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“Microsoft Tech・Ed&EDC 2003 YOKOHAMA”にて“Microsoft Tech・Ed 2003”がスタート――米マイクロソフトのGMによる基調講演

2003年08月07日 18時18分更新

文● 編集部 内田泰仁

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マイクロソフト(株)が5日から開催しているソフトウェア開発者、システム管理者向けのテクニカルカンファレンス“Microsoft Tech・Ed&EDC 2003 YOKOHAMA”は、会期の後半となる7日と8日、システム構築の最先端技術を紹介する“Microsoft Tech・Ed 2003”として催されている。

米マイクロソフト社プラットフォームストラテジーグループ・ジェネラルマネージャー、クリフ・リーブズ氏

7日は“Microsoft Tech・Ed 2003”の基調講演が行なわれ、米マイクロソフト社プラットフォームストラテジーグループのジェネラルマネージャー、クリフ・リーブズ(Cliff Reeves)氏が“可能性の扉を開く~開発環境におけるITの新たな展望~”というタイトルの講演を行なった。

『BizTalk Server 2004』の機能概要を説明するスライド

この日の講演では、マイクロソフトがXMLやSOAP、WSDL、UDDIといった技術の業界標準化に協力して取り組み、これら業界標準の技術を製品に採用することにより、ウェブサービスによって人、システム、デバイス、情報の接続を“.NET”により進める取り組みを行なっていることを説明。また、『Visual Studio .NET Version 2003』で開発されたウェブアプリケーションやリッチクライアントでアクセスするウェブサービス、2005年に登場予定の“E-Bussines Server”製品・コードネーム“Jupiter”の中核となる『BizTalk Server 2004』や『SQL Server』による業務システムの統合・連携、『Microsoft Office SharePoint Portal Server』の運用例などを紹介した。

マイクロソフトの統合化されたプラットフォームは、ウェブサービスによって他のシステムとの統合も果たしていくという

また、“EDC 2003”の基調講演でも説明された、マイクロソフトの統合化されたプラットフォームの解説も改めて行なわれたが、ここでは、マイクロソフトのプラットフォームの統合化のみならず、業界標準の技術を取り込んだウェブサービスによって、UNIXやLinuxなどを含む、他のプラットフォームとの統合も可能になるという点も強調された。

“信頼できるコンピューティング(Trustworthy Computing)”の実現に必要な技術・方針・サービスの概要

マイクロソフトがさまざまなカンファレンスやセミナーなどでたびたび紹介している“信頼できるコンピューティング(Trustworthy Computing)”にも触れ、これを実現するために必要な4要素として、

  1. “セキュリティー(Security)”
  2. “個人情報の保護(Privacy)”
  3. “信頼性(Reliability)”
  4. “誠実なビジネス(Business Integrity)”

を挙げている。リーブズ氏は、ITの分野ではこれまであまり重要視されていなかった“誠実なビジネス”についてもマイクロソフトは注力していくと述べている。1~3についてが技術的な進歩/改善に軸足を置く内容であるのに対し、4はサービスやサポート、コンサルティングといった要素が強く、具体的には、顧客へのオープンな対応、製品やサービスの問題への取り組み、顧客への最適なソリューションの提案といった内容を示した。

マイクロソフトは“EDC 2003”およびこの日の基調講演の中で、“サービス志向のアーキテクチャー(service-oriented architecture、SOA)”への移行という方向性を示している。この考え方のもと、従来型の機能重視志向からプロセス重視志向へ、長期間をかけた開発から変化に対して迅速に対応できる短期間での開発へ、特化した製品から柔軟性を持った製品へと向かうことにより、実際にソフトウェアやシステムを使う人間の立場に立った開発の手法や製品の性質へと今後は向かっていくべきであるとしている。また、“誠実なビジネス(Business Integrity)”に注力するという取り組みも“サービス志向のアーキテクチャー”の一側面だ。

NECの社内基幹業務システム“GAUSS”主要部の構成図

具体的な運用の事例としては、『Visual Studio .NET Version 2003』を早期導入して開発を行ない、実際に1年以上安定動作しているという、NECの社内基幹業務システム“GAUSS”が紹介された。このシステムは現在、100名以上の業務SE、300名以上のデベロッパーが約10チームの分散拠点開発を行なっており、各チームが開発したウェブアプリケーションは、府中にあるNECのデータセンターに集約され、ホスティング運用されているという。基幹業務システムの開発においては、高開発生産性のほかに、

  • システムの統廃合に耐えられる特性を持ったデータベース設計
  • 適材適所の開発手法の提供
  • さまざまなシステムとの柔軟な連携

が必要であり、特に2と3においては、『Visual Studio .NET Version 2003』によってウェブアプリケーションとリッチクライアントを使ってアクセスするウェブサービスを機能や用途に応じて柔軟に使い分け、ウェブサービスの高い接続性によってマイクロソフトプラットフォームに縛られないシステム同士の連携を実現したとしている。

“GAUSS”では、ウェブアプリケーションと『Microsoft Acess』によるウェブサービス接続という2つの手法を適材適所で使い分けているという他の業務システム、海外の開発拠点とのオンライン連携を図るためにウェブサービスが活用された

『Visual Studio .NET Version 2003』で開発したウェブアプリケーションは、ウェブブラウザーをインターフェースとしながらもかなり高度なユーザーインターフェースを実装することが可能だが、端末数が少なく管理コストが低い場合や、よりリッチなユーザーインターフェースが必要とされる場合、アドホックな開発が求められる場合には、リッチクライアントのほうが有利になるケースもあるとしている。“GAUSS”では、一部のフロントエンドに『Microsoft Access』を利用し、リッチクライアントをインターフェースにウェブサービスを利用するという手法も取ったという。

今後のWindowsプラットフォーム製品のロードマップ。内容は“EDC 2003”で紹介されたものと同様

講演の最後には、“EDC 2003”の基調講演と同様に今後のWindowsプラットフォーム製品のロードマップの紹介が行なわれた。リーブズ氏は、特に次期Windows・コードネーム“Longhorn”について、「“Longhorn”は劇的な進化になる」とし、その進化の方向性がテクノロジーのためのテクノロジーの進化ではなく、生産性を向上させることに真にコミットしたテクノロジーの進化だと述べた。

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