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日本IBM、“ThinkVantage事例セミナー”を開催!

2004年04月24日 19時41分更新

文● 編集部 小板謙次

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ワイヤレス端末導入による病棟内の医療情報システム運用事例を紹介したのは、医療法人社団 新日鐵八幡記念病院企画室の河野俊氏だ。同病院の規模は、医師69名、看護士337名を抱え、ベッド数453床、21の診療科に集中治療部と腎センターを併設、救急対応も行っている。

医療法人社団 新日鐵八幡記念病院企画室の河野俊氏
医療法人社団 新日鐵八幡記念病院企画室の河野俊氏

すでに2001年から院内ネットワークの構築を決定し、2002年3月には電子カルテシステムの導入を決定、2003年6月には同システムが稼動を開始した。これと並行して、2002年6月には早くもワイヤレス端末の検討を開始し、翌年6月にはThinkPadによるワイヤレス運用を開始した。現在では380台の端末のうち150台弱がワイヤレス環境になっている。ワイヤレス端末導入の目的は、情報をリアルタイムで共有することで迅速で性格なサービスが実現できるという患者側のメリット、紙から電子データへ移行することで経営を効率化できるというメリットだった。

医療法人社団 新日鐵八幡記念病院における医療情報システム導入の計画
医療法人社団 新日鐵八幡記念病院における医療情報システム導入の計画
システム構成概略
システム構成概略

「通常私どもの病棟は3交代勤務をしており、一番多い時間帯で看護師は14人配置されている。この1人1人がそれぞれの患者さんをケアしているので、1人1台の環境がないとケアにならない。またその看護師は、ナースステーションにずっと居るわけではなく、病棟のなかを走り回っている。そのなかで効率的に入力させるためには、病棟のどこからでも参照できる、入力できる環境が必要だった」と河野氏は振り返った。

病棟の平面図と無線端末の配置
病棟の平面図と無線端末の配置
無線の有効範囲
無線の有効範囲

では、ワイヤレス環境の導入でどのようなメリットがあったのか?これについて河野氏は病棟のどこからでも情報の参照がきるようになった点を挙げた。これは一見当たり前のようだが、病院にとっては大きな変革だったようだ。「当然のことだがリアルタイムということが非常に大事なことだった。紙のカルテを使っていた場合は、朝にカルテを作っていた。患者さんの容態にもよるが、そのカルテは前の日の夕方の情報が記入されたもの。で、1日経過して夕方になると、やっとカルテが更新される。つまり、夕方までは前の日の夕方の情報を見て、自分の頭のなかで(作業を)組み立てながらいろいろケアをしていた」とこれまでの状況を説明した。また。患者の体温ひとつを記録するのにも、今まではメモをとってナースステーションに戻りカルテに記入していた。それをリアルタイムでできるようになったため、カルテを探す時間も省けた。結果、より多くの時間を患者さんの介護に避けるようになったという。「当初は考えていなかったが、場所と時間の制約がなくなりローカルでカンファレンスができる点も大きなメリットだった。効果的だったのは看護データを患者に見せながら説明ができ、理解の度合いが深まった点だ」と意外なメリットも紹介した。

看護師はワゴンにThinkPadを置いて移動する
看護師はワゴンにThinkPadを置いて移動する
看護師1人に1台を割り当て、リアルタイムでデータを入力
看護師1人に1台を割り当て、リアルタイムでデータを入力
看護師が見ている画面。上に患者の体温推移、下には医師の指示が記入されている
看護師が見ている画面。上に患者の体温推移、下には医師の指示が記入されている

しかしながら課題がないわけではない。コンパクトで頑丈、無線の受信状態が非常に安定している、バッテリーの駆動時間が長いなどの理由でThinkPadを選択したのだが、長いといっても4~5時間。昼の間の充電は避けられないが、その昼も充電しっぱないという状況は考えられない。よって、長時間バッテリーの導入も検討しているとのこと。また、無線のセキュリティーには常に機を使う点や、診察中の情報の覗き見についても対策を講じる必要があると話した。

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