:9のワイド液晶ディスプレーの右にPSシリーズと同じ4つのボタン、左に4ボタンの操作キーが配置されている。

PSPの初期ターゲットユーザーは18~34歳のコアゲーマー世代。特に子供に強いと言われるゲームボーイシリーズとは一線を画す
スペックはすでに公開されていたとおり、MIPS R4000系CPUに32MBのメインメモリー、4MBのビデオメモリー用組み込みDRAMを搭載。メディアには新開発の小型光ディスク“UMD”(Universal Media Disc、容量1.8GB)を採用する。液晶ディスプレーは4.3インチワイド/480×272ドット表示で、本体重量は260g。携帯ゲーム機としては大型の液晶ディスプレー採用のため、任天堂の『ゲームボーイアドバンス』などと比べると一回り大きく重い。バッテリーは1800mAhのリチウムイオンバッテリーを内蔵する(バッテリー駆動時間は現時点では未公開)。IEEE 802.11b対応の無線LAN機能も内蔵しており、PSP同士の無線通信のほかに、パソコンとの接続やインターネット接続にも使えそうだ。



PSPの上側面には、USB 2.0ポート(写真中央)や両サイド上側にボタンが1つずつ備わる“プレイステーション”プラットフォーム間の接続イメージ。PSP同士の無線、有線接続のほか、パソコンととPSPとの接続も想定されている。パソコン経由でメモリースティックにコンテンツ配信でも行なうことを想定しているのだろうかムービーで公開されたPSP対応ゲームの1つ『AC FORMULA FRONT』(フロム・ソフトウェア)。PS/PS2で人気のロボットアクションゲームのPSP版のようだ


PS2の人気タイトルが続々とPSPに

UMDメディアとPSP用ゲームパッケージ (C)2004 Sony Computer Entertainment Inc, All rights reserved.
PSPのグラフィックアーキテクチャーは初代プレイステーションのものを大幅に拡張した、ある意味“携帯PS2”と呼べるほどパワフルなものになっている。一般的な3Dポリゴンに加えて、“NURBS”と呼ばれる曲面生成技術を備えて、少ないポリゴンデータからも緻密な3D映像を作りだす能力を持つ。本体公開に引き続いて公開されたムービーでも、『グランツーリスモ4モバイル』や『真・三国無双』、『METAL GEAR ACID』、『どこでもいっしょ』など、プレイステーション2(以下PS2)で名のあるゲームをベースにしたPSP専用ゲームが次々と登場。緻密な映像表現で携帯ゲーム機の常識を覆すパワーを見せ付けた。現時点ですでに100社以上のゲームメーカーが参入を表明。43タイトルものゲームが発表されているラインナップの充実ぶりは見事だ。



PSPによる映像再生のデモ。画質もさることながら、携帯機としては大きめのワイド画面のおかげで画質も良好。コンテンツが充実すれば、携帯ビデオプレーヤとしてもかなり使えそうだ

PSP本体とUMD、メモリースティックPRO Duo (C)2004 Sony Computer Entertainment Inc, All rights reserved.
またPSPはゲーム機だけでなく、“21世紀のウォークマン”となるべくUMDを利用した映像・音楽プレーヤとしても位置づけられている。過去に行なわれた発表では、高画質な映像コーデック“MPEG4 AVC”への対応や、オーディオも3Dサウンド、ATRAC3plusへの対応などの機能を搭載していることが明かされている。今回の発表のデモでも、映画『スパイダーマン2』や『FINAL FANTASY VII:ADVENT CHILDREN』(PS2用ロールプレイングゲーム、『FINAL FANTASY VII』の後日談となる映像作品。ゲームではない)の予告編や、ロックバンド“INCUBUS”のミュージッククリップをPSP上で再生した様子が公開され、映像表現能力の高さをアピールした。

ただしUMDという新しいメディアでコンテンツ供給を行なう以上、多彩で良質な映像・音楽コンテンツがそろうかどうかは、コンテンツを保有する映画、音楽産業次第である。この点ではPSPが目指す姿に近づけるかどうかはまだまだ未知数ではある。



価格やバッテリー駆動時間はどうなる?

PSPの発売スケジュールは、日本が2004年末、北米と欧州が2005年第1四半期、韓国が2005年半ばと発表された。ただし価格については言及がなかった。初年度で300万台の出荷を見込んでいるというが、携帯ゲーム機としては非常に豪華な仕様だけに、一体いくらで販売されるのか大変興味深い。

もう1つの疑問点は、バッテリー駆動時間はどの程度なのかだ。今回の発表では“ポータブルDVDプレーヤーやポータブルオーディオプレーヤーといった既存の携帯機器並み”という記述しかなく、具体的な駆動時間を推定するだけの情報は出なかった。映画も見られる映像プレーヤーを指向している以上、2~3時間は再生できて当たり前だが、ゲームによって、あるいは通信機能の使用状態によってバッテリー駆動時間は大きく異なる可能性がある。この点は製品相当の実機で検証してみるしかなさそうだ。

PSPの本体背面。メモリースティックスロットは側面に配置 (C)2004 Sony Computer Entertainment Inc, All rights reserved.手に持ったところ(画面はイメージ) (C)2004 Sony Computer Entertainment Inc, All rights reserved.
イメージカット。本体色にバリエーションがあることがわかる。左端は白、右端は緑がかっている (C)2004 Sony Computer Entertainment Inc, All rights reserved.SCEIより公開されたイメージ写真。製品として予定されているのは黒だけだが、イメージ写真中には白や水色、クリーム色など、多様なカラーバリエーションのPSPが描かれている (C)2004 Sony Computer Entertainment Inc, All rights reserved.


PlayStaion Portableの仕様

CPU
PSP CPU(最高クロック 333MHz)
メモリー
32MB(メインメモリー)+4MB(ビデオメモリー)
対応メディア
UMD
対応メモリカード
メモリースティックPRO Duo
液晶ディスプレー
4.3インチワイド(縦横比 16:9)、1677万色表示
ディスプレー表示解像度
480×272ドット
無線通信機能
IEEE 802.11b対応無線LAN、IrDA
インターフェース
USB 2.0、ヘッドフォン/マイク/コントロール一体型端子、本体電源入力端子、外部電源供給端子
スピーカー
ステレオスピーカー内蔵
バッテリー
内蔵型、リチウムイオン
サイズ
約幅170×奥行き74×高さ23mm
重量
約260g(バッテリー含む)
対応オプション
USBカメラ、USB GPS、USBキーボード(いずれも予定)

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