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日本コムシス、中期経営計画を発表――中小企業などを対象にIT部門の売り上げを伸ばす!

2003年07月15日 19時56分更新

文● 編集部 栗山博行

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日本コムシス(株)は15日、都内で報道関係者を集め、同社の経営方針に関する記者発表会を開催した。同社のこれまでの主な事業内容は、NTTグループ向けのインフラ構築工事であり、光ケーブルなどを敷設する通信線路工事、携帯電話の基地局を設置する移動通信工事などを行なっている。発表された3ヵ年の中期経営計画によると、同社は今後IP事業に注力し、“VoIP(Voice over IP)”を核としたIPネットワーク市場に本格参入するとした。IP事業を含むIT事業全体の売上目標は、今年度末が440億円。2006年度には目標総売上高2050億円の40%、820億円を目指すという。

島田博文氏
日本コムシス代表取締役社長の島田博文氏(中央)と同社常務取締役経営企画本部長の野田馨氏(左)、同社常務執行役員IT推進本部長の側見稔氏

日本コムシス代表取締役社長の島田博文氏は、同社の業務を、NTTグループ向けのものと、それ以外の企業向けのものに大きくニ分できるとし、このうちNTT向けの案件について「NTTの仕事が飽和状態で、右肩下がりに減ってきている。また、計画的にネットワークを構築していた従来までと違い、今では需要動向を見ながら工事が発注されるようになっている」とした。同社では、NTT向けの売上の減少が続くと予想しており、今後の事業の方向性として、回線ネットワーク系事業をコア事業としつつ、IT系事業の拡大を図るとした。

事業の方向性
日本コムシスの事業の方向性

中期経営計画では、この売上高の減少に対応するため、一般企業向けのIPネットワーク構築に注力することを表明し、受託型から提案型へ事業形態を変更するとした。島田氏によると、「SIerとしては後発になるので、大手のSIerを相手に大企業のシステム構築に食い込むというよりも、中小企業の皆さんの経営改革のお手伝いをしたい。当社と同業種の建設業には中小企業が多く、業務内容や悩みを知っている。こうしたところを意識していく」とした。同社は、約450名のソフトウェア開発技術者を保有しており、2003年3月期のソフトウェアの売上実績は110億円。ソフトウェアとネットワーク両方のエンジニアを活用できるのが強みだという。

重点サービス
IP電話など、重点的に進めるサービス

また、一般企業向けの施策としては「当社は施工が得意で、NTT向けならば施工だけしていればよかったが、一般の企業から施工の仕事が出てくることはますます少なくなる。ハードよりの工事だけという案件は期待できないので、ソリューションを提案する中で、工事をしていく必要がある」と述べ、4月に行なわれた同社の組織改革において、一般企業向けの営業を担当するIT推進本部を立ち上げたという。

中期計画では、2006年3月期までの数値目標も挙げられ、

  • 市場成長を上回る成長率:3年間で売上高を10%増加させる
  • 総売上に対するIT部門の売上増:2004年3月期の総売上に対する売上構成目標20%を、2006年3月期に40%にする
  • コストの削減:現場業務のIT化などにより、3年間でコストを10%減少させる

の3つの目標が示された。2006年3月期の経営目標は、NTT向けの売上高1020億円(220億円。括弧内はIT部門の売上高)、その他の事業の売上高1030億円(600億円)、総売上高2050億円(820億円)。経常利益95億円。経常利益率4.6%。ROE(Return of Equity:株主資本利益率)4.5%。

ネットワークマネジメントセンター
ネットワークマネジメントセンター

売上増加のための施策には、一般企業向けのIPネットワーク構築事業に加え、e-Japan構想向けの売上(2006年3月期の目標は100億円)、全国にある11支店・45営業所・200の協力企業を使い、4月に稼動したネットワークのリモート管理・保守・運用施設“ネットワークマネジメントセンター”による保守事業、NTT工事を通じ家庭を訪問する時にIP電話などを紹介する端末ビジネス事業などが紹介された。

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