日立ホーム&ライフソリューション(株)と(株)日立製作所は29日、都内で記者説明会を開催し、自律移動型の家庭用掃除ロボットの試作機を開発したと発表した。2~3年後の商品化を目指して開発を進めており、価格は「現時点で想定されるもの」と前置きしながら、15万円程度(本体のみ、充電器とのセットで20万円程度)になるという。
日立が開発した、自律移動型の家庭用掃除ロボットの試作機。1~2人向けの炊飯器のような大きさ | カバーを赤青緑で塗り分けたカラーバリエーションも展示された |
発表会には、日立ホーム&ライフソリューション(株)の取締役 技術開発部門長の石井吉太郎(いしいよしたろう)氏、(株)日立製作所の機械研究所 知能メカトロニクス研究センタ長の松野順一(まつのじゅんいち)氏、同 第四部主任研究員の寺本 律(てらもとたかし)氏が列席し、開発の背景や特徴的な機能を紹介した。
発表会に列席した、日立ホーム&ライフソリューションの取締役 技術開発部門長の石井吉太郎氏(右)、日立製作所の機械研究所 知能メカトロニクス研究センタ長の松野順一氏(中央)、第四部主任研究員の寺本 律氏(左) |
石井氏によると、日立では1985年ごろから掃除ロボットの開発をスタートしており、ドイツでの家電製品展示会“ドモテクニカ”に最初の試作機を出展した際には、重さ50kg、大きさは80×50cm程度と大きなものだった。今回発表した、2005~2006年の商品化を目指すという試作機では、直径25cmの円盤型(高さ13cm)で、重さは4kgと小型軽量化が進んだ。連続運転時間は約50分、充電時間は約2時間で、掃除にかかる時間は6畳間に約10分程度。既存の掃除ロボットに比べると、部屋の形や障害物の位置をセンサーで検出して見取り図(地図)を自動作成し、掃除済み領域/未掃除領域をマッピングしながら掃除を進める“自動地図生成自律走行”システム、辺縁部や角のゴミを残さず吸い取るために吸気口が本体から外にはみ出すように伸びる“可動吸口”システム、1.5cm程度の段差を乗り越えたり、障害物の位置や距離をセンサーで識別し、万一衝突しても衝撃をカバーで吸収する“多重安全設計”システムなど、日立独自の技術を取り入れている。
充電器『充電ゴミ捨てステーション』を正面から見たところ。大型コーヒーメーカーのようにも見える。中央下部に飛び出したノズルの先端に充電用端子、奥にゴミの吸気口がある | 充電ゴミ捨てステーションの上部カバーをあけたところ。ゴミパックは平均的な家庭で1ヵ月程度のゴミが溜められるという |
掃除が終わると自動的に充電器『充電ゴミ捨てステーション』の位置を検出して、充電/待機状態になり、待機中に本体のゴミを充電ゴミ捨てステーションが自動的に吸い出して、紙パックに集める仕組みになっている。また、本体前面にカメラも設置されており、パソコンや携帯電話などから留守中の自宅の様子を確認することもできる。