2.4GHz帯の無線で周辺機器を接続する統一規格“Bluetooth”の普及促進活動を行なう“Bluetooth SIG”は9日、都内でプレスセミナーを開催し、現在参加企業が試作機による実証試験中で、本年9月に公開が予定されている最新規格“Bluetooth v.1.2”の概要が紹介された。
マーケティングディレクターのアンダース・エドランド氏 |
セミナー会場で壇上に立った、マーケティングディレクターのアンダース・エドランド(Anders Edlund)氏は最初に、「規格の立ち上げから5年間で1億個(Bluetooth SIGの認定製品)が登場するに至った。欧州では特に携帯電話にBluetooth機能を搭載した製品が増えている」と述べ、世界的には順調に普及が進んでいることをアピールした。また、「音声通信のほかに、最近はゲームデバイスに搭載し、1対1の通信対戦を行なったり、GPS(Global Positioning System)や携帯電話/PHSの位置情報検索サービスを利用してカーナビゲーションシステムとデータ通信する製品も出てきている」と、Bluetoothの用途の広がりを示した。
会場に出展された東芝のDynaBook G8とBluetooth対応ヘッドセット、およびマイクロソフトのBluetooth対応キーボード&マウス | 同じくソニーのバイオノートZとクリエ、サイバーショット | 欧州で販売されている携帯電話、ヘッドセット、ペンなど |
Bluetooth v.1.2の概要については簡単な説明にとどまり、
- 同じ2.4GHz帯の無線を利用するほかのデバイス(IEEE 802.11b/g規格の無線LANなど)との干渉を避けるために、周波数帯の重複を回避する“AFH(Adaptive Frequency Hopping)
- エラー検出&再送信を行なうことで音声やデータ通信の品質向上を図る“eSCO(音声伝送向けの同期式物理リンク)”
- Bluetooth対応機器の接続時に認証手続きを高速化
などの特徴を挙げながら、既存のBluetooth製品(v.1.1)との互換性の高さを強調した。なお、v.1.2はv.1.1公開後に開発者やユーザーから寄せられた要望を取り入れたもので、機能的に大幅な変更(転送速度の向上など)は行なっていない。
また、欧州メーカーを中心に搭載が進んでいる携帯電話について、“インプリメンテーション(実装)・ガイド”の作成/公開の準備を進めていることを明らかにした。これにより、新規参入する開発者にもデバイスの実装が容易に行なえるほか、異なるメーカーの携帯電話端末同士でも互換性が取れるようになるという。
Q&Aセッションで、日本の記者から「Bluetooth搭載携帯電話は、日本ではまだ普及していないが、欧州ではヘッドセットによるハンズフリーの音声通話以外に、どのように使われているのか?」と質問されると、「Bluetooth搭載のPDAでメールの送受信やウェブブラウズに使ったり、パソコンのスケジュール情報と同期するのに使われている」と答えた。