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米デルの会長兼CEOマイケル・デル氏が来日!!――「IT市場におけるビジネス機会はまだまだある」

2004年03月26日 21時12分更新

文● 編集部 佐久間康仁

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米デル(Dell)社とデル(株)は26日、東京・虎ノ門のホテルオークラで記者会見を開催し、米デルの会長兼CEO(最高経営責任者)のマイケル・デル(Michael S.Dell)氏とデル(株)の社長の浜田 宏氏らが、ビジネス概況および今後の展望、戦略などを語った。

マイケル・デル氏ら
会見に出席した、米デル社の会長兼CEOのマイケル・デル氏(左)と、デル(株)の社長の浜田 宏氏(右)。デル氏は5日間で5ヵ国目という強行軍の最中で、「秋葉原での買い物の時間は取れないようだ」と残念そうだった

マイケル・デル氏は、「IT業界は上向き(回復基調)の兆候を見せている」と切り出し、「2004年は対前年比2桁(10%以上)成長が見込まれる。これまで各企業はコスト削減を第一に考える傾向が強かったが、これからは積極的な設備投資を行ない成長基調が期待できる。(昨日ガートナー ジャパン(株)が公表したパソコン市場の出荷調査結果などを引き合いに出して)日本でのシェアが3位となり、出荷台数は前年比30%の成長を達成した。全世界では25%の伸びで、市場シェアは1位を獲得している。日本に進出して12年になるが、今後も重要な市場として捉えている」と同社の業績の好調ぶりをアピールした。

各地域における売り上げとシェアの伸びを示すグラフ UNIXからLinuxやWindowsとIAサーバーを用いた業界標準に移行しつつあることを示す図
デル社の各地域における売り上げとシェアの伸びを示すグラフエンタープライズ(サーバー製品群)が従来のUNIXからLinuxやWindowsとIAサーバーを用いた業界標準に移行しつつあることを示す図

同社が最近注力しているエンタープライズ市場については、「従来はメーカーの独自技術による高速化が行なわれてきたが、最近は“標準技術”(デル氏の発言ではLinuxやWindows、およびIAサーバーを指す)が広く使われるようになっており、90%が業界標準とも言われる。かつて高速サーバーの代名詞であった8way(CPUを8搭載するサーバー)以上の市場は減り、むしろ標準技術を使った2wayや4wayに戻ってきている。デルとしては、エンタープライズ分野においても(一般ユーザー向けB.T.O.パソコンと同様に)、一貫した顧客志向のアプローチを取り組んでいる。2006年度にはこれらのサーバー製品群が20%の成長を見せ、90億ドル(約9540億円)規模の売り上げが見込めるだろう」と市場の変化に対応して、デルがこの分野に積極的に進出するつもりがあることを示した。

最後に、IT市場全体への同社の取り組みについて、「パソコン本体やサーバー製品でシェアを伸ばしているが、(イーエムシー ジャパン(株)との協業による)“Dell|EMC”ブランドのストレージ製品、(今月8日に発表した“Axim X3シリーズ”などの)PDA/PocketPC製品、プロジェクター液晶TV製品など、2006年度に8000億ドル(約84兆8000億円)規模が見込まれるこの市場にはまだまだデルが伸びる余地が十分残っている。2006年度には、デル自身も15%成長の600億ドル(約6兆3600億円)を目指す」と自信のほどをうかがわせた。

デルのエンタープライズ戦略を示す図 デルの2006年度までの戦略を示す図
デルのエンタープライズ戦略を示す図。業界標準の製品と、各社との連携により、総合的なサービス/ソリューションを提供できると説明デルの2006年度までの戦略を示す図。下の青い部分がデルのシェアで、緑の部分はまだデルの成長が期待できるとする領域を示す

UNIXから標準技術への移行を支援する新サービスを提供
今年は“UNIXマイグレーション(UNIXからの移行)元年”になる!?

続いて、浜田氏が日本での新たなサービス展開について紹介した。デル(株)が今年目指すのは“スケーラブルエンタープライズ戦略の推進”で、UNIXから“標準技術”への移行を促進し、企業の競争力向上を支援するという。

具体的には、現在提供している企業&エンタープライズ向けサービス群“DPS(デル・プロフェッショナル・サービス)”に新たに“移行支援サービス”メニューを今年5月に追加する。これにより企業に導入済みのUNIX環境を“ハードウェア/データベース/企業固有の独自アプリケーション”の全方位で、LinuxベースのIAサーバー製品群に速やかに移行して管理コストを下げられるとしている。移行支援サービスは、顧客の環境に応じて、いくつかの標準化サービスメニューを用意し、顧客の要望に応じてメニューを組み合わせて提供する。

デルが示したUNIXサーバーとIAサーバーのパフォーマンスならびにコストの比較 UNIXからのシステム移行の工程を示すフロー
デルが示したUNIXサーバーとIAサーバーのパフォーマンスならびにコストの比較。詳細な条件が明かされていないが、同社の試算では速度が40%超、コストは80%近くの削減が可能というUNIXからのシステム移行の工程を示すフロー。これらの組み合わせをいくつか標準化することで、顧客にすばやく提供できるよう準備している、と説明する

また、移行時の規模や工程を相談できるオンライン・コンサルティングサービス“Dell Solution Online(デル・ソリューション・オンライン)”を開設するとともに、今年後半には保守・運用体制を強化する新サービス“プラチナサービス”の提供も行なうと説明した。従来の“シルバーサービス”“ゴールドサービス”が、起こった後の障害をいち早く解決し、ロスを最小限に防ぐ“リアクティブ”な体制だったが、プラチナサービスは未然にトラブルの発生を防ぐ“プロアクティブ”なサポート体制を提供するという。具体的には、24時間365日の連続稼働を実現し、障害を未然に防ぐための管理者向けガイダンスの開催や運用トレーニング、各種レポートや年間サポート計画の提出、などが含まれる。

デル(株)では、これらのサービスを提供することで、「今年が“UNIXマイグレーション元年”になると考えている」と意気込みを語った。

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