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マイクロソフト、“Xbox カンファレンス 2003 Summer”を開催――2003年後半以降の戦略、注目タイトルを紹介

2003年07月25日 16時50分更新

文● 編集部 内田泰仁

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マイクロソフト(株)は24日、ゲーム専用機『Xbox』をテーマとしたプライベートカンファレンス“Xbox カンファレンス 2003 Summer”を開催した。“Xbox Live”の新機能、“Xbox Live Now”については、こちらの記事でお伝えしたが、ここでは、カンファレンスで説明された『Xbox』の日本市場での状況と2003年後半の事業計画、この日紹介された新作ゲームについてお伝えする。

米マイクロソフト社・ホームエンターテイメントディビジョンのコーポレートバイスプレジデント、ピーター・ムーア(Peter Moore)氏

カンファレンスでは、米マイクロソフト社・ホームエンターテイメントディビジョンのコーポレートバイスプレジデントであるピーター・ムーア(Peter Moore)氏がプレゼンテーションを行ない、まずは世界および日本市場における『Xbox』の販売状況について説明した。これによると、ワールドワイドでの2003年6月末までの『Xbox』出荷台数は940万台。内訳は、北米市場が620万台、欧州が220万台、日本を含むアジア・パシフィックが100万台で、日本での出荷台数は約45万台強だという。また、2004年6月末までの出荷台数目標はワールドワイドで1450万~1600万台を目指すとしている。また、オンラインサービス“Xbox Live”のユーザーは現在全世界で50万人以上。来年6月までには100以上の“Xbox Live”対応タイトルがリリースされる予定だという。

ソフトウェアは現在までに2500タイトルがリリースされており、2003年末までにはさらに150タイトル以上がリリースされる予定だという。日本市場における現状は、「(北米・欧州に比べると)なかなか難しいという面もある」と苦戦を認めつつも、“Xbox Live”を中心とした製品展開で巻き返しを目指していくという。日本でのゲームタイトルについては、マイクロソフトのソフトウェアブランド“マイクロソフトゲームスタジオ”から16タイトルがリリースされ、『Xbox』対応ソフトは合計81タイトルとなっているという。

ムーア氏が強調したのは、ソフトウェアアタッチレート(ハード1台あたりの所有ソフトウェア本数)で、ワールドワイドでは約5、北米では約5.4となっているという。ムーア氏によると、「デビュー1年のハードとしては異例の高さ」とのことで、マイクロソフトとしては今後もソフトウェアアタッチレートを高める努力を続けたいとしている。

“Xbox Live”によるコミュニティー形成を重要視

2003年の日本市場における戦略としては、既存ユーザー向けの施策、新規ユーザー獲得のための施策、そしてパートナー企業向けの施策、という3つの柱を立てるとしている。

既存ユーザー向けの施策としては、

  1. 顧客満足度の向上
  2. 『Xbox』の熱狂的支持者の育成
  3. 社交的なコミュニティーの形成

という施策を中心に据えている。

日本未発売の海外タイトルの販売に関するアンケート結果
まず、(1)に関しては、ゲームタイトルのラインナップ充実を最重視している。マイクロソフトが“Xbox Live”を通じて行なったアンケートの結果によると、ユーザーの75%が日本未発売の『Moto GP』や『Ghost Recon』のような海外の人気タイトルをプレイしたいと考えているという結果が得られたといい、これを踏まえて、国内販売を待望する声の高いセカンドパーティタイトルの日本市場投入や、ローカライズを簡略してすばやく日本市場向けに海外タイトルを発売する“Xboxワールドコレクションシリーズ”、海外人気ランキング上位タイトルを日本国内に手ごろな価格で供給する“Xboxプラチナコレクションシリーズ”の創設を計画しているという。また、マイクロソフトのゲームタイトルブランド“マイクロソフトゲームスタジオ”や日本メーカータイトルの充実も同時に進められる。

