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富士写真フイルム、スーパーCCDハニカムIV SR&ワイド液晶ディスプレーを搭載した『FinePix F710』を3月中旬に発売

2004年02月17日 00時00分更新

文● 編集部 佐久間康仁

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FinePix F710発表会

富士写真フイルム(株)は17日、東京・南青山の本社ビルにおいて記者説明会を開催し、光学4倍ズームレンズと広いダイナミックレンジを持つという“スーパーCCDハニカムIV SR”、および背面に16:9のワイド液晶ディスプレーを搭載するコンパクトデジタルカメラ『FinePix(ファインピックス) F710』を3月中旬に発売すると発表した。価格はオープンプライスで、編集部による予想実売価格は5万円台。



『FinePix F710』『FinePix F710』

同時に、初心者向けに撮影や再生表示に必要なボタンをわかりやすく配置した光学3倍ズームレンズ&有効320万画素CCD搭載の『FinePix A330』、光学3倍ズームレンズ&有効400万画素CCD搭載の『FinePix A430』も、同じく3月中旬に発売すると発表した。価格はオープンプライスで、編集部による予想実売価格はA330が3万円弱、A340が3万円強。

内田洋祐氏 青木良和氏 平田正文氏
常務執行役員 電子映像事業部長兼プリンピックス事業部長の内田洋祐氏電子映像事業部営業部長の青木良和氏電子映像事業部営業部技術グループ主査の平田正文氏

発表会には常務執行役員 電子映像事業部長兼プリンピックス事業部長の内田洋祐氏、電子映像事業部営業部技術グループ主査の平田正文氏、電子映像事業部営業部長の青木良和氏らが出席し、ワイド液晶ディスプレーを搭載したF710を開発した背景や狙いなどを説明した。

ダイナミックレンジ、液晶ディスプレー、光学4倍ズームレンズ
「3つのワイドを世に問いたい」

広いダイナミックレンジの比較イメージ 2.1インチのワイド液晶ディスプレー
広いダイナミックレンジの比較イメージとして披露された映像。女性の右側の奥は黒く潰れて、ほとんど何もないように見えるが、左には柱や壁の質感が見て取れるF710の背面。2.1インチのワイド液晶ディスプレーを搭載する

最初に挨拶に立った内田氏は、「(富士写真フイルムは)70年に渡って、銀塩カメラが全盛のときから、写真を表現豊かに撮ることに技術を磨いてきた。昨年12月に地上デジタル放送が始まり、大型カメラ店などでもワイドな液晶/プラズマTVが売れていると聞く。そうした(16:9の)ワイドな画面に見慣れた方々に、家庭の大きなTVでワイドな写真を楽しめるデジタルカメラを、と作ったのが“F710”。スーパーCCDハニカムIV SRの広いダイナミックレンジ(※1)と、ワイドな液晶ディスプレー、そしてコンパクトカメラでは多くが光学3倍ズームレンズを搭載するなかで広角側32.5mm相当(35mmフィルムカメラ換算時)から撮影できる光学4倍ズームレンズを搭載し、“3つのワイド”というF710の新しいコンセプトを流行らせていきたい」と同製品への強い期待感を表わした。

※1 スーパーCCDハニカムIV SR 富士写真フイルムが2003年1月に発表した、同社の第四世代にあたる撮像素子(スーパーCCDハニカム)。従来の1画素分の面積に、比較的大きな画素で高感度な(少ない光量でも明るく記録できる)“S画素”と、より小さな画素で明るい部分でも白とび(光量があふれることで階調がつぶれてしまう現象)が起きにくい“R画素”の2つを並べて、両方の画素から読み出した情報を演算して1画素の色情報を生成する同社独自の撮像素子。読み出しをS/R画素双方で個別に行なっているため、総画素数の表記は620万画素(S画素310万画素、R画素310万画素)となるが、記録画素数としては310万画素相当(ただし、ハニカム補間でデータ記録時には600万画素相当)となる。なお、S画素はSensitivity(敏感さ、高感度)、R画素はDynamic Range(ダイナミックレンジの広さ)を示すという。

