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【IDF 2004 Spring Vol.1】“インテル・デベロッパ・フォーラム Japan Spring 2004”開催――7日基調講演で語られた家電、通信、パソコンの“融合”による変革と無線通信技術の今後

2004年04月09日 05時44分更新

文● 編集部 内田泰仁

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インテル(株)のCPUやネットワーク関連などの技術を開発者向けに紹介する技術カンファレンス“インテル・デベロッパ・フォーラム Japan Spring 2004”(以下IDF)が、千葉・舞浜のヒルトン東京ベイで開催された。会期は7日および8日の2日間で、基調講演(両日ともに開催)を筆頭に、各種技術セッション、プレスセミナー、協賛企業各社のブース展示が行なわれた。

日本法人の代表取締役共同副社長のグレッグ・ピアーソン氏世界各地で開催される“インテル・デベロッパ・フォーラム”のスケジュール

初日となる7日の基調講演の冒頭では、同社代表取締役共同副社長のグレッグ・ピアーソン(Greg Pearson)氏が開幕の挨拶を行ない、今回のIDFを「(2月に開催された)米国に続く2ヵ所の開催で、規模も最大級」と紹介。今シーズンの“インテル・デベロッパ・フォーラム”はこのあと、台湾、中国、ヨーロッパ(スペイン・バルセロナ)で開催されると述べた。ピアーソン氏に続くパートでは、コンピューティング環境を取り巻く“変革”について、携帯電話やモバイル機器とそれらが使用するネットワーク技術を中心とした“コミュニケーション・プラットフォーム”について、ノートパソコンを中心としたパソコン向けの技術の話題とする“モバイル・プラットフォーム”について、の3テーマが語られた。本稿ではこのうち、“変革”と“コミュニケーション・プラットフォーム”に関するパートを取り上げる。

米インテル社主席副社長兼インテル・コミュニケーションズ事業本部長のショーン・マローニ氏ネットワークにつながるパソコンの台数増加とデータ処理機能を備えた携帯電話の台数増加2010年におけるブロードバンド接続されたパソコンとネットワークに接続可能な携帯端末の予測

最初のテーマ“変革”についての解説は、米インテル社主席副社長兼インテル・コミュニケーションズ事業本部長のショーン・マローニ(Sean Maloney)氏が行なった。冒頭マローニ氏は、現在のパソコン環境と携帯電話の状況について説明し、ネットワークに接続されたパソコンの台数は2003年には10億台に迫り、データ処理が可能な携帯電話の台数は10億台を突破したと紹介。さらに、2010年にはブロードバンド環境が整ったパソコンが15億台、「現在のPC並みの機能を搭載する(ネットワーク接続が可能な)携帯電話」(マローニ氏)が25億台になると予測している。マローニ氏は、このような状況を踏まえ、家電や通信、コンピューター技術の“融合”による、世界的規模での“変革”が進んでいるとした。そして、パソコンを核としたコンピューター技術のリビングへの進出“デジタルホーム”の展開が今後さらに盛んになるとしている。

インテルがこれまでに実現した携帯機器と無線技術の“融合”の例無線LANの急成長を示すグラフ

無線USB接続のビデオカメラとHDD。有線接続のときと同様に、動画のキャプチャーとファイルの保存が行なえるというデモが行なわれた
マローニ氏のパートで大きく取り上げられたのが、さまざまなワイヤレスの技術で、“Wi-Fi”(IEEE 802.11b/gの無線LAN)の広い普及、Bluetoothや無線USBのようなデバイス間をつなぐ比較的狭い範囲の無線通信、携帯電話のチップ技術のこれからの進化、現在開発中の“UWB(Ultra Wide Band)”や“WiMAX”といった広域無線ネットワークが紹介された。



ムーアの法則を適応して携帯端末向けチップの集積化・小型化を進める未来予測2005~2006年に向けた、携帯端末向けプロセッサーに搭載する機能群

この図は、右がユーザー、左に行くにしたがって通信距離が長くなる、と見ていただきたい。無線通信に関する規格はさまざまなものが存在しているが、インテルは用途や距離、場所によって最適な通信方法が選べることを重視するとしており、単一規格での統一ではなく複数規格の共存を念頭においている
マローニ氏の解説によると、現在の携帯電話の技術はまだ「(次世代への)過渡期にある」とし、1~2種類の無線技術をサポートし、200種類以上のコンポーネントから構成され、i80286相当のパフォーマンスを持つ、限られたソフトウェア実行環境と音声通信向けの構成のものだとした。インテルとしては、携帯電話のチップ技術にも“ムーアの法則”を適応し、チップの統合化と小型化、アナログ処理機能部分のデジタル化に取り組んでいき、2009年には1チップに統合され、99%の部分がデジタル化された携帯向け統合チップをリリースする予定だとしている。また、あらゆる手段でいつでもネットワークに接続する利便性を高めていくには、現在よりももっと多くの場所でブロードバンドアクセスが可能になるようにする必要があるとしているが、これを実現するには、「単一の規格ですべてをカバーすることは不十分」とし、状況に応じた最適な接続方法(とそのために必要な規格や技術)をユーザーが選択できるようにすべきで、複数の規格/技術が共存していく必要があると述べた。



長距離無線ネットワーク技術“WiMAX”のロードマップ

約48kmの通信範囲と最大70Mbpsの通信速度になるという長距離向けの無線ネットワーク通信技術“WiMax”は、2004年中にインテルから最初のチップがリリースされる予定。2005年にはCPEや基地局といった屋外デバイスでの利用が始まり、2006年にはノートパソコン向けに、さらに2007年には携帯電話端末への統合が行なわれるという予定が紹介された。この規格は、Wi-Fiと同じくグローバルな標準規格となり、低コストでの実装が可能になるものだとしている。

シリコン技術の今後の進化2011年にはDNAの螺旋構造のサイズに迫るゲートサイズに到達する見込みだという

そして、これらの技術を支える半導体技術の進化は今後ももちろん進んでいくとして、シリコン技術の微細化、複雑化の見通しが紹介された。同社の進める研究開発によれば、2005年には65nmプロセス(30nmゲート)のウエハー生産が開始され、2007年には45nmプロセス(20nmプロトタイプ)、2011年には22nm(10nmプロトタイプ)に到達。インフルエンザウイルス(約100nm)と同程度の現在のサイズから、DNAの螺旋構造(12nm程度)に迫るサイズにまで微細化が進んでいくと述べた。

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