(2)と(3)は密接な関係を持った施策で、『Xbox』の魅力を伝える“エバンジェリスト”的立場となるようなコアユーザーの育成することにより、新規ユーザーに『Xbox』を浸透させることも目的とするという。さらに、これらのユーザーの育成と交流に向けては、コミュニティーの形成が不可欠としており、マイクロソフト主催の“Xbox Live”ユーザー向けのオフラインイベントや、オンラインや店頭開催の対戦ゲームイベント“Xbox Championship”、マイクロソフトとユーザーの双方向のコミュニケーション(ユーザーの声を製品に反映する目的を含む)の設立を計画しているという。

新規ユーザー獲得のための施策としては、

  • “Xbox Live”により注力し、対応タイトルやサービスの充実を図る
  • 商戦期に合わせたキャンペーンの実施(キャッシュバックキャンペーンなど)
  • バンドルモデルの創設
  • 優良タイトル“AAAタイトル”の紹介

といった取り組みを行なうとしている。ここでも一番に登場するのが“Xbox Live”で、マイクロソフトが“Xbox Live”をコアとして、“ゲーム機+インターネット”による展開を最重要視していることがよくわかる。

“Xbox Live”の新機能“Xbox Live Now”の操作コンソール(“ダッシュボード”)従来の“Xbox Live”を利用したオンライン対戦の始め方と“Xbox Live Now”を使った場合の始め方の手順の違いを説明するスライド

“Xbox Live”の新価格、新機能についてはこちらの記事でも紹介しているが、これらの最終的な目標としてポイントとなってくるのは既存ユーザー向けの施策の項でも述べられた“コミュニティーの形成”だ。前述したように、既存ユーザーの中に“エバンジェリスト的立場”のユーザーを育成していきたいとしているマイクロソフトは、このエバンジェリスト的ユーザーなどをコアにして、“Xbox Live”のコミュニティーを形成し、そのコミュニティーを広げていくことで『Xbox』のユーザー拡大を進めようと考えている。また、新たに追加される“Xbox Live Now”もこのようなコミュニティー形成に役立つ機能で、従来の遊ぶゲームにアクセスしているユーザーから遊びたい人を探すという使い方に加えて、まずはロビーにいる友達と相談などをしてからゲームを始めるという使い方もできるようにすることで、より“Xbox Live”利用者のコミュニティーを作りやすくしようという狙いが見える。

海外ソフトの国内販売拡大を望む声が多いというアンケートを先に紹介したように、マイクロソフトは“Xbox Live”によるユーザーの声の吸い上げも積極的に進めていくとしている。ピーター・ムーア氏は、ユーザーのフィードバックを以降の製品に活かすのはマイクロソフトがWindowsなどでも行なっている方法だと述べており、今回の“Xbox Live Now”の追加は、このようなユーザーからの反響を反映したものだという。

“エコシステム”の概念図

パートナー向けの施策としては、デベロッパー、パブリッシャー、流通チャネル、ブロードバンドパートナーの4者を一連の環とした“エコシステム”の改善を目標とし、開発や販売の支援、日本国内メーカーの海外展開の援助(マイクロソフト自身がパブリッシャーをつとめることも提案している)、日本国内ISPとの提携などを計画しているという。

プレゼンテーションの最後、ピーター・ムーア氏は現在の日本での事業について「決して成功しているとはいえない」としつつも、「過ちから学び、ユーザーの声から学ぶことで、マイクロソフトは現在の立場を築いてきた」と述べ、これらのことを現世代の『Xbox』の事業展開、そして次世代のXboxでの展開につなげていきたいとしている。質疑応答の中で次世代Xboxの投入時期について問われたピーター・ムーア氏は、「時期に関しては今はまだ何も言えないが、次の世代の製品では競合他社に絶対に負けない、ナンバーワンを獲る」と強く述べた。

プレゼンテーション終了後の質疑応答に参加した3名。右から米マイクロソフト社・エンターテイメントディビジョンの日本担当ジェネラルマネージャーであるパーミンダー・シン(Parminda Singh)氏、ピーター・ムーア氏、マイクロソフト(株)執行役員の泉水敬氏

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