F710は、昨年9月に発売された(当初は5月発売予定)『FinePix F700』に続く、スーパーCCDハニカムIV SR搭載デジタルカメラ。CCDは1/1.7インチ有効620万(S画素310万/R画素310万、総670万)画素で従来から変更はないが、色情報を取り出す演算手順を改良し、「シーンに応じてよりワイドレンジに撮れるようになった」「例えば、青空や白い雲の“抜け”がさらによくなり、人の見た目に近い表現ができる」(平田氏)という。色表現の改良のほかにも、解像感を高めると同時にS/N比を上げるように調整したとのこと。記録解像度は4:3のスタンダードモードでは最大2832×2128ドット、16:9のワイドモードでは2816×1584ドットで、保存ファイルはDCF準拠のJPEG形式(DPOF/Exif Ver.2.2対応)もしくは非圧縮のCCD-RAW形式をサポートする。動画撮影は、モノラル音声付きのAVI形式(MotionJPEG圧縮)で、スタンダードでは640×480ドット、ワイドでは640×360ドット(いずれも毎秒30フレーム、連続記録時間はメディア容量いっぱいまで)となる。

F710の上面 F710の底面
F710の上面F710の底面。バッテリーやxDピクチャーカードスロットが見える

レンズは非球面レンズ3枚を含む5群6枚のフジノン光学4倍ズームレンズで、従来の6群7枚(フジノン光学3倍ズームレンズ)より構成枚数を減らしているが、「新開発の高屈折のガラスモールドと、先端に大口径のガラスモールドを採用し、銅鏡部分も設計しなおすことでレンズ部の飛び出しを短くして、広角(32.5mm相当)から望遠(4倍ズーム、130mm相当)まで幅広く撮影できるようにした」(平田氏)と説明する。レンズの明るさを示すF値は2.8~5.6。

撮影距離は標準で最短60cm、マクロ撮影では約7.5cm(広角端)での近接撮影が可能。ISO感度はAUTO(ISO 160~800相当)もしくはISO 200/400/800/1600相当。露出制御はプログラムAE/シャッター優先AE/絞り優先AE/マニュアル露出の切り替えが可能で、あらかじめ被写体に合わせてプリセットされたシーンモードとして人物/風景/スポーツ/夜景の4タイプを備える。シャッター速度は1/2000~3秒、連写は0.2秒間隔で連続5枚まで(シャッターを離した瞬間からさかのぼって記録する“サイクル連写”にも対応)、および最短0.6秒間隔で連続40コマまで記録できる“MEGA連写”が可能。

アシストウィンドウ 再生時のメニュー
新搭載の“アシストウィンドウ”。直前に撮影したカットを確認しながらフレーミングできる再生時のメニュー。撮影した日付ごとに画像を一覧できる機能は、パソコンに転送せずにメモリーカードに記録しっぱなし、というユーザーに便利そうだ

本体背面には視野率約77%の実像式光学ズームファインダーと、視野率約100%の2.1インチ微反射型CGシリコンTFTカラーワイド液晶ディスプレー(約17万3000画素)を搭載。4:3のスタンダードモードでの撮影時には、左右の余白(黒い)部分に各種撮影設定が表示される。「カメラユーザーの中には、被写体を確認する液晶ディスプレーにパラメーターなどが載っては困るという声もあった」という。画面を9分割した左下に、直前に撮影した映像をモニター表示する“アシストウィンドウ”機能を搭載。直前に撮影した構図を確認したいときや、同じ構図/被写体を繰り返し撮らず、メモリーやバッテリーを節約したいときに役立つ。また、液晶ディスプレーの右脇には、撮影設定のパラメーターや画像再生時の表示切替などを手早く行なう“モードダイヤル”を搭載。親指で360度くるくる回して操作できるため、メニューや再生画面一覧(撮影結果を日付別に一覧表示が可能)の直感的な操作が可能。

外装はステンレス製(従来のF700はアルミ合金)で、フレームにはシャンペンゴールドの金属塗装を施して、剛性感と質感を高めているという。本体には、ビデオ出力端子とDC入力端子、およびパソコンなしでプリンターに直結して印刷できるダイレクトプリントの統一規格“PictBridge(ピクトブリッジ)”に対応したUSB 2.0端子を備える。

