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シャープとTI、100万画素カメラ搭載GSM/GPRS携帯電話向けデバイスの分野で協業を発表

2003年07月07日 19時13分更新

文● 編集部 伊藤咲子

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シャープ(株)と米テキサス・インスツルメンツ(TI)社は7日、デジタルカメラ搭載GSM/GPRS携帯電話向けデバイスの分野で協業をすると発表した。GSMとGPRS(General Packet Radio Service)は、主にヨーロッパで採用されている携帯電話の標準規格で、中国などアジア地域でも普及している。2社は、100万画素(1メガピクセル)デジタルカメラ搭載携帯電話の開発に必要なキーデバイスを組み合わせた“リファレンスデザイン”を、世界各国の携帯電話製造メーカーに向けて販売する。同リファレンスデザインを採用することにより、携帯電話向けデジタルカメラ等の技術を持たないメーカーでも、カメラ・動画メール機能付きGSM/GPRS携帯電話を、短期間で製品化できるという。

シャープ取締役の佐野良樹氏、日本テキサス・インスツルメンツ(株)執行役員の岡野明一氏
左から、シャープ取締役、IC事業本部本部長の佐野良樹氏、日本テキサス・インスツルメンツ(株)執行役員、DCESカンパニープレジデントの岡野明一氏。2氏が手にしているのは、TIが開発し、すでに中国や台湾の携帯電話メーカーに販売されているリファレンスデザイン(カメラや液晶モジュールは搭載されていない)
リファレンスデザインに組み込まれる2社の技術
リファレンスデザインに組み込まれる2社の技術

リファレンスデザインに組み込まれるのは、シャープの1メガピクセル対応のCCDカメラモジュール/フラッシュメモリー/液晶モジュールと、米TIのGSM/GPRS対応チップセット、日本テキサス・インスツルメンツ(株)のプロセッサー『OMAP-DM270』(※1)。また、動画圧縮形式のNancyやMPEG-4を用いた動画機能をサポートするとともに、関連するソフトウェアの提供や技術サポートを行なう。

※1 『OMAP-DM270』は、低消費電力DSP『TMS320C54x』と『ARM7TDMI』RISCプロセッサー、ビデオとイメージングのコプロセッサーをワンチップに集積したもの。“OMAP”シリーズの『OMAP1510』は、(株)エヌ・ティ・ティ・ドコモの『FOMA N2051』 『FOMA F2051』 『FOMA P2102V』 にも採用されている



デジタルカメラ搭載携帯電話の世界市場動向
シャープIC事業本部によるデジタルカメラ搭載携帯電話の世界市場動向

シャープIC事業本部本部長の佐野良樹氏によると、デジタルカメラ搭載携帯電話の世界市場は、2002年で携帯電話の世界需要である約4億3000万台のわずか6%(2580万台)に過ぎない。しかもデジタルカメラを搭載しているのは、PDC方式の携帯電話が中心で、世界需要の約7割を占めるGSM/GPRSでは0%だという。これが、2003年になると、世界需要の約4億5000万台のうち約20%(9000万台)がデジタルカメラを搭載し、GSM/GPRSもその9%がカメラ搭載型になるという。さらに2005年には、世界中の携帯電話の半分以上がデジタルカメラ搭載型になると佐野氏は予測している。

同リファレンスデザインの受注は2003年末の開始予定で、販売は2社とも行なう。販売目標について、シャープは2004年度(2004年4月~2005年3月)にワールドワイドで5~10社、TIグループは本日の発表より1年間に同5~10社としている。

主な販売対象は、カメラモジュールなどの技術を持たない、どちらかというと携帯電話市場で下位に位置するメーカーという。しかし、フィンランドのノキア社、米モトローラ社、独シーメンス社など、「上位メーカーに採用される可能性も、決してないわけではない。なぜなら、私は中途採用も担当しているが、日本のデジタルカメラエンジニアが今一番引っ張りだこで、私の認識では、上位メーカーもデジカメ搭載携帯電話の十分なノウハウはお持ちでない」と日本テキサス・インスツルメンツの執行役員、DCESカンパニープレジデントの岡野明一氏は期待を寄せている。

今回発表したリファレンスデザインは、2社の協業における最初のプロジェクトだという。岡野氏は、将来的な展開について「来年は1メガピクセルが主流だと考えているが、携帯電話メーカーの要求は、100万画素、200万画素、300万画素、400万画素と留まるところを知らない。世界中の携帯電話のメーカーのなかには、400万画素のプロジェクトに着手しているところもある。(中略)また、国内向けという意味では、NTTドコモのFOMAや、J-フォンもW-CDMA/GSMデュアルモード対応携帯電話など、より協業を拡大させていきたい」と語った。



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