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富士通日立プラズマディスプレイ、新方式“e-ALIS”を採用した55インチWXGAタイプなどハイビジョンPDP4機種を発表

2003年08月18日 19時40分更新

文● 編集部 佐久間康仁

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富士通日立プラズマディスプレイ(株)(FHP)は18日、神奈川県川崎市のかながわサイエンスパークで記者説明会を開催し、プログレッシブ表示と高輝度(1000cd/m2)を実現する新開発の駆動方式“e-ALIS(イーアリス)方式”を採用した55インチWXGA(1366×768ドット)表示のプラズマディスプレーパネル(PDP)『FPF55C17196UA(型番)』、同社独自の駆動方式“ALIS(アリス)方式”を採用し、高輝度と動画表示品質の向上を図った42/37(1024×1024ドット表示)/32インチ(852×1024ドット表示)のプラズマディスプレーパネル『FPF42C128128UC』『FPF37C128128UB』『FPF32C106128UB』の4製品を開発したと発表した。いずれも大画面TV用のパネルで、ディスプレーメーカー向けに出荷される予定。近日サンプル出荷を開始し、年内に月産5万台の生産体制に入るという。

代表取締役社長の森本洋一氏ら
代表取締役社長の森本洋一氏(右)と、取締役執行役員常務で開発設計担当の広瀬忠継氏

発表会には代表取締役社長の森本洋一氏、取締役執行役員常務で開発設計担当の広瀬忠継氏が出席し、同社のPDP事業への取り組みや開発の背景、新製品の位置づけや特徴などを説明した。

55インチのプラズマディスプレーパネル 42/37/32インチのプラズマディスプレーパネル
55インチWXGA(1366×768ドット)表示のプラズマディスプレーパネル『FPF55C17196UA』手前から42/37/32インチのプラズマディスプレーパネル。パネルの発色などはディスプレーメーカーの“味付け”によって変更される、とのこと

最初に森本氏が「FHPの事業方針は、“モノづくりにこだわり、モノづくりで生きる”である。2001年が“プラズマテレビ元年”となり、昨年から本格普及時代、今年は競争時代に移ってきた。これまでは画面サイズの拡大競走が続いてきたが、今後は高精細/高品位な画像を追求し、感情や情緒を伝える画質が求められるだろう」「生産体制は現在が月産3万枚強だが、今年9月には5万枚、2004年5月には7万枚までラインを増強する計画で進めている。これでオリンピック中継に対応できる。製品系列の充実とコストダウンによって、国内メーカーや台頭する韓国メーカー、および液晶ディスプレー陣営とも戦える」と同社の事業戦略を説明した。

制御回路と高画質化LSI 高画質化LSIのブロック図
今回発表された4製品に共通して搭載している制御回路と高画質化LSI高画質化LSIのブロック図

続いて広瀬氏が新製品の技術的な説明を行なった。“ALIS方式”はAlternate Lighting of Surfaces Methodの略で、隣り合う電極を時分割(1/60秒間隔)で交互に放電(同時に放電すると相互に干渉する)することで、無発光の面積を減らし輝度を向上した駆動方式。1998年に技術発表し、2001年に搭載製品を発売しているが、42/37/32インチタイプが採用する“A1シリーズ(Advcanced ALIS)”は第3世代技術にあたり、

  • 輝度を1100cd/m2(42インチタイプ)または1000cd/m2に向上
  • 白色の色温度を9000Kに高め(従来は7500K)、色再現領域を拡大
  • 10bit入力に対応し、10億7000万色の色表示を実現
  • 静止画処理/動画処理/動き検出の3つの回路を内蔵し、輪郭などに現れるノイズを低減

などが特徴。

e-ALISの構造 e-ALISの駆動方式
e-ALISの構造e-ALISの新駆動方式

一方、55インチタイプが搭載する“e-ALIS方式”は、ALIS方式を拡張してプログレッシブ表示(1度に奇数/偶数フィールドを同時に表示)する方式で、RGBの蛍光体を塗布した背面板をストライプ(縞状)ではなくセル(枡状)に並べて、短い周期で放電させても隣接する発光同士が干渉しないという。e-ALISは従来のALISと比べて

  • 四辺の壁面に蛍光体を塗布する技術を開発したため、発光効率が向上
  • ストライプ型に比べてセル型の背面板の製造プロセスが複雑で、小型/高精細には不向き

などの特性があるという。

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