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ソニー、“CLIE”『REG-TH55』と『PEG-TJ37』を発表――新開発のソフトでデジタル手帳機能が進化

2004年02月03日 16時07分更新

文● 編集部 伊藤咲子/加賀誠人

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ソニーマーケティング(株)は3日、携帯情報端末“CLIE(クリエ)”の新製品として、『PEG-TH55』と『PEG-TJ37』を発表した。PEG-TH55は新開発の個人情報管理ソフト(PIM)『CLIE Organizer ver.1.0』(以下、CLIE Organizer)を搭載し、デジタル手帳としての機能を進化させた。ともに14日発売予定で、価格はオープンプライス(編集部による予想小売価格はREG-TH55が4万円弱、PEG-TJ37が3万円弱)。

“手書き”がキーワードのPEG-TH55

CLIEは従来より米パーム社のPalm OSを採用しているが、“Graffiti”と呼ばれる特殊な入力方式を用いるなど、初心者に敷居の高い面もあった。昨年10月発表のCLIE『PEG-TJ25』などでは、ATOK連携の日本語手書き認識ソフト『Decuma Japanese(デクマ 手書き入力)』を採用し、PDAの初心者を意識した製品だった。PEG-TH55は、Palm OSのシンプルだがやや機能不足だったPIM機能を大幅に強化した。

REG-TH55は本体にはアルミフレームを採用し、透明アクリルカバーが付属する。サイズは幅73.3×奥行き15.7×高さ121.5mm(カバー装着時)、重さは約185g(カバー、スタイラス含む)と、PEG-TJ25より一回り大きい。REG-TH55では、ジョグダイヤルとバックボタンが本体背面の上方に配置され、本体を持つ手の人差し指などで操作する。

AV機能が強化され、PEG-TJ25にはなかったカメラ機能、音楽再生機能、ボイスレコーダー機能を追加、さらにワイヤレスLAN機能(IEEE 802.11b)も内蔵している。PEG-TJ25は液晶パネルの下部に手書き入力枠(Graffitiエリア)を備えていたが、REG-TH55はソフトウェアGraffitiを搭載し、ディスプレーがより大きく、高解像度になった。ディスプレーは半透明型TFT液晶パネル(320×480ドット、6万5536色表示、バックライト搭載)を採用。

エグゼブラック エグゼブラックカバー閉じ
PEG-TH55 エグゼブラックアクリルカバーを閉じたところ。この状態でもアプリボタンは操作可能
左側面 背面
スイッチ類は左側面に集中して搭載している。上からシャッターボタン、カメラのレンズカバー開閉ボタン、電源/HOLDスイッチ、ボイスレコーダースイッチ背面にはジョグダイヤル、バックボタン、カメラのレンズを備える

個人情報管理ソフトのCLIE Organizer

最大の特徴は、PIMのCLIE Organizerを搭載している点。手書きメモだけでなく予定表にもフリーハンドで書き込めるようになるなど紙の手帳に近い使用感になり、さらに内蔵カメラで撮影した写真やボイスメモを貼り付けられるなどデジタル手帳ならではの情報管理機能を備えている。CLIE Organizerが管理できるのは8種類の情報で、CLIE Organizerを起動すると、画面右端には手帳のようにタブが並ぶ。管理できる情報とその特徴は以下のとおり。Palm OS標準の予定表/アドレス/To Do/メモ帳とデータの互換性がある。

