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APC、モジュール式ラック収納型電源・空調ソリューション『InfrastruXure』を発表

2003年06月04日 23時37分更新

文● 編集部 小板謙次

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“ゾーンプロテクション”の概念図
『InfrastruXure(インフラストラクチャ)』“ゾーンプロテクション”の概念図。ラック列ごとに管理する。

(株)エーピーシー・ジャパンは、電算室・データセンター向けのモジュール式ラック収納型電源・空調ソリューション『InfrastruXure(インフラストラクチャ)』を発表した。同製品はUPS、空調機器、サーバーラックの3つから構成され、すべてホットスワップ可能なモジュールとなり、19インチラックに収められている。エンタープライズ営業部部長の高村徳明氏は「モジュール化によって追加やメンテナンスが容易であるため、いままでは電気や設備のスペシャリストしか触ることができなかった専門分野を、ITシステムの管理者がサーバーなどと同じように管理運用することが可能となる」と話している。また、従来の電算室では、サーバー1台またはラック1本につき1台のUPSを設置するケースもあったが、これをラック列ごとに設置することで一括管理できる“ゾーンプロテクション”が可能となっているのが特徴だ。これにより、バッテリー交換やメンテナンスの手間が省けるだけでなく、初期投資と運用コストが低減できるとしている。『InfrastruXure』はデータセンターや電算室の規模によって、TypeA、B、Cの3種類が用意されており、TypeAはラック1~10台、TypeBはラック10台~100台、TypeCはラック100台以上のセンター向けとしている。各Typeの概要は、



TypeA、B、C
データセンターや電算室の規模によって、TypeA、B、Cの3種類が用意される
  • TypeA…UPSがラック1台から4台分の負荷を保護/6kVA(N+1冗長)のシステム容量
  • TypeB…UPSがゾーン(ラック列、またはラックに搭載されていないスタンドアローン機器群)単位で保護/40kVA/kw(N+1冗長)のシステム容量/従来の集中設置式UPS・バッテリ設備をTypeBで置き換えることで負荷機器設置スペースを拡大
  • TypeC…大容量集中設置方式UPSシステムが負荷機器を保護/ゾーン単位での拡張が可能/高度な管理性を実現
『InfrastruXure(インフラストラクチャ)』 UPS
『InfrastruXure』(TypeB構成例)。ラック、ラック型分電盤、UPS、バッテリーUPSは大きく、インテリジェントモジュール、パワーモジュール、バッテリーユニット、スタティックバイパスからなる
バッテリーユニット スタティック・バイパス
バッテリーユニットもホットスワップに対応している。その上に見えるのがモニタリングのためのLCDUPSの一番下にあるスタティック・バイパス。UPSに負荷が生じた場合に自動的に切り替え
インテリジェントモジュール インフラストラクチャマネージャー
UPSのインテリジェントモジュール。UPSのモジュールを並列運転するための制御を行っている。メインインテリジェントモジュールとリダンダントインテリジェントモジュールがあり、通常はメインインテリジェントモジュールで動いている。メインにトラブルが発生した場合には自動的に切り替わるという2重化の構造となっているラック型分電盤の一番上に配置されたインフラストラクチャマネージャー。TypeBはインフラストラクチャマネージャーという1Uのサーバーと24ポートのHUBから構成。システム全体の管理をTCP/IPベースにより、遠隔管理することが可能

なお、同社では『InfrastruXure』の日本での市場を年間300億円と見込んでおり、初年度役150セットの出荷を目標としている。さらに、このマーケットを獲得するために専用の代理店制度をスタートする。販売プログラムは販売量の違いによって“Certified Reliability Provider Program”(サーティファイド・リライアビリティ・プロバイダー プログラム)と“Authorized Reliability Provider Program”(オーソライズド・リライアビリティ・プロバイダー プログラム)の2パターン。APCのトレーニングを受け、認定されたパートナーとなれば製品を取り扱うことができる。 発表会場にはCertified Reliability Provider Programの第1号となった(株)エヌ・ティ・ティ ファシリティーズの取締役副社長・武井務氏が登場し、「私どもが得意とするところはITセンターの環境構築で、2年くらい前にデータセンターが全国に構築されたはじめた時は日本の1/3、50数カ所を手がけていた。APCさんはどちらかというと競合社だったが、外資としてのAPCが不得意な日本化(カスタマイズ)やアフターケアといった、むしろ私どもが得意とする部分で補わせていただくことで、新しいステージのサービスをできると思う」と挨拶した。

『InfrastruXure』はすでに米国内では昨年の3月から発売しているもので、日本でも今年の1月から一部の顧客に販売を開始している。マイクロソフトの新宿のテクノロジーセンターにTypeA、同じく調布のエンタープライズソリューションラボにTypeBを納品済みで、現在稼動しているという。

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