マイクロソフト(株)は19日、15日に発売日などを発表した『Microsoft Visual Studio .NET 2003』の製品説明会を新宿の同社オフィスで開催し、製品の概要や新機能、製品構成について解説した。
マイクロソフト(株)デベロッパー製品部マネージャー、田中達彦氏 |
説明会の冒頭に挨拶を行なったデベロッパー製品部マネージャーの田中達彦氏によると、前バージョンである『Microsoft Visual Studio .NET 2002』の販売ライセンス数は現在では20万に達しており、『Microsoft Visual Studio .NET 2002』を開発環境として利用している開発者の数は、5~6年の時間をかけてユーザーを増やしてきたJAVA開発環境にほぼ並んだと述べた。
マイクロソフト(株)デベロッパー製品部、磯貝直之氏 |
続くデベロッパー製品部の磯貝直之氏は、『Microsoft Visual Studio .NET 2003』の概要や新機能の概要、製品構成の説明を行なった。この中で磯貝氏は、『Microsoft Visual Studio .NET 2003』が『Windows Server 2003』と同時にリリースされることの重要性を挙げ、『Microsoft Visual Studio .NET 2003』が『Windows Server 2003』に完全対応し、“.NET Framework 1.1”によるプラットフォーム機能にフルアクセスでき、サーバーOSと直接に結びついた統合開発環境であると述べた。
マイクロソフトが掲げる『Windows Server 2003』と『Microsoft Visual Studio .NET 2003』による開発環境の“4本の柱” |
『Microsoft Visual Studio .NET 2003』は、前述の特徴のほか、
- ウェブアプリケーションだけでなく、クライアント/サーバーモデルのWindowsアプリケーション、モバイルデバイス向けアプリケーションの開発が可能
- モバイルデバイス向け開発環境の強化(.NET Compact FrameworkやPocket PCエミュレーターの装備)
- “Visual C++”の機能強化(コンパイラーの強化、視覚的にフォームデザインができる“Windowsフォームデザイナ”をVisual C++にも装備)
- IPv6対応
などの新機能を持つ。
また、先日開催された“the Microsoft Conference+expo 2003”でも披露された“ノータッチデプロイメント”も改めて解説。これは、全ユーザーにアプリケーションを配る必要がなく、バージョン管理が容易なウェブアプリケーションのメリットと、操作性の面でウェブアプリケーションよりも柔軟で使いやすいアプリケーションを提供可能なWindowsアプリケーションのメリットとを同時に実現するもの。ウェブアプリケーションのようにウェブブラウザーでWindows Server 2003サーバー上に置かれたアプリケーションにアクセスすると、アプリケーションが自動的にローカルにダウンロードされて実行される。このとき、クライアント側ではこのアプリケーションのプロセスが新規に実行されるのではなく、あくまでもクライアント側のInternet Explorer+.NET FrameworkとWindows Server 2003サーバーの間のセッションとして実行され、クライアント側のリソースは消費されないという。
『Microsoft Visual Studio .NET Professional 2003 ステップアップグレード版』 |
製品ラインナップの説明では、全般的なラインナップ紹介と、同日に発表された『Microsoft Windows MSDN Deluxe Edition』と、『Microsoft Visual Studio .NET Professional 2003 ステップアップグレード版』に関する詳細な説明が行なわれた。『Visual Studio .NET Professional 2003 ステップアップグレード版』は、前バージョンの“Standard版”購入者に向けた『Microsoft Visual Studio .NET Professional 2003』の優待販売パッケージ。対象となる製品は『Microsoft Visual Basic .NET Standart 2002』『Microsoft Visual C++ .NET Standard 2002』『Microsoft Visual C# .NET Standard 2002』の3製品。『Microsoft Visual Studio .NET Professional 2003』通常パッケージの推定小売価格は12万8000円、アップグレードパッケージが6万4800円なのに対し、『Microsoft Visual Studio .NET Professional 2003 ステップアップグレード版』は推定小売価格3万9800円で、販売本数は3万本限定。マイクロソフトによると、前バージョンの“スタンダード版”ユーザーは『Microsoft Visual Studio .NET 2002』ファミリーのユーザー全体の約半数を占めており、これらのユーザーに対して統合開発環境の導入を促すことを目的としているという。