  1. 予定表:予定表画面には、テキスト入力が行なえるほか、手書きメモ/ビジュアルメモ(静止画)/ボイスメモのサムネイルやアイコンを付箋のように貼り付けられる。画面全体にフリーハンドで書き込める機能を備えており、例えば5日から10日まで横断するように矢印を書きこむなどできる。予定表画面を上下に2分割し、上にスケジュール、下にTo Doを表示させることも可能
  2. アドレス帳:姓名/会社名/役職などのアドレス情報を、写真と一緒に登録できる。メモや手書きメモのデータと関連付けさせることも可能
  3. To Do:To Doの項目は、“大項目”“中項目”“小項目”の階層を付けて管理したり、優先度/カテゴリー/期日/開始日で整理したりできる。手書きメモと関連付けさせることも可能
  4. 手書きメモ:フリーハンドのメモを書き込む。カラーは256色。テキスト入力をしたり、“ステッカー”(プレインストールされている小さなイラスト)をレイアウトすることも可能
  5. メモ帳:テキストデータを入力したり、テキストファイルを表示させることが可能。作成日/更新日/題名での並び替えに対応。メモリースティックに記録されたテキストファイルの取り込みや書き出しに対応
  6. ビューワ:静止画/動画/ボイスメモ/手書きメモを表示する。ジョグダイヤルを使って拡大/縮小をしたり、ページ送りすることが可能
  7. 便利情報:地下鉄の路線図や単位換算表など、紙の手帳でリフィルとして販売されているようなビジネス情報/生活情報などを11種類をプレインストール。同社運営のECウェブサイト“ソニースタイル”の“CLIE Style”コーナーでは、追加のリフィルをダウンロード販売する(1件につき100円程度を予定)
  8. アプリケーション:その他のアプリケーションを起動するランチャーメニュー
1日表示画面 月間表示画面
予定表の1日表示画面。静止画のサムネイルやボイスメモのアイコンが貼り付けられている予定表の月間表示画面。フリーハンドで書き込める

アプリケーション/機能をダイレクトに起動できる4つのアプリボタンを本体下部にコンパクトに配置し、標準の状態で、予定表/手書きメモ/メモ帳/データアシスタントが割り当てられている。データアシスタントは、各種検索のほか、その時に選択している文字列を使って、新規でスケジュールなどを作成したり、ウェブブラウザーを起動したりできる。4つのボタンは、別のアプリケーション/機能を設定することも可能。

OSは日本語版Palm OS 5(Ver.5.2.1)を搭載し、欧文手書き入力は『Graffiti 2』を採用している。また、ATOK連携の日本語手書き認識ソフトDecuma Japanese(デクマ 手書き入力) ver.2.0を標準で搭載し、直接日本語から文字が入力できる。ver.2.0では、手書きによる簡単なシンボルマークによく使う文字列を登録できるショートカット機能や、左端の入力ボックスをグレー表示する機能を新たに備えている。

カメラ、動画/音楽再生機能

カメラ機能は、本体背面に有効解像度31万画素のCMOSセンサー(F2.8、f=3.6、35mmフィルム換算でf=約35mm)を搭載する。CMOSセンサーは静止画の撮影に対応(最大撮影サイズ640×480ドット、2倍デジタルズーム対応)。本体側面のレンズカバーボタンと連動して、ワンタッチで撮影モードに切り替えられる。また付属ソフトの『CLIE Camera ver.2.4』は、蛍光灯などのちらつき補正、画面縦横回転の機能を備える。128MBのメモリースティックを使用した場合の静止画の最大記録枚数は、640×480ドットの場合約1000枚。

本体で動画は撮影できないが、QuickTime形式やMPEG-1(MPEGムービー)形式の動画を、付属ソフトの『Movie Player ver.1.2』で再生できる。パソコンのHDDに記録した各種フォーマットの静止画や動画は、添付するパソコン用ソフトの『Image Converter ver.1.1』を用いてPEG-TH55向けにJPEG(DCF)形式やQuickTime形式に変換すれば閲覧可能。また付属ソフトの『Giga Pocket Plugin ver.3.0』によって、“バイオ”シリーズのTV機能“Giga Pocket”で録画した番組をCLIE用に変換し、PEG-TH55で視聴することもできる。動画連続再生時の電池持続時間はバックライトOFFで約7.5時間、ONで約4時間。

