サイバーコイン(株)と仲見世商店街振興組合は12日、携帯電話を利用した商店街の情報提供サービス“仲見世物見やぐら”を16日に開始すると発表した。これはインターネット対応の携帯電話機向けに、浅草の仲見世商店街の情報などを提供するもので、会員登録制のサービス。中国語や英語の案内などのサービスも夏に開始する予定で、当面、無料で提供する。
携帯電話機に表示した“仲見世物見やぐら”のサイト入り口 |
“仲見世物見やぐら”で提供する情報は、商店街の各店舗(計88店舗)や取り扱い商品の紹介や、割り引きクーポンなどを提供する“商店街案内所”、歴史や周辺地域の情報などを紹介する“浅草郷土資料館”、おみくじを引ける“物見やぐらおみくじ”、お祭り情報を提供する“行事予定表”、掲示板“おもひで掲示板”などが用意されている。商店街の案内では、店名による検索のほか、ジャンル別検索、マップ検索、クーポンサービスなどの検索が行なえる。そのほか、プラズマディスプレーパネル(PDP)と専用端末のマルチメディアキオスクを利用したサービスも予定しており、端末のタッチパネルの操作で、映像による情報の提供や割り引きクーポン(レシート)のプリントアウトなどを提供する予定。マルチメディアキオスクは、観光情報を提供する観光センターなど数ヵ所に設置を予定しているという。
マルチメディアキオスク |
仲見世商店街振興組合の松村理事長 |
同日開催した記者発表では、最初に挨拶に立った仲見世商店街振興組合の松村吉紘理事長が、日本で最も古い商店街のひとつである仲見世の良さを知ってもらうための新しい方法を探したところ、携帯電話を利用することになったと説明。年間で3500万人、ディズニーランドの1.5倍の観光客に対して、観光情報を含む生の情報を、若者からお年寄りまで、リアルタイムで提供したいと意気込みを述べた。
サービスの概要を説明したサイバーコインの野口代表取締役 |
続いて、サイバーコインの代表取締役である野口宏和氏が、運営システムやサービスの具体的な利用方法などを説明した。“仲見世物見やぐら”の名称はサイバーコインが提案したもので、仲見世を鳥瞰図のように紹介することを意味するという。システム開発などは同社が行ない、マルチメディアキオスク(ミルボード)を(株)アドテックスが提供する。携帯電話を利用する富ふだのような電子マネー/クーポンに相当するシステムにはサイバーコインの持つ特許を利用しているという。
“仲見世物見やぐら”のサービスを利用するには、登録用ページのURLを受け取るためのメールを自動送信する3cm四方程度のアダプターを携帯電話に接続し、登録ページにアクセスして登録の手続きを行なう。アダプターは浅草寺の参道(仲見世)の四つ角ごとに用意される予定。URLの直接入力でも登録ページにアクセス可能で、URLを刷り込んだポスターを15日の夜から各店舗に掲示するとしており、今回、商店街としてポスターを各店頭に貼るのは初めてのことという。
最後に挨拶に立ったアドテックスの代表取締役社長の長谷川房彦氏は、マルチメディアキオスクの端末がネットワークに接続されていないことについて、HDDに容量の大きい映像データを格納するストレージソリューションとすることにより、電源だけあれば設置でき、コストのかかるネットワークの配線などを行なわずにすむメリットを強調した |
利用者としては、数百万人を見込んでおり、50万人から100万人程度が利用すれば十分と考えているという。今後は、浅草寺のおみくじを引けるようにするほか、音声によるガイドや、携帯電話で撮影した写真のプリントサービスなどを提供ししたいとしており、“浅草うまいもの会”などの情報も網羅したいとした。