日本電気(株)は4日、無線LAN基地局を屋外に設置して広域ブロードバンドアクセス網を経済的に構築するための自動設計システム『RADIOSCAPE-WAN』を開発したと発表した。これは同社の屋内無線LANシステム向けシミュレーター『RADIOSCAPE(ラジオスケープ)』の機能を強化し、屋外の無線LANシステム設計に対応させたもの。
『RADIOSCAPE-WAN』システム概要 |
『RADIOSCAPE-WAN』では、屋外のエリア設計に影響を及ぼす回折を対象に加えたほか、基地局から発信される電波同士の干渉による通信容量の劣化を最小限に抑えながら、最小の基地局数で最大の通信エリアを確保する無線LAN基地局の配置、送信電力、周波数チャネルを決定するアルゴリズムを開発したのが特徴。並列処理による高速化も図られており、基地局数が1000台規模の広域システムの最適設計が可能という。設計システムは、無線環境解析サーバーとクライアントで構成され、サーバーが地図データの管理と基地局の配置設計を行ない、クライアントからは設計対象エリアの設定を行なう。結果はクライアントに表示される。
自動基地局配置設計例 |
同社では、『RADIOSCAPE-WAN』を利用することで、東京都23区(620km2)を90%カバーするのに必要な基地局を、単純な規則配置で必要な1万3700台から9300台程度まで削減できるとしており、設計期間も大幅に短縮できるとしている。今後、早期のサービス開始を目指して研究開発を進める。