同梱の専用クレードル
USB端子とDC入力を備え、置くだけでパソコンへのデータ転送や充電が行なえる専用クレードル。従来は別売オプションだったが、F710では標準添付になった

バッテリーは専用リチウムイオンバッテリー(NP-40)で、撮影可能枚数は液晶ディスプレーオンで約135枚、オフで約270枚(同社による実測値)。記録メディアはxDピクチャーカードで、本体には16MBメディア1枚が付属する。本体サイズと重量は、幅109.5×奥行き28.9×高さ54mm/約225g(装備重量)。なお、F700では別売だった、USB端子とDC入力を備えるクレードルが本体に同梱される。

ボタンの数を減らし
撮る見るを簡便なインターフェースで実現

“FinePix A330/A340”の製品コンセプト
“FinePix A330/A340”の製品コンセプトを明快に示したプレゼン資料の一こま

A330/A430は、デジタルカメラに慣れていない初心者にも簡単に使えるように、インターフェースを改良した入門者向けコンパクトデジタルカメラ。電源と連動するレンズカバー、背面の液晶ディスプレー脇には再生ボタン(電源オフでも再生可能)を備え、撮影時によく使うと思われるストロボ切り替え/マクロモード切替は独立したボタンで用意し、そのほかの撮影機能はメニュー表示にするなど、初心者が迷わず撮影や再生を楽しめるように工夫されている。

撮像素子はともに1/2.7インチ正方画素CCDで、記録画素数はA330が有効320万(総334万)画素、A430は有効400万(総423万)画素。記録解像度はA330が最大2016×1512ドット、A430は2272×1704ドット、保存ファイルはDCF準拠のJPEG形式(DPOF/Exif Ver.2.2対応)。動画撮影は、音声なしのAVI形式(MotionJPEG圧縮)で、320×240ドット(毎秒10フレーム、連続記録時間は約60秒)となる。



レンズカバーのくぼみで区別できるA330とA430 A330/A430の前面と背面
FinePix A330(右)とA340(左)。外観はほとんど同じだが、レンズカバーのくぼみがA330は青く、A430は金色になっているA330/A430の前面と背面

レンズはf=5.7~17.1mm(35mmフィルムカメラ換算時:38~114mm相当)のフジノン光学3倍ズームレンズで、レンズの明るさを示すF値は2.8~4.8。撮影距離は標準で最短60cm、マクロ撮影では約10cm(広角端)。ISO感度はISO 100(ストロボ非発光時)。露出制御はプログラムAEのみで、シーンモードとして人物/風景/スポーツ/夜景の4タイプを備える。

本体背面には視野率約80%の実像式光学ズームファインダーと、視野率約90%の1.5インチアモルファスシリコンTFTカラー液晶ディスプレー(約6万画素)を搭載。本体には、ビデオ出力端子とDC入力端子、および“PictBridge”対応のUSB端子の各インターフェースを備える。

FinePix A330/A340の底面および側面
FinePix A330/A340の底面および側面

電源は単3電池2本(アルカリ乾電池/ニッケル水素充電池/充電式専用バッテリー『NH-10』)。なお、NH-10は別売のクレードル『CP-FXA10』(1万円)に1個付属する。撮影可能枚数は、A330がアルカリ乾電池で約160枚(液晶ディスプレーオン)/約250枚(オフ)、A340は同じく約140枚/約220枚。記録メディアはxDピクチャーカードで、本体には16MBメディア1枚が付属する。本体サイズと重量はどちらも、幅104.1×奥行き31.3×高さ61.5mm/約193g(装備重量)。


なお、同社は3月20日から“FinePix”および“BIGJOB(ビッグジョブ)”の購入者を対象に、専用ウェブサイトかハガキで応募すると“東京ディズニーランド スペシャル招待状”(500組1000名)、もしくは“東京ディズニーランド オリジナルフォトスタンド”(1500名)が当たるキャンペーンを実施する。詳細は同社のウェブサイトでご確認いただきたい。

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