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EMC、ストレージ・プラットフォームおよび関連ソフトのラインナップを刷新

2004年02月12日 23時44分更新

文● 編集部 内田泰仁

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イーエムシージャパン(株)(以下EMC)は10日、同社のストレージ・プラットフォームとこれに関連するソフトウェアの大幅なラインナップ刷新を行なうと発表した。対象となるのは、ミッドレンジからハイエンドまでのNAS、SAN、CAS製品全般で、製品シリーズとしては、ハイエンド・ストレージ・プラットフォームの“Symmetrix DMX”シリーズ、ミッドレンジの“CLARiX CX”シリーズ、NASゲートウェイ“Celerra”シリーズ、CAS製品“Centera”シリーズで、EMCのストレージ・プラットフォームの全体にあたる。また、同日には都内で記者発表会を開催し、事業方針や新製品の概要の説明が行なわれた。

イーエムシージャパンの代表取締役社長、中山隆志氏

今回の各製品の刷新は、導入するユーザーのコストの削減、データの保護、さらに同社が提唱する“情報ライフサイクル管理”において、情報の価値をさらに高めることを狙ったもの。事業方針の説明を行なった同社代表取締役社長の中山隆志氏によると、同社の事業の方向性として、最小のコストで最大の情報価値を引き出す能動的な情報管理の戦略である“情報ライフサイクル管理”について、

  • 情報の価値にマッチした階層ストレージによるコスト削減と情報へのアクセス性の向上
  • 情報移行のポリシーによる自動化と統合管理によるTCOの削減
  • “情報ライフサイクル管理”による情報保護や法規制への対処
  • 具現化へのアセスメント、計画、実装、管理を提供するサービスの強化

などによって、より具体的な製品・ソリューションの提供を行なっていくという。また、事業運営の方向性として、従来以上にパートナーとの協力体制を重視するように体制を変革し、アプリケーションパートナー、SIパートナー、販売パートナーとの協業を強化し、市場ガバレッジの拡大を図るとしている。

『Symmetrix DMX-2』“CLARiX CX”シリーズ。写真左より『CX500』『CX700』『CX300』
『Celerra NS700G NASゲートウェイ』『EMC Centera』

この日発表された製品は以下の4製品。

『Symmetrix DMX-2』
ハイエンド・ストレージ・プラットフォームの“Symmetrix DMX”シリーズの上位製品。1GHzのPowerPCプロセッサーを搭載する新チャネル/ディスクダイレクター“DMX-2”を搭載したことで、従来製品に比べ最大2倍のパフォーマンスを実現。最大ディスクキャッシュ容量は256GB。搭載可能なHDDとして、最大73GB/1万5000rpmのファイバー・チャネル・ディスクドライブに対応し、HDDの高速化も図っている。また、オプションとしてパリティーRAIDまたはRAID5の構成が可能。さらに、遠距離レプリケーション技術“SRDF/A”(Symmetrix Remote Data Facility/Asynchronous)がマルチアレイに対応した。なお、“DMX-2”テクノロジーは、データ・イン・プレース・アップグレード(データをストレージに格納したままアップグレードを行なう方法)により、既存の“Symmetrix DMX”シリーズでも利用できる(『Symmetrix DMX800』を除く)。

また、この製品の発表に合わせて、アプリケーションを中断することなくストレージのワークロードを移動可能なソフトウェア『EMC AutoSwap』も発表されている。同社の“SRDF”(Symmetrix Remote Data Facility)技術と連携させることで、処理を中断することなく複数アレイにまたがるストレージのワークロードを移動して一時的または恒久的な負荷分散を行なったり、メインサイトで障害が発生した場合にリモートの障害復旧サイトに自動的にワークロードを切り替えることが可能。

『CLARiX CX300/CX500/CX700』
ミッドレンジ向けネットワーク・ストレージ・システム製品。小規模のパッケージでDASおよびSANが必要とされるワークグループ環境をターゲットとするエントリータイプ『CX300』、これよりも高いパフォーマンスとローカル/リモートでのレプリケーションも必要となる部門レベルでの利用をターゲットとした中位タイプ『CX500』、データセンターでの利用をターゲットとし、最大240ドライブまでの拡張が可能なシリーズハイエンドタイプ『CX700』、というラインナップ。同社のNASゲートウェイ“Celerra”シリーズと組み合わせることで、NAS対応のシステムにアップグレードすることもできる。また、iSCSIにも対応し、ファイバー・チャネルSAN環境にiSCSIを統合することが可能。

また、CLARiXシリーズのソフトウェア強化として、データ移動ソフト『SAN Copy』への差分コピー機能とサポートするストレージシステムの追加、マイクロソフトの“Microsoft Volume Shadowcopy Service”に対応したレプリケーション/リカバリー機能“SnapView Integration Module for Exchange 2003”および“SnapView Integration Module for SQL Server”も発表。マイクロソフト製品によるサーバー環境のバックアップ、リカバリーの合理化と自動化を図っている。

