DVD再生ソフトの中で最も大きなシェアを誇るサイバーリンクの「PowerDVD」。最新バージョンの「PowerDVD 5」では“映像”と“音”というDVDの基本に立ち返り、ユーザーの手を煩わせることなく設定いらずで再生品質を高める機能が追加されている。
改良の目玉はオリジナル機能の
「CLEV」「CLPV」
画面1 左がCLEVオフ、右がオンの映像。分割モードを利用すると効果のほどが一段とハッキリ理解できる。 |
この6月、前バージョンの登場から8ヵ月という意外にも短いスパンで、サイバーリンクから「PowerDVD 5」がリリースされた。同社が「改めて画と音にこだわった」というこのバージョンでは、画質と音質を改善する新フィーチャーが3つ盛り込まれている。中でも特筆すべきは「CLEV(CyberLink Eagle Vision)」と呼ばれる自動画質最適化回路で、映像ソースの内容から明るさ/コントラスト/彩度を検出し、動的に画質を調整してくれる。機能をオンにすると素人目にも分かるほど原色の再現性が高まり、白飛びや黒つぶれを防ぐ効果もある。特にCRTに比べて明るさが不足しがちな液晶ディスプレイでは、肌色や空、海などの色合いが見た目に近い自然な映像になる(画面1)。
画面2 CLPVのサンプル例。4:3画像(上)を16:9に引き伸ばすと黒フチが生じたり、横長にまのびしてしまったりする(中)。CLPVは中央部の比率を維持したまま周辺部を引き延ばすことでより自然に見える変換(下)を行う。 |
映像に関してもう1点、「CLPV(CyberLink PanoVision)」もユニークな機能だ。多くの4:3比率のモニタでは、16:9スクイーズ収録作品などの全画面鑑賞時に映像の上下に黒いふちができてしまう。CLPVは画面中央部の比率を維持したまま周辺部のみを引き延ばし、モニタの全域を使って映像を表示する(画面2)。シネマスコープ(1:2.40)の作品はソース自体の上下に黒ふちがあるので、CLPVを使っても全域で映像表示というわけにはいかないが、ビスタサイズ(1:1.85)程度であれば比較的違和感なく画面全体に映し出すことができる。もちろん、ワイド液晶で4:3映像を観賞する場合にもCLPVは有効だ。
音声再生に関しても、ステレオソースを6ch(5.1ch)の擬似サラウンドに拡張する「CLMEI(CyberLink Multi-channel Environment Impression technology)」が用意され、ライブの模様を収録した音楽作品などで臨場感を高めるのに重宝する。なお、PowerDVD 5 Deluxe版ではCLMEIの拡張が最大8chとなり、「ドルビープロロジックII」「ドルビーバーチャルスピーカ」「ドルビーヘッドフォン」「dtsソフトウェアデコード」などの音声サポートも追加される。
画面3 CLMEIには、映像ソースに合わせて各チャンネルの出力が変わる3種類のプリセットが用意されている。マニュアル調節も可能だ。 |
操作面で気になったのはマウスホイールによる早送り/巻戻しの挙動で、例えばPowerDVD XPで早送りした場合、逆方向にホイールを1クリック回すだけで通常再生に戻ってくれたのだが、PowerDVD 5の評価版では通常再生を飛ばして巻戻し1倍速になってしまうため、再び正方向にホイールを1クリック回す必要がある。以前からのユーザーは手間に感じるのではないだろうか。
とはいえ、機能面に関して特に不満はなく、TV出力やDivXコーデックへの対応、ライバルの「WinDVD 4」の後を追う形で音声つきのタイムストレッチ再生(正逆1.5/2倍速)がサポートされ、DVD再生ソフトとしてはますます死角が少なくなったと言える。
PowerDVD 5の主なスペック | |
製品名 | PowerDVD 5 |
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対応OS | Windows 98 SE/Me/2000/XP |
動作環境 | PentiumII-350MHz、Athlon以上 CLPV、CLEV使用時は1GHz以上のCPU |