音楽再生ソフト『Audio Player ver.3.2』を内蔵し、ATRAC3やMP3形式の音楽を聴ける。128MBのメモリースティックを使用した場合の最大録音時間は、ATRAC3形式の場合は132kbpsで約120分、MP3形式の場合は256kbpsで約65分。オーディオ連続再生時間は、HOLDスイッチをONにし、ディスプレー表示を停止した状態で約24.5時間、HOLDスイッチOFF/バックライト最大で約7時間。ボイス録音機能はソフト『Voice Recorder ver.1.3』を使用し、録音フォーマットはIMA ADPCM。128MBのメモリースティックを使用した場合の最大録音時間(会議モード)はSP(22kHz)で約190分、LP(8kHz)で約520分。同じく、最大音声連続録音可能時間(口述モード)はHOLDスイッチONで約19.5時間、HOLDスイッチOFF/バックライト最大で約6時間。

外部記録メディアは、メモリースティックに対応する。付属ソフトの『Data Import ver.1.1』は、パソコン向けの付属ソフト『Data Export ver.1.0』と連携して、パソコンのHDDに記録したファイルをCLIEのメモリースティックに書き出したり、読み込むことが可能。また、データ整理・閲覧ソフト『CLIE Files ver.1.1』は、UnZip機能を搭載し、本体メモリーとメモリースティックの間でのデータコピーや移動が可能。

ネットワーク機能

NetFront画面
NetFrontで“Yahoo! JAPAN”を表示

IEEE 802.11b対応のワイヤレスLAN機能を内蔵し、ウェブブラウザー『NetFront v.3.1 for CLIE』を搭載する。ウェブページのフレームやテーブルなどの複雑な表現をPEG-TJ55向けに最適化したり、新開発の“ジャストフィット”機能によって、横長のデザインのページを、PEG-TJ55の縦長の画面でも見やすいようにレイアウトして表示することも可能。電池持続時間は、バックライトの明るさが最大で約5.5時間。

CLIE用のメールソフト『CLIE Mail Ver.2.1』を付属し、内蔵カメラで撮影した静止画や、ボイスメモ、手書きメモ等をメールで送信できる。付属のパソコン用ソフト『CLIE Mail Conduit ver.1.2』と連携すれば、パソコンで受信したメールをPEG-TJ55で閲覧したり、PEG-TJ55で作成したメールをHotSyncでパソコンから送信することも可能。付属の本体用ソフト『Picsel Viewer for CLIE ver.1.0』によって、パソコンで作成したMicrosoft Word/Excel/PowerPoint/PDFなどのデータも、PEG-TJ25で閲覧できる。

パソコンとの同期機能“HotSync”によってCLIEに入力された予定表やアドレス帳などのデータと同期をとり、パソコン上で参照/編集するためのソフトとして、『CLIE Palm Desktop ver.4.1』と『CLIE Organizer for PC ver.1.0』を付属する。CLIE Organizer for PCは、手書きメモを貼り付けた予定表などCLIE Organizer独特のスタイルで編集したデータがそのままパソコンで閲覧/編集できる。CLIE Palm DesktopとのPIMデータの連携も可能。



基本スペック

CPUにARMベースのソニー製Handheld Engine(123MHz)を採用し、メモリーはRAMを32MB(ユーザー使用可能領域32MB)/ROMを32MB搭載する。インターフェースはHotSync用のUSB(付属のプラグアダプターによる接続)、赤外線(IrDA1.2)、メモリースティックスロット(マジックゲート、メモリースティックPRO対応)を備える。CLIE Palm Desktopなどパソコン用ソフトの対応OSは、Windows Me/2000 Professional/XP Home/XP Professional。

電源はリチウムイオンポリマー充電池(内蔵)で、使用可能時間は1日約30分間PIMアプリケーションを利用した場合で約15日間。スタイラス、USBケーブル、ACアダプター、アクリルカバー、CD-ROMなどが付属する。カラーは、“エグゼブラック”と“セレブレッド”の2色。

セレブレッド セレブレッドカバー閉じ
セレブレッドアクリルカバーを閉じたところ

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