『Celerra NS700G NASゲートウェイ』『Celerra NS700 統合型NAS』『NetWin 200』
“Symmetrix DMX”シリーズや“CLARiX”シリーズと組み合わせて利用するNASゲートウェイ製品の新モデル。SANベースのストレージに接続可能なので、SANをベースとしたシステムの継続性やバックアップ/リストアー機能を活用しつつ、SAN/NASの使用率や柔軟性、拡張性を向上させることを狙った製品。NS700Gは、従来モデルよりもコストパフォーマンスを33%向上させたNASゲートウェイで、階層型ストレージ・オプションをサポートしながら、パフォーマンスや容量、管理性を大幅にグレードアップしているという。NS700は、このNASゲートウェイを用いた統合型NASシステムで、将来的にゲートウェイベースのアーキテクチャーに移行することを考えたユーザー向けの製品。

『NetWin 200』は、『Microsoft Windows Storage Server 2003』をOSに採用したNAS製品で、NASゲートウェイと『CLARiX CX200/CX300/CX500』のいずれかのネットワーク・ストレージ・プラットフォームで構成される。これらのNASゲートウェイ製品はウェブベースでの管理が可能で、企業全体にわたるゲートウェイおよび統合NASの管理を効率化するという。また、遠隔地のストレージのリカバリーが可能な新しいレプリケーション機能“Celerra Replicator”機能が搭載される。

『EMC Centera』の機能強化
『EMC Centera』は、フィックス・コンテンツの管理を行なうことを主に設計されたCAS(コンテンツ・アドレス・ストレージ)システム。従来は、WindowsおよびUNIX/Linuxベースのシステムのフィックス・コンテンツの収容が可能になっていたが、新たにEMC CentraのAPIがIBMのz/OSによるメインフレーム環境をサポートするようになったことで、Windows、UNIX/Linux、メインフレームのフィックス・コンテンツ収容の単一統合環境が可能になった。これにより、メインフレームベースのフィックス・コンテンツに対してオンラインでアクセスし、情報を引き出すことが可能になる。また、従来バージョンに比べ、最大5倍のパフォーマンスと、2倍のデータ・レプリケーション速度を実現しているという。

また、オープン仕様の相互運用可能なAutomated Networked Storage環境の実現に向けて、ストレージ業界団体のSNIA(Storage Networking Industry Association)の策定する“SMI-S”(Storage Management Initiative Specification)のバージョン1.0仕様を実装したアプリケーションによって、1997年以降に出荷された“Symmetrix”および“Symmetrix DMX”シリーズ、2000年以降に出荷した全“CLARiX”シリーズの管理を行なうことが可能になるという。“Symmetrix”および“Symmetrix DMX”や“CLARiX”を使用しているユーザーは、既存の管理アプリケーションに加えて、EMCおよび他社製のSMI-S対応管理アプリケーションを利用でき、EMC製のSMI-S対応管理アプリケーションでEMCおよび他社製ストレージ・アレイを一括して管理したり、他社製アプリケーションでEMCおよび他社製ストレージ・アレイを管理することが可能。ユーザーおよびISV各社は、近日中にSMI-S対応のインターフェース『SMI-S PROVIDER』を利用できるようになるという。なお、ISVには、EMCが設ける“EMC Developers Program”を通じて提供されるという。

イーエムシージャパン、マーケティング本部本部長代理の宮治彦氏今回発表された製品を含む、EMCの2004年ネットワークストレージ製品ラインナップ

今回の新製品ラインナップの解説を行なった同社マーケティング本部本部長代理の宮治彦氏は、同社の製品の方向性について、従来のコミットは、サービスレベルの最適化、製品サイクルの短縮、投資の保護、業界標準、を重視してきたが、今回のリリースでは、これをさらに推し進め、

  • “情報ライフサイクル管理”を実現可能にするプラットフォームを提供
  • 製品ライフサイクルを12ヵ月に
  • すべて互換性のあるアップグレードを実現
  • 業界標準の採用と投資の保護

という点にコミットしたと述べた。

デルのエンタープライズシステムズマーケティング本部エンタープライズソリューション本部長、多田和之氏10日に発表された『Dell|EMC CX300/CX500/CX700』

また、この日の発表会には、同社との協業でネットワークストレージ製品を提供するデル(株)のエンタープライズシステムズマーケティング本部エンタープライズソリューション本部長、多田和之氏が登壇し、同日に発表になった“Dell|EMC”シリーズの新製品の概要を紹介した。今回発表された製品は、ネットワーク・ストレージ・システム“Dell|EMC CX”シリーズで、ラインナップは、

『Dell|EMC CX300』
小規模な部門内のデータベースやアプリケーション向け。従来製品の『CX200』に比べ、50%の性能向上と100%のデータ容量増(60ドライブ、13.4TBまで拡張可能)を実現。新たに複数世代バックアップが可能なスナップショット機能を搭載。
『Dell|EMC CX500』
中規模なメールシステムやデータベース向け。従来製品『CX400』に比べて、100%の性能向上とデータ容量増(120ドライブ、28.4TBまで拡張可能)を実現。
『Dell|EMC CX700』
中規模~大規模なグローバルシステムで、データベースやトランザクションアプリケーション向けの製品。33%のパフォーマンス向上と、2倍のデータ容量(240ドライブ、58.4TBまで拡張可能)をサポートする。

の3製品。いずれも、従来製品を含めた全“Dell|EMC”シリーズの統合管理が可能な管理ツール『Navisphere Manager Suite』が標準で提供される。また、オプションとして各種ストレージ管理ソフトを選択することも可能だという。

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