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メルコ、256Mbit DRAMを128Mbit DRAMとして動作させる独自技術“Virtual Bank Memory”を開発

2003年09月04日 22時54分更新

文● 編集部 佐久間康仁

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(株)メルコは4日、都内で記者説明会を開催し、256Mbit DRAMを128Mbit DRAMとして動作(同社では“偽装”と呼ぶ)させる独自技術“Virtual Bank Memory”を開発、今後製品化を目指すと発表した。製品化の時期や価格は未定。

第一開発グループ 豊後基彦氏ら
記者説明会でVirtual Bank Memoryを解説する第一開発グループ 豊後基彦氏(右)と、マーケティンググループリーダー 畔上 勝氏

SDRAMの128Mbit DRAMと256Mbit DRAMは、容量の違いだけでなく、メモリーにアクセスするためのROWアドレスの本数が異なり(256Mbitは13本、128Mbitは12本)、メモリーモジュールとして設計した場合には制御信号のCS(チップセレクト)/CKE(クロックイネーブル)信号の本数が変わってくる(256MbitはCS信号が2本でCKE信号は1本だが、128Mbitではそれぞれ4本と2本になる)。米インテルのチップセットでも、初期からSDRAMをサポートしていたi440BXやi810では、128bit DRAMでの動作を前提に設計されているため、256Mbit DRAMを使ったメモリーモジュール(DIMM)は動作しない。メルコの設計担当者が確認したところ、SDRAMをサポートするメーカー製PC(6747モデル)のうち、256Mbit DRAM使用のメモリーモジュールが動作する機種は1443モデル(約22%)にとどまるという。

メルコが開発したVirtual Bank Memoryは、今後生産が減少することが予想される128Mbit DRAMに代えて、比較的入手しやすい256Mbit DRAMを128Mbit DRAMとして動作させるための技術で、同社の調べでは256Mbit DRAMが使えなかったi810チップセットやSiS630チップセット使用パソコンを含む3889モデル(約58%)で利用可能になることを確認したという。

掲載当初、256Mbit DRAMの容量が半分(128Mbit)になるという旨の記述がありましたが、正しくは256Mbitすべて利用可能となります。お詫びして訂正いたします。
Virtual Bank Memoryの回路図
Virtual Bank Memoryの回路図

Virtual Bank Memoryは、メモリーモジュールにCSジェネレーターとアドレスジェネレーターを搭載し、入力されたCS信号とアドレス信号を変換することで128Mbit DRAMとして振舞うというもの。256Mbit DRAM搭載モジュールが動作するパソコンに接続した場合、変換モジュールを機能させないように、起動直後のメモリーチェック動作時にチップセットのメモリーアクセスを判別するモードセンサー(モードジェネレーター)も搭載する。メモリー変換の手順が入るため、レーテンシー(遅延)が発生するが、同社の調べでは「レーテンシーは0.3ns以内で、メモリーアクセスのマージンで吸収できる範囲。ベンチマークテストなどを行なっても、通常の128Mbit DRAM搭載製品と変わらない結果が出ている」(パソコン関連事業部 第一開発グループ 豊後基彦氏)とのこと。

Virtual Bank Memoryの試作品 Virtual Bank Memory搭載マシン
Virtual Bank Memoryの実物(試作品)。メモリーチップの間にある“白い箱”が偽装のための特製回路Virtual Bank Memory搭載マシンのデモ

同社では開発の経緯を、「パソコンの新製品ではメインメモリーにDDR SDRAMが採用され、メモリーメーカーの生産もDDR SDRAMに主力を移行しつつある。実際、供給減はすでに始まっているが、市場の(SDRAMの)需要は2007年ごろまで残ると予想される。これに対応するため、技術担当者が手作りで試作して製品化のめどついたのが、今回発表したVirtual Bank Memory技術」(同 マーケティンググループリーダー 畔上 勝氏)と説明。また、記者からノートパソコンには流用できないのか、という質問に対して、「試作してはいるが、旧世代のノートパソコンで広く使われていたi440BX/MXなどのチップセットは、メモリーの2バンクに同時アクセスすることで高速読み出しを行なっている。アドレス変換を行なう仕様上、これには対応できなかった」(豊後氏)と回答している。なお、同社ではこの技術について現在特許を申請中。

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