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近未来のソニー製品を想像させる!? “ソニーCSL オープンハウス2003”開催

2003年06月16日 22時51分更新

文● 編集部 佐久間康仁

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ソニーコンピュータサイエンス研究所
2年に1度開催される、ソニーコンピュータサイエンス研究所の“オープンハウス2003”

ソニー(株)の関連会社で、コンピューターサイエンスに関する研究を行なう(株)ソニーコンピュータサイエンス研究所(ソニーCSL)は、13日と14日の2日間、プレス関係者や一般来場者向けに研究成果を公開する“オープンハウス2003”を開催した。入場は無料。これは2年に1度、同社が開催しているもので、原則として撮影は禁止されているが、デモンストレーションを交えて、体験しながら研究内容を理解できる催しになっている。

オープンハウス2003は、東京・港区のソニーCSL本社の2階と3階フロアの一部を使って、パネルやデモ機を使った展示で行なわれた。主に3階(同社では“パリ”と呼ぶ)が基礎研究技術のパネル展示が主体だが、3DCGで描かれたロボットが、状況の変化から自動的に言語を発する“ロボットによる言語獲得”、10台のビデオカメラを配置した車で360度パノラマ映像を記録し、プレイステーション2で専用プレーヤーソフトを動作させ、コントローラーで操作した(もしくは操作者がヘッドマウントディスプレーをかぶり、顔の向きを変える)方向の映像をスムーズに表示する“360度リアルタイム・パノラマビュー”など、すぐにでもゲームに応用できそうな実践的な技術も披露された。



“DataDesk” DataDeskの仕組み
赤い投影スクリーンで、机に置いたオブジェのスキャンデータや、パソコン上の画像データを“デスクトップ”に映し出し、加工する“DataDesk”DataDeskの仕組み。このアームの先に、投影機とデジタルカメラが仕込まれている

2階の“インタラクションラボラトリー”では、より具体化させた研究成果を、ユーザーが自分で触ったり試したりできる状態で展示された。アームスタンドの先に、蛍光灯に代えて赤色LEDの投影スクリーン(800×600ドット相当)と、500万画素クラスのデジタルカメラ(イメージスキャナー機能を実現)が設置された“DataDesk(データデスク)”は、既存の書籍や手書きのメモなどをベースに創造・加工する場合、いちいちイメージスキャナーで取り込むことなく、机の上に置いたまま撮り込み/投影したり、マウスでメモを書き込む/紙に直接ペンで書き込んだものを取り込むなど、直感的に操作できて創造を途切れさせないインターフェースを実現するもの。机とパソコンの画面を1つのキャンパスとして活用できる面白い取り組みだ。

“Gummi”
“Gummi”は実機を触ってみないと分かりにくい。ぎゅっと反らせるとズームイン、ぐいっとへこませるとズームアウトするのだが、その変化していく過程と指先の感覚が実に面白い

サンプル地図データを中央の液晶ディスプレーに表示し、左右のパネルに力を加えて湾曲させる(ちょっと怖い)と、画面がズームイン/ズームアウトする新しいユーザーインターフェース“Gummi(グミ)”は、将来的にはカードサイズの透明なフィルム状のディスプレーを想定し、アイコンやメニュー操作ではなく、本を読むときに顔に近づける/遠ざけるような操作で画面が拡大縮小するという自然なインターフェースを実現しようとしている。

会場に詰め掛けた来場者は、同社の予想以上に多かったためか、開演(午後3時)後1時間ほどで、入場制限が行なわれるほど盛況だった。また、ソニー社員のほか、IT/PC関連企業の技術者の名札(名刺)もあちこちで見られ、熱心に質問していた。

“SmartSkin” 格子状の導線 1cm間隔のミニパネル
会場を訪れていた外国人の子供が一番楽しそうに熱中していた、新型インターフェース“SmartSkin”。実は青い光ではなく、マットの下に格子状に組まれた導線で手の位置を検知している原理を分かりやすく示すために、格子状の光を当てたところ。10cm間隔で縦横に導線が張り巡らされ、交点には不導体が挟み込まれている。手を近づけると電位が変化して通電するが、手のないところは不導体のまま通電しない、という仕組みなのだが、実際は(現在の試作レベルでは)携帯電話やパソコンなどのノイズを拾ってしまう、とのことさらに小さく1cm間隔でセンサーを配置したパネルも展示され、手を置くとその形に水面が波立つ、というデモが行なわれた

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