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【最新パーツ性能チェック(Vol.16)】Pentium 4 Extreme Edition登場直前徹底研究

2003年10月25日 20時41分更新

文● 週刊アスキープラス編集部 野口岳郎

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Athlon 64の発表日を10日後に控えた9月13日、Intelが意表を突いて発表したPentium 4の最上位モデル“Pentium 4 Extreme Edition”。動作周波数3.2GHzというのは現行のP4最上位と変わらないが、3次キャッシュメモリ2MBを内蔵している点が特徴だ。発売のデッドリミット、11月13日が迫るなか、この“まさかのPentium 4”について、性能とお買い得度を検証していく。

9月13日のIDF(Intel Developer Forum)において、Louis Burns副社長は突如、ゲーマー向けの新CPUとしてPentium 4 Extreme Editionなる新製品を、30~60日以内に投入する、とアナウンスして会場の度肝を抜いた。

Pentium 4 Extreme Editionの評価サンプル
Pentium 4 Extreme Editionの評価サンプル。刻印はなくマジックで周波数が書かれていた
P4EEの裏面。29というのはサンプル番号か?
P4EEの裏面。29というのはサンプル番号か? シールの裏にもびっしりキャパシタが配置されていた。キャパシタ比率が60%ほどのP4-3.2GHzに比べ、電源まわりを強化していることがうかがえる

Pentium 4 Extreme Edition(以下P4EE)は、クロック周波数3.2GHz、FSB 800MHzと、ここまでは現行Pentium 4の最高峰、3.2GHz版と同じだが、Pentium 4シリーズでは一度も搭載されたことのない“3次キャッシュ”を、贅沢にも2MB、オンチップに搭載しているのが特徴だ。使用頻度の高いプログラムやデータを従来よりずっと多くCPU内に保持できるため、クロックは同じ3.2GHzのままでも、アプリケーションがずっと高速に動作する。

もっとも、インテルは今年第4四半期に、90nmの新プロセスで製造されるPentium 4後継CPU“Prescott”(コードネーム)を出荷すると、前からアナウンスしている。先日海外のサイトに掲載された情報によれば、同クロックのPentium 4-2.8GHzに比べ、Prescott-2.8GHzは2~5%程度高速なようで、これはCPUワングレードアップほどには相当する。この情報を鵜呑みにしないまでも、2次キャッシュ倍増であればそのくらいの性能アップは予想されるところであり、とすれば、予想される3.4GHz品の性能はPentium 4-3.6GHzにも匹敵しよう。

このような強力な新兵器が控えているのに、あえて2次キャッシュ2MB搭載という、コストのかかるプロセッサをあえて今発表する真意はなにか。その性能と価格は。なにはともあれ、本体の素性と性能について見ていくことにしよう。



ステッピングはXeon風のF25

まずはCPUの内部情報から。SandraやAIDA32で、3次キャッシュ2MBが確かに検出されている。これ以外の部分については、Pentium 4を冠する以上、大きく変わろうはずはない。

Sisoftware Sandra MAXによるCPU情報
図1 Sisoftware Sandra MAXによるCPU情報。3次キャッシュ2MB、リビジョン2/ステッピング5の文字が見える

ちょっと注目なのは、CPUID命令で知ることができるCPUの一番細かいバージョン番号である“Stepping”が、現在主に販売されているPentium 4で用いられているF29ではなくF25である点だ。ちなみにFはファミリーナンバーでPentium 4シリーズを、次の2はモデルナンバーでNorthwoodコア(0.13μmプロセスで2次キャッシュ512KB内蔵)を示す。最後のケタがステッピングで、通常この数字は開発順に付けられるから、P4EEはコアとしては前世代のものかとも思いたくなるが、調べてみると、NorthwoodのPentium 4はこれまでステッピングを4→7→9と上げてきており、過去にStepping 5の製品は存在していない。しかも、最新のPentium 4 2製品は、ステッピングが5になっているのだ。

CPUのエラー対応などをまとめた「Specification Update」を見ると、Stepping 5に該当する「M0」は、現行のStepping 9に相当する「D1」より右側=新しい側に配置されている。どうやらこれは最新式のコアの可能性が高そうだ。

実はXeonシリーズでは以前からこのステッピング5(M0)が用いられている。そもそも3次キャッシュ2MBというスペックは、インテルのマルチCPUサーバ向けの高額CPU「Xeon MP-2.8GHz」用に設計されたものだ。P4EEは当然、このコアを使いつつ、クロックを上げ、FSBを800MHz対応にすることでできあがったものと考えるのが自然だ。そう考えると、Xeon用の製造プロセスが用いられているのは当然だし、この、大容量キャッシュさえ納めることができる最新プロセスが、最新のPentium 4から使われるようになったのかもしれない。



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